【セイビア】『第1章』 -エピローグ①-生徒会室に呼び出し
夜明け(午前)2時。
「……」
…
「…」
…?
「……」
??
サクラは居間の方から聞こえてくる話し声に目が覚めてしまった。今は夜だから小さい声でも大きく聞こえる。
声の主人公はお姉さんのミヨ月人だ。誰かと話をしていることをみると多分電話をしているようだ。
眠りから覚めた桜は目をこすりながら、注意深く階段の方へ向かった。体調はまだよくはなかったけど、昨日のように動けないほどではなかった。
ドアに耳をつけて何の話をしているのかを聞こうとすると、聞こえるのはお姉さんが階段を上る音だけ聞こえた。つまり、この部屋に来ているというのだ。
サクラは早くベッドに行って寝る振りをした。その後、月人が部屋に入ってきた。もうちょっと遅かったらドアにぶつかっただろう…
お姉さんは私の頭を撫でながら言った。
「サクラ、行ってくるね。」
ほろ苦い笑みをつくりながら部屋を出るお姉さん。その前にお姉さんが机にメモ用紙を置いたのを見た。
出ることを確認し、サクラはメモ用紙に書いている内容を読んだが、普通な内容だった。でもサクラはメモ用紙を包み込みながら静かに言った。
「行ってらっしゃい、お姉さん。」
今日に限って黄色く輝く月がきれいに見える。
。
。
。
日差しが部屋中を照らしていた。その光は火をつけなくても明るかった。
鳥がさえずる音だけが聞こえてくる静かな空間での沈黙を破ったのは、目覚まし時計のアラムの音だった。
サクラは腕を伸ばしてアラムを切り、伸びを展開した後に1階に下りた。
――そういえば、もう普通に歩けるんだね。――
多分、フワフワなベッドで寝ったせいだろう。
暖かいお湯で体を洗った後、再び2階に上がって服を着替えた。この制服は見直しても綺麗だ。
全身鏡を利用して服に乱れがあるかどうかをチェックした。髪もきれいで服もさっぱりしていて完璧だった。
「じゃあ。」
服も着たからもうご飯を食べる番だ。朝食を抜くと、午前中ずっと続く空腹のため授業に集中できない。そのため、なるべく食事は欠かさないほうがいい。
簡単に食事をした後、デザートでチョコレートを一つ食べた。朝に甘いものを食べたら精神が清まる効果がある。
食事を終えて、みじんもつかんだカバンを持って家を出た。
登校途中,私と同じ制服を着た学生が見えた。すでに親しいのか、それとも初めから親しくなったのかは分からないが、話を交わしながら登校することはとても良いことだ。それに比べて私は昨日事件に巻き込まれたせいで友人と付き合うどころか養護室で自分だけをした。でもまだ時間は十分あるからゆっくり友達と付き合えばいい、と思いながら歩いた。
。
学園に到着した。
ポケットから学生証を取り出し、端末機に当てて出入り許可を受けた。
ー『ピィー』
小型のスクリーンに自分の顔が映し出された。出入したい生徒たちと承認カードに登録された情報と一致するかどうか確認中だ。
昨日もそうだったし、まるで外国へ旅行に行く前にある検問所にいる気がした。
画面に緑色で『承認』の文字がスクリーンに映し、閉まっていたドーアが開いた。
サクラはカードを持って内部に入った。
。
現在の時間は午後8時5分、まだ余裕があった。
学園の初日、つまり入学式の日はオリエンテーションとか他の案内のため午後8時10分だったけど今は普通の授業が始まったから8時20分まで入室すれば遅刻じゃない。
サクラのクラスに到着して、ドーアを開けた。その瞬間、外でも聞こえてきたクラスメイトたちの話し声が静かになった。そしてサクラを見ていた。入室すると同時に数人の注目を浴びたサクラは当惑した。
クラスメイトたちは「ミヨさん、もう大丈夫ですか?」とか「すっごく大変だったのに。」と心配ばかりの話と「お前たち凄いね!」とか「スゲー」と短時間で憧れの言葉が行き交った。
しかしサクラはこんな状況には苦手なので返事の代わり苦笑いをした。正直に一つ一つ答えれば、もっと多くの質問をしてくるはず、私の判断は賢明だと思う。だからといって答えをしないわけでなない。
「あの、一応席に行ってカバンを……」
困っている顔をすると昨日の事件のせいでまだ体の調子が悪いと思ったクラスメイトは自分たちが道をふさいでいることを自覚したのか、席まで行けるよう手を貸した。サクラはクラスメイトの配慮に感謝した。
ようやく席へ来たサクラは急いで従業の準備をした。
これで従業準備はOKだ。
「……。」
「……。」
サクラは真心を込めて答えた。
サクラは知っていた。本人はまだ完全に回復してないことを。外見、つまり苦痛が感じられた腕と足そして太ももは日常生活ができるほど何の問題なしだ。でも中はそうではなかった。昨日フワフワなベッドで寝たとしても体内には疲労が溜まっていた。体力も同じだ。回復しなかった。
それでも笑い続けて質問に答えるサクラはもう立派なプロだ。
。
一限目、二限目、そして三限目の授業が終わて四限目の授業が始まった。
数学、あまり好きではないけどいい成績を取るためには仕方ない。
「じゃ、これは誰が解いてみる?」
「わ……?」
ーピィー
サクラは先生の質問に答えようとしたが、学園内にベールの音が響かせた。これは案内放送?
