カレー
食堂に着いた俺たちは冷蔵庫の中身を見て何を作るのか相談する。
「みんなは何か食べたいものってある?」
ゆりが告げて、俺と楓は答える。
「カレーかな」
「カレー!」
2人して見合って笑う。
「やっぱり泊まりって言ったらカレーだよね」
「だな」
「じゃあ、野菜に関しては一通り俺が切る、肉をカットして炒めるのとクミンシードの用意とか頼んだ」
そう告げるとゆりと楓は顔を見合わせて頷きだす。
「滉誠ってもしかして料理できる方?」
ゆりが俺に質問をしてくる。
「いや、普通レベルだと思うけど」
「いや、普通にカレー作る手順知ってるし、というかクミンシードって何?」
「クミンの種子のことだけど...」
「ゆり、もしかして滉誠の方が料理できるっていう可能性が浮上してきてない?」
「あり得るんだけど、すごく認めたくない」
ゆりと楓が二人でこそこそと話しているのを見て、人様のカレーの作り方があるのに勝手に指示したことを怒っているのではないかと心配になる。先生という役から抜け出せていなかったと反省する。
「可能性としてはあり得ると思うんだよ、あの男の基準値はバグっているからね。楓のいう料理できるは家庭料理できる程度だよね」
「さすがにそうだよ。さっきは自信なさげな感じで言ったけど、母が作れるモノはある程度再現できるとは思ってるよ」
「私も、そんな感じ」
「ちなみに聞きたいんだけどさぁ、滉誠にとって料理ができるってどのレベルを言ってるのかな?」
「え、料理ができるって言うと和洋どっちも作れて、お店出せるレベルの人かな?」
作れるじゃなくて、できるって表現だとそうだよな?もしかして、認識が違っているのか?
「主婦の方は料理ができるに入るの?」
「それをそうだろっ。だって何十年もやってるんだよ。再現出来ないと思う料理出された時は、さすがは主婦だと関心したからな」
「オッケー滉誠のレベルがわかった。」
ゆりはそういって、また楓と内緒話を開始する。
「これ多分勘違いしてるね。お客さん招く時のレベルを通常って考えがおかしいでしょ。かなり力いれた料理しか出してこないから」
「滉誠ってお金持ちっていっていたし、それ人達が喜ぶレベルの手料理って考えたらさ、プロレベルの可能性は高いよね」
「ありえる」
「滉誠ちょっと1人で作ってみてくれない」
楓が急に告げた一言に驚く。ここで梯子を外すことってある?
「ちなみにカレーってスパイスから作る派ですか?」
「ルーです。」
「ルーしかないでしょ」
ゆりと楓に突っ込まれた事でルーを基準に作る事にする。
「じゃあルーをベースとしてクミンとガラムマサラを使用する感じにするか」
「それでいいです」
楓が返答して、ゆりが頷く。
「さすがに野菜を切るのを手伝って欲しいんですけど。」
「「それは任せて」」
ゆりと楓が息ぴったりと答える。スパイスはいくつかの種類が揃っており、クミンとガラムマサラを取ってきてもらう。野菜や肉を炒めながらクミンを入れ水を加える。アクをとって材料が柔らかくなるまで煮込み、火を止めてルーを加えて弱火で煮込む。ルートご飯を注いで、その上にガラムマサラを振り完成させる。
「すごくいい香りがするね」
「やっぱりクミンをいれると違うよねっ」
同意を二人に求めるが一切反応が帰ってこないことに不安を感じる。お世辞だった。
「まぁ、食べるとしようか」
食堂の机に皆で座る。
「「「いただきます」」」
皆で挨拶をしてから、皆がスプーンを口に運ぶ。
「うまい」
「美味しい」
二人の口にあったようでホッとする。
「滉誠にこの味が出せるのがなんか納得いかない」
「わかる」
変なところで意見を一致させないでください。
「滉誠って基本高スペックだよね」
楓が俺をじっと見つめながら、思案する。
「けれど、モテなさそうだよね」
「わかる」
そこは分からないでほしいんだけど。
「なんというか」
「うん」
「「腹が立つ」」
意見が合うようで何よりです。もう俺は開き直る事にした。女性には女性にしか分からないことがあるのだろうと納得し、俺は自分で作ったカレーを食べる。普通だな。二人が楽しげに会話している姿を見ながら、俺を食事を進めた。