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とある天才が異世界でも規格外だった件  作者: dainasoa
第4章 四人は荒野をひた走る
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探し物を求めて。その2・・・ヘパイトスの火種 中編

場所を酒場に移し、ドワンダがマスターに酒を頼んだ。

程なく、「酔いどれドワーフ」と書いている瓶が山積みされた。

ドワーフを酔わせるくらいに強いと言うことか。

小さな体のミチルは大丈夫かな。

量もアルコールも心配だ。

そしてギャラリーも集まり、よくわからない盛り上がりを見せた。

賭けも始まって、大体はドワンダの応援っぽい。

なら、アレンはミチルに賭けよう。

アレンはミチルが勝つのを信じる必要あるし。

1000フィル掛ければ良いらしい。


『ねぇちゃん、体壊すぜ、やめときな』


なんて声も聞こえる。

ねぇちゃんとはミチルのことだろう。


「あたしらドワーフが酒飲み対決をするときはいつもこの酒なんだ」

「ルールは簡単、どっちが多く飲めるかよ、早さは関係ないわ。制限時間はなし、どちらかがギブアップするまでね、お代は負けた方が全部支払う、いいね?」

「わかりました、では、ドワーフさん、どうかお手柔らかに」


と始まったが、こりゃアカン。


「うめぇ!その小さな体では無理だよ、お姉さん」


と豪快に飲むドワンダに対し、


「なかなかフルーティーですね。いえ、ドワンダさんも体では大きくはないですよ」


とマイペースにやるミチル。

みるみるドワンダが空瓶を積んでいく。

こりゃ、負けが濃厚だよな、と思っていたが、

4時間くらいが経つと、ドワンダは


「うるへー、しゃけをもっとにょこせ」


と酒を鮭と言い出し可愛くなる始末で明らかにペースが落ちた。

対するミチルは変わらず涼しい顔で同じペースで飲んでいる。

そして6時間を越える頃には空瓶の数もミチルが逆転し、

遂にドワンダが潰れてしまった。

ギャラリーも静かになった。

えっと、この世界の『嗜む程度』と言う言葉は意味が違ったらしい。

あ、相手を潰すのが嗜む程度か。


「これはミチルさんの勝ちですよね?」

「あ、あぁ・・・ZZzz・・・」

「えっと、アレン様、すみません、お話しないといけないのに、ドワンダさんが潰れてしまいました」


いや、お前が潰したんだろ。

表現は正しくな。

そういうルールだから仕方ないけどさ。

ギャラリーもドワンダが負けるとは。と意外な反応をしている。


「ま、話は明日ですね、ミチルさん、大丈夫です?」

「はい、お腹がいっぱいです」

「そうでしょうが、そっちじゃなくて」

「ああ、多少酔いましたが、問題ないです」

「えっと、嗜む程度じゃなかった?」

「察するに、あまり強くないお酒だったのかと、最初はフルーティーな水かと思いました。ドワンダさんもあまり強くないんですよ、きっと。それで飲み対決なんてなんでするんでしょうか」


