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51 1551年年末報告2
「ほう、それは初耳だな。攻城戦の形が大きく変わるぞ。」
父が面白そうにこちらを見る。
「はっ、完成しましたら再度ご報告させて頂きます。なにぶん初めての試みにございますれば…」
「分かっておる。では、次に寺に対する対応について話をしようか。」
「はっ」
寺に関する対応は祖父の管轄だ。祖父が話し始める。
「比叡山や一向宗の寺社を弾圧する目的で来年度以降政教分離令を発布する。僧兵の解体、土倉の禁止、政治への介入の禁止、座の解体などだ。その代わり寺社の修繕費や僧たちの衣食住はこちらで保証する形を取る。」
特に異存はない。あるとすれば…
「それは御屋形様から発布される形でしょうか?」
「ああ、そうするつもりだ。一応提案者としてワシも署名しようと思っておるがの。」
「だとしたら問題はないかと思いまする。」
「よし、次は商いに関するものだな。基本的に税は5年に一度の検地に合わせて再度設定する。また、準備ができた領内から随時関税を撤廃していく。異存はないな?」
「はっ!」
「最後にですが、今年も朝廷へと貢物を運び近衛関係の公家に付け届けを送る予定にございまする。」
「うむ、幕府の方は今年から義賢の名前で行うとする。いいな。」
「はっ!」
〜〜〜
祖父と父との報告会が終わり自室に戻ると半蔵を呼び出す。
「お呼びとの事で…。」
「うむ、まずは、浅井戦の時よく働いてくれたな。其方たちの活躍のおかげで壱岐守達が随分と働きやすかったと思う。それに敵の忍び達の工作をよく食い止めてくれている。これはほんの気持ちだが受け取ってくれ。」
俺はそう言って銭の入った袋と感状を半蔵の前に置く。半蔵は少し身じろぎをすると姿勢を正しく恭しく受け取った。その手は震えており目元は下を向いて隠されていた。しかし、その下の床はシミがポタポタとできていた。半蔵が落ち着くまで手を組み待っていると。
「若様、必ずや我らが貴方様を望むところまで連れて行きまする。これからも引き回しのほどよろしくお願い申し上げまする。」
「おう!お前達も日の本一の忍び軍団になる覚悟をしておけよ。」
「はっ!」
半蔵と目を合わせると二人で少し笑みを浮かべる。
「さて、先ほど祖父達と決めたのだがな来年以降本格的に寺と敵対する。比叡山と一向宗の寺周辺で悪評を流しまくれ。それと京都でもだ。国難である今、戒律を破り情欲に耽るあいつらは民の敵だとな。それと武闘派連中を集めて孤立していたり数が少ないところの僧兵を闇討ちしろ。特に比叡山だ。」
「はっ。」