クラスメイト全員案内放送を聞く準備をした。
―「案内します。1年2組の三夜サクラさんは生徒会室に来てください。もう一度申し上げます。1年2組のミヨサクラさんは生徒会室に来てください。」
私を学生会室に呼び出す放送だった。多分、VTS事件のせいだろう。私だけ呼び出すことは、他の人たちはまだ回復中か。
突然の呼び出しのためみんな退いてくれた。おかげでクラスから出て行くのが楽だった。しかし、問題が一つあった。
――生徒会室はどこ?――
ふと思い出した。ただ私を呼び出すんだな、とばかり思っただけで、その次を考えださなかった。
でもじっとしているよりは案内地図を捜し回った方がいい。ちょうど、噴水台周辺で見た記憶があった記憶が。
べつに案内地図を見なくても大丈夫だった。なぜなら、今は休み時間!だから廊下には今人が多いから聞いてみればいい。
「あの、すみませんですが…」
「え?何のようですか。」
「生徒会室はどこにあるのか知っていますか。」
「あ、私は新入生なのでよくわからないんです。すみません。」
「いいえいいえ、お時間いただきましてありがとうございます。」
サクラは眼鏡をかけた女性に聞いたが、知らなかった。そういえば、彼女の名札の色が私と同じ色だった。見えなかった。
今度は2年生みたいな先輩方に聞いた。
「あの、すみませんですが、生徒会室はどこへありますか。」
「生徒会室は…噴水台の正面からまっすぐ行くと赤いドーアが一つあるんだけど。噴水台はどこへあるなかわかる?」
「あ、噴水台なら知っています。ありがとうございます。」
ついに生徒会室がどこにいるのか突き止めた。
もう残ったものは行くだけ。
時間が流れ、サクラはもうすぐ噴水台に到着する。
早く行かないと…?
「だから、1年生は生徒会室がどこにあるのか分からないのが当たり前でしょ!」
「案内板見たらいいじゃないか。あ、他の人たちに聞いてすればいいじゃない。」
「…彼女のクラスから生徒会室までの距離はかなり遠くて探しにくいんだよ、私の話は!それに、彼女は今怪我して動きづらいんだよ。」
「大声を出す女性は人気がないよ。」
「……」
前方で2人の人物が歩んできていた。声が大きくて何を言っているのかよく聞こえた。
内容を聞いてみると、どうやら生徒会から直接連れて来ようとしているらしい。一方的な考えだけど。
男性と女性か…
「あ。あそこにいる子が三夜ちゃんかな。」
「ちゃんと聞け!まったく。あの、三夜サクラさんですね?」
「…あ、はい。」
女性はやさしい口調で話しかけてきた。
「三夜ちゃんは私たち誰だか知ってる?」
「つまらないことするな。」
女性は軽く彼の言葉を無視して、目を輝かせて私の返事を待った。
幸いに二人はよく知っている人たちだった。なぜならこの学園を代表するトップ10だから。
「先輩は、佐谷日向子さんと、男性の方は佐藤健太朗先輩、ですよね。」
「そう!ちゃんと覚えてるんだ。」
「当然ですよ、トップ10の皆さんはセイバーにとって憧れの対象ですから。」
「そっか。
生徒会室に到着した3人、日向子はお姉さんと同じカードを出して端末機に当てった。端末機の画面には[承認完了]と映しドーアが開けた。
「えへへ、三夜ちゃんは知らないんでしょ?私が教えてくれても……」
「あ、いいえ。お姉さんに聞いたから大丈夫です。」
「ぷっ。」
「……。」
あ、知らないふりして聞けばよかった。なんかすみません。
「入ろう。」
「はい。」
サクラはまるで子供のように周りをキョロキョロ見回しながら2人を付いて歩いた。
「ほら、挨拶。」
日向子の言葉を聞いてサクラは周りを見ることをやめて前を見た。そこには大きいな机があって、もっと後ろにはエリアド学園トップ10の中で1位の四具春納が座っていた。サクラはどことなく威圧感で緊張しちゃって一瞬挨拶する方法を忘れた。なんか面接を受けるような雰囲気の中やっと気が付いたサクラは低調に挨拶した。
「お、おはようございます。三夜桜と申します。」
「まだ体が悪いかもしれないのにいきなり呼び出してすみませんミヨさん。そしてあなたを叱責しようと呼んだのではないのであまり緊張しないでください。」
春納は俯いたまま言った。
サクラは彼女の突然の行動に驚いた。だってトップ10ですよ?第1位ですよ?
