プロローグ
ガラス張りの先で一人の少女が点滴を受けながら寝ているのが見つめる。浮かんでいる感情は不甲斐なさであり、後悔であり、無力感であった。未知の病気にかかった妹の姿を眺めながら決意を固める、必ず救ってみせると。
彼女を救えるのはきっと自分だけだから。一向に暗くならない病室を後に妹の病気を治すための施設へと歩みを進める。
妹が発症したのは、「パラソムニアシンドローム」という病気である。
中学生・高校生だけが発症を確認された病気であり、発症した人は昏睡状態に陥る。何時目覚めるのかも・対処法すらも何もかも分からない病気だ。この病気の一番の特徴は夢の世界を個人が創造する所にある。
半径3メートル以内(平面上)に入った人は強烈な眠気に襲われ、どんな人でも10分立つと発症者の夢に引きずり込まれる。起こされない限り、7~10時間ほど夢の中に引きずり込まれる。誰かに覚醒して貰えば、耐性がつき1時間は耐えることが出来る。
対策施設の前に立つと、妹が発症をした時のことがフラッシュバックする。夢から覚める際に最後に言った言葉が俺を駆り立てる。”助けて、お兄ちゃん”と、初めて助けを求められた瞬間の出来事を。
幻聴かもしれない、根拠なんてないそれでも、確信している。妹を助けることが出来るのは自分しかいないのだと。それに、なんとしても助け出したいという想いがある。
夢遊病シンドローム対策期間があるのは、病院から数分でつく立地にあった。病室と同じくらいの医療技術がここには揃っており、患者の心拍数や脈拍などの情報を常に収集している。
対策は3つのチームに別れて主に別れている。①夢の世界に実際に入り、問題の解決にあたる部隊、(ダイバー)②発症者の夢に飛び込んだダイバーが危険な状態であると判断された場合に覚醒を促す部隊、(サポーター)③発症者及びダイバーの心拍数・脈拍等を測り、規定の数値を超えた場合にサポーターに伝える係、(アナライザー)
3つの部隊が協力をすることで問題の解決にあたる。自分は妹を救うための一助として、ダイバーを希望し試験を突破してここにいる。
改めて、覚悟を深めながら博士の元へと歩みを進める。