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曲がり角  作者: 加藤無理
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強がり

 高校一年の終わり、和男はまた犯罪者を捕まえた。今回は女性のスカートの中を盗撮する性犯罪者だった。


 その日の昼休み。教室ではそれが話題になった。男子の一人が興味津々と、

「どうやって見つけるんだ?意外と気付けないもんだろ」

 和男は苦笑いしながら、

「感覚を研ぎ澄ませれば誰だって見つけられる」

 もう一人の男子が眉を下げながら、

「見つけたとしても普通はビビって何も出来ねぇよ」

 和男は肩をすくめながら、

「女だって痴漢を捕まえているんだぞ」

 他の男子が腕を組みながら、

「でもなあ」

 和男は運動部で頑張っている男子達を見渡して、

「お前らもやってみろよ。試合でもっと勝てるようになるぞ」

 男子達は苦笑いして頭を振る。一人は、

「お前が強すぎるんだよ」

 隣の男子が、

「そうだな。お前、全国大会で決勝まで進んだんだろ」

「これで保健体育も部活も男として活躍出来るな」

 和男は満面の笑みを浮かべた。女子は遠目で感嘆の眼差しを向けている。


 勉強をしていた坂東は冷たい目で和男を盗み見た。たまたま和男の右隣にいた男子と目が合った。男子は坂東を睨み返した。坂東は頭を戻して勉強を再開した。


 二年に進級した時も、和男と坂東は同じクラスになった。和男が気さくに挨拶するので坂東は短く返事をする。しかし二人がじっくり会話する事はあまりなかった。


 結局、男子として大会に出られなかったが、和男は男子部員と一緒に活動した。保健体育も男子として参加した。一年の時に張り合っていた渡辺も、今では和男をスッカリ男として認めている。男子達も手加減しなかった。部活ではむしろ同輩に勝つことすらあった。


 ある日、保健体育の授業で球技の試合中に和男は相手の男子と衝突して転んだ。駆け寄った男子の一人が衝突した火村ひむらに、

「手加減しろよ」

 と、咎めた。火村は無表情で頭を振り、

「それは侮辱だろ」

 男子は火村の後にいた男子二人に顎を向けて、

「コイツラには手加減しているだろ」

 火村は両手を腰に当てて、

「コイツラは軽音楽部と文芸部だぞ」

 男子二人は気まずそうに俯く。和男は立ち上がって埃を落としながら、落ち着いた声で、

「火村は悪くない」

 男子は不安そうに、

「そうか。無茶するなよ」

 坂東は遠目でそれを眺めていた。

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