性愛
部活が終わった後、男子達は体育館裏でニタニタしながら盛り上がっていた。帰ろうとした和男が何気なく近寄ると、男子達はサッと静かになった。和男が立ち止まり、苦笑いしながら、
「俺だけ仲間外れ?」
火村が気まずそうに、
「下ネタで盛り上がってたんだけど」
和男は、
「お前達が嫌じゃなければ俺も混ぜてくれよ」
火村の隣にいた男子がスマホを見せた。見事なエロ画像だ。和男は涼しい顔をして、
「少し過激だけど、悪くない」
火村が、
「ふうん。そうか」
その日から時々、和男は男子と一緒に下ネタで盛り上がるようになった。女子や教師から離れた所で花を咲かせた。和男は主に聞き役で時折、相槌を打った。男達が犯罪的な発言をしたり盗撮画像を覗こうとすると、それとなく注意した、
「それ以上は止めとけ。俺の親父が警察官だからうるせえんだ」
男子達は困って唸る。
放課後、女子がいない時に教室でも男子達は猥褻な話をした。坂東は心底、興味ない様子で帰っていく。毎日、ジムに通っているようだ。男子達はそれを目で追う。
ある日、火村が和男を下駄箱に連れ出して、
「お前。本当は無理しているだろ」
和男は真顔で、
「そんな事は無い」
火村は冷めた声で、
「俺は不快だけどな」
和男は首を傾げて、
「だったら正直に嫌がれば良いだろ」
火村は顔をそむけて、
「実は俺、ゲイなんだ」
和男は目を丸くした。火村は和男の目を見て、
「バカにしてるのか?」
和男は頭を振り、
「俺は中学の時にゲイからすごく嫌われていたんだ」
火村は不思議そうに、
「それは災難だったな。俺はお前を友達だと思ってる」
和男は安堵して、
「それは良かった」
火村は肩をすくめて、
「ゲイだって色々いるからな」
数日後。授業が終わってそそくさと帰る坂東を火村は追いかけた。駅に向かう途中の公園前で坂東は振り返り、
「俺に何か用か?」
火村は人気のない公園の隅に手招きした。坂東は渋々ついていった。火村の二歩手前で立ち止まる。
火村は真顔で、
「真面目な話なんだが、お前がゲイなら付き合って欲しい」
坂東は無表情で、
「俺はゲイじゃないからお前とは付き合わない」
と、言い残すと立ち去った。残された火村は額に手を当てて溜息を吐いた。




