高校の終わり
時が過ぎる。年末年始が終わって試験が始まっていく。生徒達は懸命に頑張った。
和男だけではなく、和夜も受験生だった。正和と雪絵はなるべく時間を作っては和夜に勉強させた。和夜の質問に両親は的確に答える。時には自力で考えさせたり調べさせたりもした。和男は学校で勉強をしている。
結局、和夜は公立だったが、あまり偏差値の高くない高校に決まった。和男はそれなりの大学に決まった。正和は和夜に呆れ顔で、
「さんざん俺達が協力したのにお前は和美以下だな」
和夜は口を横に広げて腹を立てたが何も言わなかった。正和は未だに和男を和美と呼んでいる。雪絵は困った顔で和夜に、
「また頑張りなさい」
吉田と別れて以来、和男と正和は互いに距離を置くようになった。以前から二人には確執が有ったが、今では更に強くなっている。和男は正和に挨拶はするが目を合わせようとしない。
卒業前のある放課後。坂東が急に和男を呼んだ。坂東は人気のない校庭の隅に行く。和男は不思議そうについて来る。
一歩ほどの距離で二人は向かい合う。和男が腰に手を当てる。坂東は俯いている。和男はじっと坂東の様子をうかがいながら待っている。坂東は徐に顔を上げる。思い詰めた表情で、
「俺はお前が好きだった」
和男は息を飲んだ。坂東は冗談を言っているようには見えない。坂東は顔をそむける。和男は眉を下げて、
「お前はそういうのが一切嫌いだっただろ」
坂東は踵を返し、
「変な事を言って悪かった」
と、立ち去ろうとする。和男は、
「待てよ」
坂東は止まる。和男は、
「あまりにも唐突だ」
坂東は肩を落とし、
「仕方がないだろ。二年の時にお前は吉田と付き合ってたし、つい最近までは受験だったし」
和男は、
「そうか」
坂東は早足で歩いて行った。和男は腑に落ちない様子で見送った。
翌朝。同窓生達が和男に集まり、一人が珍しそうに、
「昨日、坂東と何を話してた?」
和男は目を泳がせて答えずにいた。少し離れた席にいた坂東が冷たい声で、
「お前達には関係ない」
同窓生達が不快そうに振り向き、一人が、
「本当にムカつくな、お前」
和男は苦笑いしながら、
「そう怒るなよ。大した話じゃない」
卒業式が無事に終わると、皆は名残惜しそうに帰っていく。和男が下駄箱で柔道部員と喋っている時に、坂東が擦れ違った。和男が手を振り、
「達者でな」
と、挨拶した。坂東は珍しく微笑みながら手を振った。




