62 姉川の戦い3
62姉川の戦い3
「まだまだぁ!」
雨森側も負けずと一手を強く弾き返すと反撃に出る。一進一退の攻防を続けるもこのままでは埒が開かないと思った雨森は槍をわざと手から落とし、肩の鎧で槍の柄をいなし、すぐさま距離を詰めると刀を斜め下から切り上げる。
賢秀も槍をいなされた時点で槍を手放すと大きく後ろに片足をさげ体勢を崩して切り上げを避けるとそのまま倒れ込んだ。
倒れ込むのを承知でそのまま足で雨森の足を引っ掛け転げさせると雨森を確認する事なく立ち上がり槍を手に取り刀を持って立ち上がった雨森と対峙する。
「泥臭い戦いで申し訳ないな。」
少し息を整えながら語りかける。
「ふっ、戦いにそのような些末なこと関係ないわ。それよりも若いのによく訓練されたいい武士だ。最後にお前のような武士と戦えたのは僥倖だ。」
雨森は楽しそうに答える。
賢秀はこの時点で既に無理をしない方向に切り替えていた。主君からは浅井を下した後は取り込むと聞いている。雨森を配下に加えることができれば六角のためになる。それにこの男と何度でも戦ってみたいと思っていた。
「最後になるかどうかはやってみないと分からないだろう。さあ、続きを。」
賢秀と雨森はこの戦が終わるまで互いの力を試すように何度も打ち合い続けたのだった。
〜〜〜
青地茂綱
壱岐守殿から承った敵の猛将の一角を抑えるという任に胸を高鳴らせながらも思考は冷静に茂綱は突っ込んでいく。
茂綱が担当する事になった方面は賢秀が担当しているところみたいに個人の武勇で押すというよりは周りの兵をも上手く使って押していた。
「だが、押し通るまで!」
茂綱は巧みな戦術を披露している1人の将が前で武勇を振るうタイミングを見計らってそのまま体当たりでもするかのように馬で駆け抜けて槍を突き出した。
「なんと!」
敵の将が驚きながらもその槍をさけ、馬の手綱を握りながらも姿勢を崩されないように気をつけている。
「そなたは何者だ!」
「我は、蒲生定秀が息子、青地茂綱である!名のある将とお見受けする、いざ尋常に!」
相手の返答を待たずにそのまま踵を返した状態の馬で近づいていく。
「六角の蒲生か!相手に不足なし!浅井三将が1人海北綱親!お相手いたそう!」
綱親の方は迎え撃つ形で茂綱の猛攻をいなし続ける。茂綱は、この男をこの場に釘付けにして指揮ができないようにさせることができれば六角の兵だけでなんとでもなると考えその場で時間を使わせ続けたのであった。