早く頭を上げてくださいって言った。新入生である私にあんな行動は苦手だ。
「ふふっ、それじゃ本論です。あなたは今年の新入生として誇らしい学園に入学しました。訓練も教育も、つまりセイバーにとって基礎的なこと全部二日前から習い始めました。そして初めて会ったはずのクラスメイトたちと幻想的なチームワークを学園生徒たちに見せて生存に成功した件について色々聞きたいことがあります。」
先説明会で聞いたとおり、セイバースーツの使用方法を熟知したとしても直接戦場で戦うことと訓練で戦うのは完全に違うレベルだ。VTSは訓練と言っても現場で戦うことと差がないから私たち基礎も完璧に理解できなかったのに戦場で活躍したということだ。
これをゲームで比べると初心者が中級難易度ダンジョンで活躍したことだ。ゲーマーたちはこれを[才能]と呼ぶ
「新入生は多分知らないと思うんですが、VTSは大きく2種類に分けられます。まず1番は昨日にしたヘルメットを被って仮想世界にリンクする方式と、2番はコントローラーを操作しその空間を仮想世界で転換する方式です。1番の訓練は後者の訓練より実行難易度や訓練の難しさは低いですけど、すくなくともD級以上のセイバーには簡単でしょ。」
因みにD級以上の話は最低難易度の話で、私たちがやった難易度はミディアム、勧奨する等級はB級だ。
私たちはB級難易度で生き残っただけでは足りず、101位というとんでもない記録まで更新した。もう実力面では先輩たちを超えた。
「三夜さんはセイバースーツを経験したことがありますか?」
目を細めながら質問をする春納。サクラは再び彼女の威圧感で汗がほおを伝って流れ落ちた。
サクラは涎を飲み込んだあと質問に答えた。
「私たちような初心者がミディアム難易度で多くの実力者を超えて101位の記録を達成するのは前代未聞だと思うでしょう。でも私たちはただお互い信じた結果、それ以外は何も……ごめんなさい。」
サクラは春納の質問に詳しく答えをするつもりだったがどう考えても分からないから謝った。
私たちはただユラ先生に使用方法と訓練方法を教えてもらっただけだった。
「いいえ、謝ることはない、そして……」
「前代未聞は事実けど、以前新入生がミヨちゃんようにすごい記録出したことがあって。」
「日向子さん、今は私が話をしてるんですが。」
「ああっ、ごめんなさい。ごめんなさい。」
日向子さんが 春納に謝ってる際、サクラは以前にあった新入生記録更新について考えた。
「はあ、その顔。気になっているようですね、三夜さん。」
「はい……もしよければ教えてくれますか?」
「いいでしょう。3年前の話ですね。え……」
春納は3年前の学園について話った。その時の学園は普通通り新入生の入学式を進めていた。その中に本当の名前を知らせないまま入学した一人の少年がいた。その少年は現在[エスト]と自称する少年だ。
エストは入学式では他の学生と大したことない学生だ。しかしその次の日で行われるVTS、仮想訓練を体験する授業で事件は発生した。
その時も、今回と同じハッキング事件が発生して多くの学生たちが巻き込まれた。多数の学生がパニック状態になったが一人だけはそうではなかった。
まるでハッキングした犯人を知っているような、それともむしろこの状況を楽しんでいるのかは分からない。
エストがいた仮想世界をモニタリングしている管理者や担当者たち、そして現実世界で見ている学生たちは全員驚いた。いや、“恐怖に陥った”が正しい表現だろう。
話だけで聞けばただの生き残るため諦めず戦う男子しか思わないに違いない。しかし目撃者は“バケモノ”そのものだった。
その日をきっかけにエストの実力を見たセイバーチームを結成してくれる司令官の呼び出しにより、15歳学園を離れることになった。
「私も詳しいことは分かりませんですが、エストさんは特別に15歳でこのエリアド学園に入学しました。プレゼンテーションで見たんえしょ?エストの歳。今年の新入生と同い年ですよ。」
「はい、最初私たち驚いたんです。同い年でスターランクなんて。」
「うむ、今は行方不明の状態でどこで何をしているか確認できませんけどね。それで三夜さん、ミヨさんの返事は納得できません。ハッキングのせいで記録保存のために設置したカメラのデータは全て削除されたし……。」
「しかし……。」
最大限、私はトップ10に役に立ちたい。でも説明のする方法がない。
何とか言えないと信じてくれないし。
サクラは俯いたままじっとしていた。生徒会室は静寂だけ漂った。
「四具先輩、多分遺伝のせいんじゃないですか?」
