表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
馬鹿みたいなホントの話なんだけどさぁ  作者: くさもちもちもち
田舎にあるリアルと幻想の狭間
2/11

Ep2. 人魂


 んぁ?


 

 なーにお前、また来たの。

 ん? おお、手土産持って気が利くじゃん。

 で、何? 用事があってこんなド田舎に来たんだろ? 車に乗って2時間もかけて。

 とりあえず上がりな、茶のひとつも振舞うから。



 はぁ…不思議な話、ねぇ…。

 この間電話で話したやつみたいなのが聴きたいってか?

 今どきの若人(わこうど)ってこういうの好きなの多いわけ?


 推しがホラー好きって、おまwwww

 誰だよ推しって、顔拝みてぇwwwwwwwwww

 は? アニメのキャラ?

 ちょっと待て、二次元の推しの影響で怖い話聞きにくるヤツ、俺初めて見たわ!

 やべぇ、笑い過ぎで腹筋割れるwwwwwwww



 ……ごめん、クール系のイケメンだったわ、文句なし。うん。

 はぁ~、この…○○くん? ホラー映画が好きなの○○くん、へぇ~。

 こんな田舎来なくても映画見りゃいいじゃん。映画館なりレンタルなり動画サイトなり。ああ、密林プライム利用すりゃ見放題じゃねぇの。

 怖いから無理?

 免疫付けるためにわざわざ来たってか。

 免疫付けたいなら本貸そうか? 加門先生とか本人がリアルで体験してるだけあっていい作品書くぜ?

 名前聴いただけで後退るってどうよ。映画化した奴がトラウマ? それは…正直スマンかった。でも怖くないもの沢山あるんだよマジで、うん。短編の幻想的なのや懐古的なのオススメ。

 ……まぁ、俺の知ってる話で気が済むなら話してもいいけど、俺の経験した話じゃねーぞ。

 それでもいいわけ?

 


 あ~、これから話すの、親から聞いた話な?

 俺の母方の爺さんが経験した話。

 怖さ薄め、ライトなヤツ。






 随分前に100才超えて大往生した爺さんがいたんだけどさ、その爺さんがまだ六十代の頃に実際に体験したって話。

 ちなみにその頃、たぶん俺まだ生まれてない。

 その頃って、まだ未舗装の踏み固められただけの道路が当たり前で、そのまま山の中に通じてたりするわけよ。自動車道だって砂利が敷いてあれば御の字。そんな時代。

 そんな道を若い爺さんは杖をついて歩いてた。山ん中にある畑からの帰り道だ。

 未舗装の道を歩くときは、杖代わりの木の枝を持って歩くんだよ。足場が悪いからな。山歩きにトレッキングポール付いて歩くのと似たもんだな。蛇とか色々追い払ったりにも使えるし…これ重要な。


 家への帰り道、道の途中にある近所の家の玄関から、拳より小さいくらいの大きさの、ぼんやり白く光る玉が跳ねながら転がってきた。

 それは爺さんの歩く三~四尺くらい先を跳ねながら進んでいたらしい。

 何だこれはって思うよな。

 そう思った爺さんは、軽く叩いてみようと手に持っていた杖を軽く振り上げ、振り下ろした。

 【それ】はビックリしたように飛び上がって、出てきた家の玄関へと一気に飛び込んだらしい。

 爺さんも急いで走って【それ】を追いかけたが、追いつけない。それくらい早かったらしい。


 丁度その時、その家のじいさんが昼寝から目を覚ました。

 そして家族にこう言ったそうだ。


『ああ、驚いた。S屋の爺さんに杖で殴られそうになった』


 そう。どうやらそれは魂だったらしい。

 あ、S屋ってのは母の実家の屋号な。田舎有る有る。

 しかもそこにタイミングよく俺の爺さんが飛び込んできたものだから大騒ぎになった。

 その家のじいさんは

『この人殺し!』

 と叫んで、枕にしていた座布団で何度も叩いてくるし、爺さんも爺さんで

『お前の事なんか殺しとらん! 今俺を叩いてるのは誰だ、俺が叩こうとしたのは白い玉だ!』

 と怒鳴って応戦する。


 一通りやり合って落ち着いてから、その家の息子たちが俺の爺さんに茶を出しながら話を聞くと、さっき話した通りのことを説明された。

 考えて出た結論は似たようなもので。


『…ひょっとしてオヤジ、死にかけてたんじゃねえ?』

『ぼんやり光る白い玉って、おじいちゃんの魂だったんじゃ…』


 息子と孫の話を聞いて、余計にじいさんは余計に怒り出した。


『そう簡単に死んでたまるか! わしゃまだまだ死なんぞ!』

 

 それだけ元気に怒鳴れるならまだまだ暫くは元気だろうと家族は苦笑いだ。

 むしろ爺さんが叩こうとしたおかげでポックリ死なずに済んだんじゃないかとか、まあ言いたい放題。

 俺の爺さんも茶を飲み干して腰を上げ帰宅した。


 それから二ヶ月ほどしてから、その家のじいさんは亡くなった。

 思ったより早いが、何となく皆、想像は付いてたんだろう。

 魂が抜けたってことは、そろそろかもな…最近昼間でもよく寝るようになったし、寿命かな…って話していたそうだ。




 以上。な、大して怖くなかっただろ。

 こういうのは良くある話だし珍しくもなんともない。

 嫁に行った姉貴から聞いた話のほうが怖いっての。


 俺の実体験?

 聞きたいわけ?


 もっとも最近だと夕べかなぁ…。

 二つ隣のコジマのおばちゃんが病院に運ばれたんだよ。

 何でも宅配便を装って玄関開けさせた男に、荷物を受け取ろうと出した手に巻かれてた包帯とガーゼをベラッと剥ぎ取られたらしい。

 火傷を軟膏が覆っていたから傷はさほど深くならずに済んだけど、痛いのと驚いたのとで大騒ぎ。

 おばちゃんは宅配業者を訴えるとか言ってたけど、どこの業者か分からないって。

 実際昨日はどこの宅配業者もこの辺には来なかったし、それらしい車も誰も見なかった。


 狐の仕業かもなーって。

 

 そういえばこういう言葉知ってる?

『狐七化け狸の八化け、貂の九化けの恐ろしや』


 どした?顔青くして。

 ごめん、そんなに怖かったか?


 

注※ 話し手も聞き手も、同一人物とは限りません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