探し物を求めて。その1・・・武器。
ディアナと相談し、やはりコンフィレンシア用の結界を張って出ることにした。
イフリートから要求された素材、
ヘパイトスの火種、焔の珠、竜の火酒を手にいれてから
ここに戻る時間はないように思えたからだ。
いや、手に入れるまでも残りの5日で足りるかどうか・・・。
とにかく時間がない。
しかも焔の珠と、竜の火酒は現段階で手にいれる方法も危うい。
結界を張ってもらった代わりに、ディアナは戦闘から離脱することになった。
ディアナは5日くらいなら平気だと言っていたが、無理をさせて、お肌が荒れたりしたら嫌だし。
ディアナが抜けた穴はしばらくレイチェルに任せる。
魔法がなくても、前衛が3人なら大丈夫だろう。
但し、エスパシオは使ってもらう必要があり、
ずっと眠っていていいよ。とならないのが申し分けないが。
ケリューンか帝都ウィリアムで誰かエスパシオ出来る人を借りるのも手か。
ちなみに、アレンの剣は新調するまでアイスコフィンを借りておくことになった。
ひとまず、エスケーパー、エスパシオを使いケリューンにいく。
もちろん、サキも合流してもらう。
まずはありのままをルドルフに報告する。
イフリートを倒したことに驚いてはいたが、
まずは無事を喜んでくれた。
そして、回復に時間がかかることを聞くとあからさまに落胆した。
そして、ルドルフ曰く、
「炎のアミュレットは一度持ち出してるので、戻したところで聖域は機能しません」
だそうだ。
そうは言っても持ち出させたのはお前だがな。
結果有ったから関係者だと証明できて良かったんだけども。
どうやら、国王が何かする必要があるらしい。
どうあっても国王を目覚させる必要があるようだ。
一応、ルドルフにも3つの素材が必要で、
手に入るツテがないかを探すように依頼し、
エスパシオでウィリアムに向かう。
まずはブラミスだ。
「ブラミス、邪魔するよ」
「おお!お前さん達か、なんじゃ?壁でのやり取りじゃないのは珍しいな」
「頼まれていた爪、出来たぞい、丁度送るとこじゃった」
「ありがとう、お代は話が終わったらまとめて払うから」
「そうか、良いぞ。何の用じゃ?ん?あのエルフの姿がないの、どうした?それからこちらは?」
沢山の質問を一気にするなって。
とりあえず、軽くディアナが居ない理由やレイチェルを紹介し、
まずは謝る必要がある。
「そうか、エルフもまだちゃんと仲間なんじゃな、一安心じゃ」
「え?ブラミスはディアナが抜けたと思ったの?種族間では仲悪いって話だったじゃん、なかなか気にかけているんだね?」
「セニア、何もワシらは揉めているわけじゃないぞ」
「そうなんだ」
「エルフは義理堅く、真面目なんじゃ、だから何故居ないのか気になっただけじゃ」
「まぁ、その義理堅さで過去に仲違いしたのはあるがな」
「その話は時間ができたらゆっくり聞くよ、今は時間が惜しい」
「なんじゃ、ゆっくりしていかんのか、相変わらず忙しないやつじゃな」
「ブラミス、ごめんよ。それからここに来たのはな、すまない、実は・・・せっかく作ってもらったドワーブンソード、壊れてしまった」
「なんじゃと?あれを壊したのか、お前さんどんな使い方したんじゃ。あれは硬い焼きが入っとるんじゃ、そう簡単には壊れんはずが」
ブラミスが渋い顔をした。
やはり武器を大切にしないやつは嫌いなんだろうな。
「炎の精霊イフリートと戦ったんだ、それで溶かされた」
「な、な、な!?い、イフリート様にか?また相変わらず凄い相手と戦いをしとるな」
今度は驚愕し、嬉しそうに笑った。
ブラミスは職人なのに、表情豊かで人間味があるな。
人間ではないわけだが。
「怒らないのか?」
「いやぁ、相手がイフリート様なら仕方ないじゃろうし、むしろ光栄じゃよ」
「様?」
「当然じゃ、セニア、ワシら鍛冶屋にとって、炎の精霊イフリート様はもっとも大事な神様じゃからの」
「そうなんですか」
「うむ。それよりイフリート様と戦って無事で良かったのぉ、しかし、お前さん、武器がないと困るんじゃろ?だからワシのところに来たのかえ?」
「確かにそれもあるけど、まずは謝らないといけないしな、謝るなら直接顔を見せたかったんだ」
「律儀じゃの、良いじゃろ、
また作るぞい」
