新たな課題が発覚・・・。
と、溶岩ドームの真ん中には、小さく赤い火の玉があった。
手足も、映えてるし、目や口もある。
いや、マスコットにありそうだ。
可愛な、おい。
察するにこれが最弱状態のイフリートか。
「うぬらが、我輩を?」
いやいや、その風貌でうぬとか、我輩とか辞めてくれ。
笑けてくるだろ。
皆は気にならないのかな。
「はい、すみません、乱暴しまして」
「よい、我輩もやったしな」
「なにより、我輩を戻してくれたのだろう。体が言うことを聞かないとは言え、いきなり襲いかかり、あいすまなかった」
気難しいかと思っていたがそうではないらしい。
誰だよ、うかつに手を出すと殺されかねない的な話をしたのは。
事実そうだったが、正常なイフリートだったら違うじゃんか。
「精霊にこんなこと言うのはおかしいですが、体調はどうです?」
「なんだか悪い夢を見ていたようだ、今はスッキリしている、魔力も体力も消耗してるがな」
「それで、何があったんです?」
「よく覚えてないのだ」
「しばし前に、ここを尋ねた者がいた。そやつは恐らく人間ではなかったと思うが」
「そやつが来てから我輩は意識を奪われたんだ」
何者だよ、そいつ。
何かしたのかもしれない、
が、炎の精霊イフリートを
堕落させるなんてことが
出来るのか?
魔族か悪魔の類いか?
それもかなり上級な。
「そういえば、さっきイフリートさんから黒い魔力が抜けていきました」
「ディアナ、君も気付いたんだね」
確かに黒く沸き上がっていた炎が消える際に
なんか黒いモヤみたいなのがイフリートから出ていった。
あれでイフリートは縛られていたのかもしれん。
「まぁ、しばらくすれば、力は戻るだろう」
「あの、しばらくとはどれくらいでしょう?」
「む?そなたは?」
「はい、私はケリューンの者です、あ、彼らは旅人ですが」
「ほう、ケリューンの?ならば無下には出来まい、それが謀りではないと証明できるか?」
「これでは不満か?」
アレンは、炎のアミュレットを出す。
鎮火してるがな。
「おお、まさしく、我輩の魂のかけらだな、うむ、うぬらを信じよう」
魂のかけらなんだ。そしていいんだ、鎮火してるけど。
「して、ケリューンの。我輩に何用か?」
「はい、国王が床に伏せて長く、国が潰れかけておりますので、お力を戻していただきたく・・・」
「国王・・・?む、ログウェルのことか、そうか、確かにログウェルは我輩の力に左右されるだろうな」
ログウェルとは国王の名前だろう。
「あ、ログウェル様ではなく・・・はい・・・」
違うらしい。
違うならちゃんと否定しなさい。
Noと言える人妻を目指そう。
まぁ、話から察するにログウェルは先代の名前か。
それからレイチェルは、かいつまんでアレン達にしたのと同じ話をした。
ケリューンには説明屋が多いな。
玉露と茶菓子が欲しくなる。
一頻りレイチェルが話したあと、本題に入る。
「ケリューン王は、貴方の加護により、ハーフリングになったようです、本当ですか?」
「うむ、ログウェルには確かに加護を授けた、種族が変わったというのは知らんが、あり得る話だろう」
どうやってとかどうしてとかは具体的に聞いても仕方ないし、
物理で説明できないことに興味ないからいいや。
と思ったが、イフリートは勝手に説明を始める。
お前もしゃべりたがりか。
玉露と茶菓子を用意しろ。
「ん?まだログウェルは生きているのか?」
「いえ、現国王は、イフリート様のおっしゃっているログウェル様のご子息で、リグロン様です」
「そうか、ログウェルは逝ったのか」
「はい。ただ、かなりのご高齢ではありました。リグロン様はログウェル様がお亡くなりになった際に、イフリート様の力を引き続き、やはりハーフリングになられたようです」
「そうか、あの上でなにかやっていた若造だな?」
「ええ、それは即位式ですね」
「なんでもよい。まぁ、そういうこともあるだろう」
「ログウェルは我が分身のようなものだ、その子が我が力を持っていても不思議はない」
「そうなんですか、イマイチ精霊の力を宿すというのがわからないですが」
「そうか、簡単に説明するか。発端は先日、ここ、イラガジェン火山で起こった噴火だ」
「それは、65年前の大噴火ですか?」
「そんなに経つのか、我輩は昨日のことのように覚えているが」
先日って。
精霊の時間感覚はひどいな。
織姫と彦星が会うのは一年置きだが
実は人間に換算すると四六時中会っていてうんざりするみたいな話だな。
ついこの間みたいな話し方するなよ。
さて、少し年表整理をしよう。
ゲーム時点、つまり今から48年前にケリューンは建国10年目という設定だったから、
建国は今から58年前。
65年前だと、建国7年前だ。
そして、勇者レンは17歳で世界を救っている。
つまり、65年前は、勇者レンが生まれた年のはずだ。
「あの噴火は、我輩が意図的に起こしたのだ」
「なぜそんなことを・・・あの噴火でかなりの死者が出たとの記録がありました」
「ケリューンの。何も人間に害意があってのことではない」
「その年に、もう1つ、世界を変えた出来事があったはずだ」
「え?アレン、知っているの?」
「いや、計算上はだ」
「お若いの、話が早いな」
「我輩が噴火を起こしたのは、地中にたまったエネルギーを放出するためだ」
「えっとな、今から65年前。その年は勇者レンが生まれた年なんだよ」
「うむ、各精霊の魔力を高めることで、女神が勇者を作るのだ。だから勇者が生まれた後、放出する必要があるのだ」
勇者の作り方か。
各精霊が力を寄せ集め、女神が何かを形成するのか。
お湯を入れて3分とはいかないらしい。
他の精霊も発散させる何かをしたのかな?
