99 治頼の考え 訂正済み
99治頼の考え
三人とも頭を下げてたが特に謝られる必要もない為不要だと言ってその分六角家で新しく作り始めた六角流の太刀を1本ずつ渡した。実用性に富んだ六角流武家造と見た目がよく式典や礼典、家に飾るのに使える六角流公家造の2種をそれぞれ与えた。
武家造は実戦向き、公家造は儀礼用。六角流の太刀は、治頼が家中の格式と実用を両立させるために鍛冶職人と共に設計したものだった。
むしろ治益や治虎、治綱なんかは武家造の太刀を物凄く羨ましい目で見ていたので恩賞という形ではないが欲しければ買えるように話を通してやるというとものすごく嬉しそうな顔をして談笑に戻っていた。
太刀を手にした者は、まるで少年のように目を輝かせていた。武士にとって刀は魂。治頼はその気持ちを理解していたからこそ、恩賞ではなく「買えるようにする」という形で応えた。
現金なやつらめ…。
「明日に響かぬ様にしておけよ…。明日はお主らにだけ俺の考えと予定を話しておくつもりだ。これは父や祖父にも言っていないことがある。頼むぞ。」
治頼の声には、家中の者に対する信頼と期待が込められていた。父や祖父にも話していない構想――それは、六角の未来を左右するものだった。
「「「はっ!」」」
〜〜〜
次の日の夜皆が寝静まる頃に直臣達を集めた会合を開いた。
「皆の者には俺の考えと予定を共有しておきたいと思う。半蔵。」
月が高く昇り、城内が静まり返った頃、選ばれし家臣たちが密かに集まった。治頼の言葉を待つ空気は、緊張と期待に満ちていた。
「はっ!現在我々は領内の防衛を甲賀、外への謀略を伊賀という形で分担しております。その中で特に治頼様が目をつけておられるのが若狭、美濃、尾張、河内、和泉の順にございまする。」
皆の顔に驚きはない。まあ、六角領と接している地域だからな。若狭は将軍との縁、美濃は斎藤家の動向、尾張は織田の台頭、河内・和泉は三好の影響圏。治頼が目をつける地域は、いずれも六角の命運を左右する要衝だった。




