61姉川の戦い2
61 姉川の戦い2
天文23年1554年 8月 後藤壱岐守
蒸し暑い中戦が始まった。今回は初めて亀松丸様の前で成果を見せる時が来たのだ。兵達の士気も否が応でも跳ね上がっている。しかし、その勢いそのままに突っ込む事はなく命令をきちんと待っている。これがこの軍の強いところだとも言える。
相手の軍が弓矢を打つのをやめて突撃してくる距離まで待ち構える。相手の突撃準備が整い走り出したところを赤旗を振らせて左右の鉄砲隊に指示をする。左翼では滝川一益が右翼では藤堂高虎が指示に合わせて鉄砲隊から射撃させる。左前列の鉄砲隊が撃ち終わるとすぐに右後列の2軍目が撃つ。この2度の斉射だけで相手の軍の半分は行動不能となったようだ。無理をせず鉄砲隊はその場で待機させて装備の変更を急がせる。前列のものが盾をもち後列のものが槍隊へと変更だ。
中央の我々は敵を迎え撃つ用意をする。一列目に大盾を持たせて二列目に短槍を持たせる。三列目以降は長槍だ。ドンッと相手の先頭とぶつかる衝撃が走る。しかし、その程度のぶつかり合いで押し負ける兵達ではない。普段から鍛え上げられた兵達は動揺することなく敵を押し返す。大盾の間から入り込もうとする敵には二列目の兵が小回りのきく短槍を突き刺し、後方の敵や後退しようとする敵には長槍で叩き潰す。時間にして四半刻にも満たない間に敵は壊滅一歩手前となっていた。
しかし、敵もタダで引き下がれないようでいくつかの点で猛将が暴れているようだ。
「蒲生兄弟、あそこで血気盛んに戦っている敵を押さえつけてくる事は可能か?打ち取る必要はない。」
「はっ!お任せくだされ!」
「うむ、では頼んだ!」
蒲生と青地はそれぞれの武器を手に敵の猛将と戦いに向かった。
蒲生賢秀
「どけい!そこの敵は私が相手をする!」
馬上から槍を敵に叩きつけながら周りの兵に離れるように促す。
「我が名は蒲生定秀が息子、蒲生賢秀である!その武勇は捨ておけぬ!いざ尋常に立ち会え!」
相手の将に語りかけながら馬を降り、周りの兵に託す。
「者ども下がれ!この戦は負けだ!この場での決着はこの戦いで決める!手を出すな!」
相手方の将は浅井兵を下がらせると前に出てきた。
「蒲生殿!我が名は雨森弥兵衛!いざ尋常に勝負!」
互いに身長ほどの長さの槍を手に取り打ちつけ合う。浅井三将の1人雨森と打ち合えている自分の胆力に自信を持った賢秀は、その勢いのまま手数を増やし、次第に賢秀優勢の戦いへと変化していった。