笑顔でそんなことを言うな。

水って。

ドワンダが哀れすぎる。

転がった瓶には50%と見えるぞ。

ウイスキーをストレートでがぶ飲みしたみたいじゃないか。

うん、真面目に聞いた俺が馬鹿だった。

酒飲みに常識を求めちゃいけない。

そもそも6時間以上飲む自体が異常だよ。

ミチルは弱冠20歳にして、蟒蛇(うわばみ)の向こう側、所謂ザルなんだな。

それか、便宜上、ドワンダにはミチルもヒューマンと紹介したが、

実際にはハーフリングなわけで、人間じゃない部分がめちゃくちゃ酒に強い種族なのかもしれないが。

どちらにしろ、ミチルに酒を飲ますと大変な出費がかかると言うわけか。

空瓶がミチル側に50本ほどあった。

本当にこの小さな体のどこに入ったんだよ、あの量。


店主が


『後はやっておくから、帰って良いよ』

『それから、掛け金な、あのねぇちゃんに賭けたのはあんちゃんだけだから、あんちゃんの総取りだ、もってけドロボー』


と言ってくれたので、金をうけとり、宿に行った。

後の中にはドワンダを搬送したり、掃除したりだろう。

金は1000フィルが38000フィルに化けたが、ミチルは要らないそうだ。

しかし、宿はミチルが普通に二部屋にし、何もイベントは起きなかった。

ちぇっ。ま、あれだけ、酒の匂いさせてるミチルとは

キスも添い寝も難しいだろうし、そこまでの信頼感もまだないしな、仕方ない。


次の日、ドワンダの家を宿屋の主人に教えてもらい出掛ける。

ミチル変わらずシャキッとしていて二日酔いにすらなっていないようだった。

扉から出てきたドワンダも大丈夫なようで、素直に迎え入れてくれた。

ばつが悪いのはあるが、ミチルに負けた手前、約束は守るらしい。

アレン達は、イフリートだとか、ヘパイトスリングが必要だと簡単に説明した。

しかし、魔王云々は伏せておく。


「事情はわかったわ、イフリート様が関わっているなら、協力はしたいし、確かにあたしは自分のと、ドルビン先生のとを二つ持っているわ」

「じゃあ?」

「でもね、ヘパイトスリングはドワーフの誇りみたいなもの。しかも破壊されて返ってこないわけだし。簡単に渡すわけには行かないわ」

「どうすればいいです?あまり時間がないのです」

「まぁ、待って。そもそもあんたらはどうやってあたしのことを調べたのよ?」

「怪我したドワーフがいると教えてもらったんですよ」

「それで、サルトベルクに行って居なくて、今度は亡くなっているドワーフがいると言われたので、ここに」

「なるほど、じゃあ、ここであたしに会ったのは偶然ね、教えてもらったって誰に?ドワーフじゃなきゃ、怪我したドワーフの話なんか知らないでしょう、その人にヘパイトスリングをもらうわけにはいかないの?」

「教えてくれたのは、ブラミスと言う鍛冶屋で、今もヘパイトスリングは使うし、僕らもブラミスに武器を面倒見てもらってるので」

「ブラミス・・・?ん、ブラミス!?ドワールフのおっさんかしら?」

「あ、確かにそんな名前だった気もします。知ってるんですか?」

「ま、まぁね、ブラミスを知らないドワーフはいないね、あの人は勇者の剣を鍛えた伝説の人だからね」


目が泳いでるな。

これはブラミスを有名人として知っているんじゃなく、

個人的な関係があると見た。


「あんたらのバックにブラミスがいるなら尚更無下にはできないか、嘘でも無さそうだし」

「ではリングは頂けますか?」

「待って。イマイチ、イフリート様と戦ったと言うのがにわかに信じられないわ。いや、疑ってるわけではないけどね。だから簡単にあんたらの力を見せてもらおうかしら」

「力ですか、喧嘩ならしませんよ?」

「あたしだって怪我人だ、喧嘩なんかしやしないよ。そうね、ドルビン先生に手向ける花を取ってきてもらおうかしら、イフリート様と戦ったなら楽勝でしょ」

「花ですか、可愛らしいことするんですね」

「似合わないって?ま、あたしも花が好きでするわけじゃない、慣習だよ」

「そうですか、その花、どこに自生しているんでしょうか?」


買ってこいではなく、取ってこいがポイントだな。


「へぇ、あんちゃん、話が早いね。サルトベルクの北に滝がある。その滝の上に花が咲いているんだ」

「本来ならあたしが取りに行くつもりだが、この様だからな」


怪我していて、花を取りに行けないなら、酒を浴びるほど飲むなよ。

そもそも怪我していてサルトベルクからテトゥルジャまでどうやって来たんだ?

まぁ、いいか。


「花は、ドラゴンハートと言う花で紫の小さな花よ」

「なぜ、それをお墓に手向けるんです?」

「ドワーフが死んだときはドラゴンになぞらえたものが必要なのよ。花が必須かというと違うけど、大体は、ドラゴンハートにするはずよ」

「なるほど、ドワーフとしては、火と相性がよく、ドラゴンもまた火と相性が良いからですかね」

「そうだろうけど、詳しくはわからないわね、習わしだから」


ドラゴンハート?

うーん、またわからん、アイテム名だな。

ん?ドラゴンハート、竜心?

違うな。

ハートは心臓じゃない?

肝?

あ、もしかして竜胆(りんどう)か。

それなら図鑑でみたことあるから分かるし、確かに紫だ。

サルビアと同じで現実の花があるパターンか。

だがな、竜胆の花言葉は確か、『悲しんでる貴方を愛する』だ。

死者に手向けるものとしてはあまり適切ではないな。

しかも名前がそうっぽいってだけで、あまり竜に関係もしてないわけで。

漢方としての根っこがかなり苦く、そこから竜胆と名が着いただけだ。

まぁ、慣習なら仕方ないし、ゲームの制作者が花言葉まで気にしてなかっただけか。


「滝の下まではサルトベルクから馬車が出ているはずよ、そこからは森を歩くから戦闘にもなる。まぁ、さっきの話が本当なら大丈夫だよ」

「わかりました」


ドワンダの家を後にし、エスパシオでサルトベルクに向かう。

やれやれ、ミチルをすっかり移動手段にしてしまっているな。


馬車に乗り、滝に到着。

名前はコーランスの滝。

ここからは森の中を山登りしていくことになる。

しかし、折角、アイスコフィン持っているのに、戦うのは水の大陸か。

後は、ミチルの戦闘力を、とくと拝見といこうか。

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