後ろにいた 健太朗が静寂を破った。
「月人さんも1年生時とんでもない結果を出したことあるから。」
「えっ、お姉さんも?」
サクラはお姉さんがどんな結果を出したかよく分からないけど他の人たちは納得しているように見えた。でも春納はそうではなかった。
「春納さん、これ以上はやめましょう。十分ですから。これじゃいじめるように見えますよ。」
「……そうですね。」
この空間では1位と7位そして10位がいる。それに2年生と3年生だから1年生のサクラはちょっと怖い気がする。
普通の先輩に呼び出されて部屋で話をしても不安感で怖いのにトップ10メンバ3人がいる場所で話なんて。今の私には無理だ。
「あ、あの……」
「何ですか?」
「その、冗談だと思うかもしれませんですが、私はバーチャルゲームをするようVTSも同じ感じで臨みました。」
これを言うほうがいいのかそれとも言わないほうがいいのか悩んだ末に勇気をだして自分の考えを言った。
「ふうん、ゲームですか……分かりました、これ以上時間を遅らせることはできないので今日はここまでにします。お疲れ様でした。」
「お、お疲れさまでした!えと、すみません。あまり役に立たなくて。」
「いいえ、十分ですよ。健太朗君、日向子さん、三夜 (ミヨ)さんをお願いします。」
「「はい。」」
「じゃ、行こうか。」
一人でクラスに行くのが心配だったのかサクラを案内しに来た日向子と健太朗に頼みをした。
サクラはドーアが閉まる前に頭を下げ感謝の挨拶を伝えた。
「さて、どう思いますか。 月人さん。」
春納の左側にある部屋でサクラのお姉さんの月人が出た。
彼女の表情は不安に満ちていた。
「……分かりません。でも今は妹が無事であることだけ考えます。」
「そうですね。もし私たちが考えているものだったらあの方に追いつくかも。」
「……」
「……」
月人は親との最後の瞬間に交わした約束を守らなければならないという使命感を持って、動力していた。
ーサクラちゃん……
。
。
。
クラスに到着したサクラは先輩たちにありがとうと挨拶をした後、クラスに入る前に今は授業の時間なのでちゃんとノックをして中からの許可を受たないいけない。今勉強しているクラスメイトに迷惑はかけられないから。あ、授業時間にクラスに入ることが迷惑だ。
私がクラスに入ってしばらくして授業が終わった。これが五限目の授業だった。つまりもう家に帰る時間。
あ……今日もだめだった。全然勉強ができない。
ろくな勉強ができなくて残念がる彼女に誰か話をかけた。
「三夜さん、生徒会室はどうでした?」
「あ?」
なぜ私の目の前にお姉さんがいるのか理解できなかった。私が変な反応をした後でクラスメイトたちがお姉さんが来たことを分かった。
何の気配も聞こえなかったんですけど?
「一緒に帰ろう。まだ完全に回復したわけじゃないでしょ?」
「それはそうだけど……どうやって私が終わったことを知っているの?」
「生徒会室に全学年のクラスの授業日程があるから。」
仕事しないんですか、おねえさん?
「……私まだ終礼残っている。」
「大丈夫、先に先生に言ったから。」
そうですね。
「帰る準備オーケー。それじゃ行こうか。」
「うん。それじゃ、先に失礼します。」
。
家に到着して私は居間にあるソファーに座った。
今日は別に何をしなかったけど何か疲れた。まだ体の回復が……
「今日の夕食は私がするからサクラちゃんは先にお風呂に入って来て。」
「ごめんね。」
「たまには姉さんに任せて。」
体をきれいに洗い、お湯がある浴槽に浸かった。
「はあぁぁ、気持ちいい。この瞬間だけはたまらない……ふう。」
私たちはどうやってイディオム難易度に生存ができたかについて考えた。今日生徒会室であったことのためだ。
実は一つ、言いなかったことがあった。でも確実なことがなかったから言葉を惜しんだだけだったが……
「いったい何だっただろう、その声。」
サクラは考えることをやめ、ご飯を食べるため浴槽から出た。
お姉さんが作ったご飯を食べて皿洗いは私がしようとお姉さんに言ったが今日も自分がやるって言った。
体はもう大丈夫から、一緒にしようと勧めた。お姉さんは仕方なく一緒に皿洗いをした。
。
。
「今日の月は綺麗ね……」
サクラは窓で月を見ていた。その美しさを感じているところ、お姉さんの声が聞こえてきた。
「サクラちゃん、仕事行ってくるね~」
「分かった。」
疲れているに違いないのに、それでも頑張っている姿が誇らしかった。
「うん、今日の月はいつもより綺麗に見えるね。」
サクラは明日をため寝る準備をした。