危なっかしいな、精霊は。
こいつだけどかもしれないが。
精霊相手にこいつは我ながらないか。
「その際に、一人の若者を巻き込んでしまい、半死半生にしてしまった」
「しかし、その若者は、あろうことか我輩を心配しイラガジェン火山まで這って来たのだ」
「が、無理がたたり、入口で息絶えそうになっていた」
「憐れに思い、かつ、その心意気が気に入り、力を分け与え、生かすことにした」
「それがログウェルだ。しばらくログウェルは我輩と共にすごし、外に出て、我輩とイラガジェン火山を監視するために建国したのがケリューンだ」
監視って。
マジか、半端ねえな、先代国王。
精霊の加護を受ける前からぶっ飛んでいるし、豪傑だねぇ。
でもそんな話はいいや。
早いところ国王を治す方法を教えてくれい。
「あの、イフリート様、そろそろ、精霊であるイフリート様に、精霊とヒューマンのハーフリングの魔力を回復させる方法を教えてほしいのですが」
レイチェルも早く本題に入りたいらしい。
仕事人間は嫌いじゃないよ。
「やや、すまない、なるほど、それが訪ねてきた要件か」
「方法はおわかりに?どうやら我が国王は魔力が枯渇しているようなのですが・・・」
「その炎のアミュレット、今は鎮火しておる、それに火を灯せればよい」
「灯す?どうすれば?」
「火にくべてみようか」
「そういうレベルの話じゃないだろう。これはイフリートの魂のかけらだそうだ。つまりは、イフリートが力を取り戻せばいいってことではないかな?」
「いかにも、やはりそなたは話が早いようだ。我輩が力を取り戻せば、リグロンとやらもすぐ治るだろう」
「それにはどれくらいかかりますか?」
「そうだな、人間の時間で言えば、数ヶ月くらいか」
「かかりすぎです!」
レイチェルが軽く切れてるが、仕方ないだろう。
イフリートに悪気はない。
いや、お前はイフリートを敬えよ。
何気に呼び捨てしてたり、こいつ呼ばわりしたアレンが言える話ではないが。
「他に方法は?例えば炎を早く復活させるとかはないんです?」
「火属性でイフリート様に攻撃を与えてみるとかはどうでしょう?」
「いや、それは難しいだろう、うぬらが如何に火属性を使うとしても、我輩に還元される量は僅かだ。強さではなく、質が違うのだ。十分な量を出す前にうぬらが倒れてしまうだろう」
「ダメか」
「ふむ、方法はないことはないが・・・」
「何をすれば良いです?私達にはあまり時間が無いのです」
「では、ヘパイトスの火種、焔の珠、竜の火酒を集められるか?それらがあれば、すぐに我輩は復活出来るが」
「わかりました、探してみます」
うわ、マジか~。
簡単にレイチェルは探してみますって言ったけど、結構大変やで。
レイチェル、返事したんだから責任取れよ?
まぁ、素材的には手に入るものだろうが、
今の冒険の進捗だとちょっと辛いのばかりだなぁ。
終盤ならレアでもなんでもないのにな。
タイムリミットも考えないといけない。
一度ケリューンに戻るとタイムリミットってリセットされるのかな?
どちらにしろ、ルドルフに相談か。
最悪、テッハ、ルーア、ラルバ、エルフ女王あたりにも助けを求める必要があるかもしれないな。
あとは、メインウエポンだな。
まずは壊したことをブラミスに謝らないと。
その上で新たな武器を頼まないといけない。
アイスコフィンはレイチェルから借りているわけだし。
丸腰じゃあ流石に無理だ。
さて、どうしたもんかな。




