66 義輝との会合
66 義輝との会合
今年、将軍足利義藤が足利義輝へと名前を変えた。みんなのよく知る剣豪将軍だ。京での義輝の評判は散々だ。朝廷も京に滞在しない将軍へ価値を見出していないようで、実際京を支配している三好との関係を重視している。
勿論、少し昔から献身を続けている六角にも配慮しているようだが、京を押さえているのは三好なのだからこちらに遠慮をしないでくれと伝えている。誰が京を支配していようとも朝廷への献身は変わらないと近衛前嗣、ではないな。名前を前久と変えた彼を通じて伝えた。
それに感動したのか朝廷はこちらに是非とも官位をと言ってきている。そろそろ近江守を父に貰ってもいいし、もしくは別の官位か、義輝から守護をもらって父親達の目を三好以外に向けさせるという手もある。そこは悩みどころだ。
今六角家として京方面で動く事はまず無い。美味しそうなところとしては伊勢の長野や一向宗が抑えている長島だ。実はかなり早い段階から商人に扮した伊賀や黒鍬を忍び込ませて地図や配置を探らせている。
北伊勢を抑えられる事は海を手に入れられるという点でも、東海道に影響力を持てるという点でも六角にとって大きな利と言える。三好と真っ向から勝負するにしても水軍はいたほうがいいだろうし、うん、そういう方向で説得してみるか。
まずは義輝との話し合いだな。
「誰か!墨と筆を持て!」
観音寺から朽木までは船を使えば当日にすぐ移動できる距離で道も整備されている事も合わさり直ぐに目通が叶った。俺はひと足先に部屋に通され義輝を待つ。続々と他の幕臣達も入ってきた。そして最後に義輝が上座に座り頭を上げよと声をかけられる。
「この度は拝謁の機会を賜り感謝いたします。」
「うむ、久しいの。六角は浅井の侵攻を防ぎ近江を統一した。つまりは、邪魔者を排除した。ついに三好との戦の準備ができたかの?」
義輝が以前よりも鋭くなった眼光をこちらに向ける。幕臣達は意気揚々と三好なぞ細川家と六角家が協力すれば何程でも無いと意気込んでいる。
「はっ!父と祖父も三好に対して動くために準備をしようとしているところにございまする!」
俺はできるだけ力強く答える。
「そうか!そうか!やっとじゃのう!」
「しかし、一つ問題がありまして…公方様にも協力頂きたい案がございまする。」
「なんだと…!」
義輝がまたか!という様にこちらを怒気を孕んだ目で強く睨みつける。




