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馬鹿みたいなホントの話なんだけどさぁ  作者: くさもちもちもち
田舎にあるリアルと幻想の狭間
1/11

Ep1. 狐火

本当にあった話をモデルにしています。

 あのさ…狐火って知ってる?

 

 そうそう、あの狐火。ホラーや昔話なんかに出てくるヤツ。

 

 この間なんだけど、お袋が見たって言い張るんだよ。

 年取ってから夜眠れなくなることが増えて、医者から眠り薬処方してもらってんだけど、その日も眠れなかったとかで薬飲もうとしたんだと。んで、起き上がって薬取ろうとしたら、障子の向こうが妙に赤く明るい。

 外に何かあったかと思って障子を開けてガラス越しに見たんだと。

 何がって、隣んちの部屋の中に浮いてる狐火を。


 うちってド田舎じゃん。


 一階の外側が硝子サッシで掃き出し窓って家、多いわけ。カーテンも付いてない。

 ちなみにその隣んち、普段は無人なワケよ。子供は大きくなってみーんな町に出て行って、ひとり残ったおばちゃんも病気抱えて専用のホーム入ってる。ああ、盆正月にはおばちゃんも息子たちも帰ってくるよ。

 で、その無人の家の中で、丸い火がぼんやり浮いてるんだと。

 最初は火事を疑ったらしいけど、火が全然動かないからおかしいなと思って、懐中電灯のデカいやつ、LEDライトっつったか?それ持ってきて、照らしてみたんだって。ガラス越しに。


 でも、全然動かない。


 火って、生き物とは違うけど動くじゃん、それは動かずただ浮いている。

 何か凄いもの見た気になって、二階で寝てる俺の事叩き起こして見せようとか考えたって言ってたわ。

 まあそのうち寒くなってきて薬飲んで寝たって言ってたけど笑える。

 冬だしな。無理もないっての。

 実際火事だったら先にセンサーが近所一杯に響き渡ってるし。

 前にテスト音聴いたことあるけど、うるせーよなアレ。ウチにもついてるけど。

 年寄りばかりの田舎じゃ便利だし安心だよ。夜に外を出歩かれるよか万倍マシ。

 こっち過疎化進み過ぎて、夜鹿とか熊とか歩いてんだよ。

 実際この間ゴンゴンゴンゴン外で音がするからライトで照らしたら、オスの鹿が人んちの家の角で角研ぎしてやがった。

 取って喰うぞ!って怒鳴りつけて追い払ったな。

 いやホント、笑いごっちゃねーんだわ。


 そんでよく朝、お袋は起きてから確かめようと思って、上着来て外に出た。ら、あったんだよ。

 何がって、大量の狐の足跡。

 俺も見せられたわ。思ったよかデカイの。

 お袋、誰かに言いたくなったんだろ、二件隣のコジマのおばちゃんに茶飲み話に話したらしい。


 たださ…コジマのおばちゃん、狐火見る二日前に手に大きく火傷して、診療所で手当てしてもらってた。うっかり空焚きした鉄瓶を取ろうとしてヘマしたらしい。結構酷かったっぽい。


 おばちゃんの火傷の話を聞いた時、俺、あれ?って思ったんだよな。

 狐の目的って、コジマのおばちゃんの方だったんじゃないかって…。

 人間のかさぶたや火傷って、狐には霊薬になるとか言う話って昔から聞くしさぁ。

 山と家の立地の関係から、コジマの家に行くには、俺んちと無人の隣んちの間を通り抜けるのが一番近道だ。

 なんつーか、コジマのおばちゃん、息子と同居しててよかったなって思ったわ。少し前に旦那亡くなってるし。


 俺? 狐火見たくなかったのかって?

 別に見たいとは思わない。

 それより寝てたいし。


 人から聞くから面白いけど、自分が体験するんじゃ…それってどうよって感じ?


 まあ、また何かあったら教えてやるよ。 


 そんじゃお休み。

 

 

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