「ありがとう、助かる」
「ただ、材料がの・・・鉱物はそれなりにあるが、地金となる武器類があまり無いんでな」
「剣じゃないと駄目なの?ほら、大きな槍とかはあるよね?」
「リルム、槍や斧から剣にすることも出来るが、まず形を崩す必要があるからな、大分時間がかかるぞい、急いどるんじゃろ?」
「あ~、確かに最近剣をブラミスに入れてないしな、それも調達しないとか」
と、黙っていたレイチェルが前に出てきた。
そして、腰に下げていた
『小太刀 三日月の光』を差し出した。
「もし。ブラミス殿、それはこれでは足りませんか?」
「む?これは?おお、良い刀じゃな」
「お、おい、レイチェルいいのか?あれ、結構なレアものじゃ?」
「構いません、私個人の持ち物です。私達の都合に巻き込んだため、アレン殿は武器を失ったわけですから、アレン殿だけ被害を被る方が道理に反します」
「そうはいっても・・・」
「お気にならさず。どうせ、その小太刀は私も普段は使いません。先祖からのものですが、使わない武器に何の価値もありませんゆえ」
「ふむ、レイチェル殿、一理あるな、鍛冶屋としてはやはり使ってもらいたいしの。しかし先祖由来の物、本当によいのか?一度手を入れたら戻せんぞい?」
「構いません。また、アレン殿の武器作製に関わる代金もケリューンで負担いたします」
「それは流石に・・・ケリューンだって財政難なんだろう」
「それくらいは平気です。お礼とお詫びとして受け取ってください」
詫びか。あの自爆に巻き込まれたやつの話か。
あれは一方的にレイチェルが悪いわけではないしな。
気にしなくてもいいんだがな。
「ただ、アイスコフィンの方は国の物なので、後程お返しいただきますが」
「もちろん」
「むむむ、うーん、さてどうするかな」
しばらく小太刀 三日月の光を眺めていたブラミスが唸りだした
「どうした?」
「いや、なかなかに良い刀でな、ダマスカスくらいの金属に合わせるのが勿体ないんじゃ」
「ダマスカスじゃランクが足りないのか?」
「それもある。が、ダマスカスとこの武器は相性がの。せっかくの美しい金色の刀身に黒い金属を合わすのはな・・・」
「光属性も帯びとるし、このクラスだと、ムーンライトやブルーメタル、オリハルコンなどに合わせれば、かなり質の良い武器に出来るんじゃが」
「いや、流石にそれは・・・」
「ミスリルではどうですか?」
「うむ、ミスリルならば最高じゃな」
「では・・・」
なんとレイチェルは装備を脱ぎ出した。
きゃ!何してんの!?
「これをお使いください」
「え?」
「これはミスリルメッシュですから。その代わり何か装備を下さい、あ、買いますよ」
急に脱ぎだしたからドキドキしたじゃないか!
アンダーアーマー着ていたのは残念だが。
もう、止めても無駄だし、レイチェルが嫌でないならまぁ、いいか。
「レイチェル殿、では、ミスリルメッシュの腕部を使いますぞ。その代わり、ダマスカスで腕装備を作りますわい」
「はい、それで構いません」
なんだか凄く申し分けない取引じゃないか、これ。
まぁ、いい。
もう1つの本題に入ろうか。
イフリートが操られていた、また今は弱っていること、回復するには必要なアイテムがあることを簡単に説明する。
「つまり、ヘパイトスの火種をなんとかしろってことじゃな?」
「ああ」
「えっと?アレンどうしたの?」
「ドワーフの鍛冶屋はヘパイトスリングを持っている。それの核がヘパイトスの火種だ」
「そうなんですか!?」
「いや確かにそうなんじゃが、じゃがな、ワシがヘパイトスリングを失うとな、鍛冶を続けられなくなるぞい、お前さん達もそれは困るんじゃ?」
「いや、何もブラミスのを寄越せと言っているんじゃないよ、誰か鍛冶仲間とかで不要になったりした人が居ないか当たってほしいんだ 」
「なるほどの。それはいいが、ワシは今からは動けんぞい」
「後でテッハに頼んで誰か人手を遣わせるさ。後の二つも心当たりあれば頼む」
「あいわかった、だが、アイテムは期待するなよ、武器は任せんしゃい」
こうして、装備の軽くなったレイチェルのおかげで、武器はなんとかなりそうだった。
それにしてもレイチェルは丸腰か?
まぁ、しばらく戦闘より準備だし、とりあえずはいいか。
よし、次ぎはテッハだな。




