火山に到着・・・。
火山に行く道すがら、いつものようにブリーフィングをする。
いや、今日のは一方的に指示するだけではないからミーティングか。
「まず、レイチェルさんはどういう感じで動きます?」
「レイチェルでいいですよ、セニアさん」
「じゃあ、レイチェルも僕らにさんは要らないよ」
「いや、そういうわけには・・・私は軍人です、他国の一般人を呼び捨てには出来かねます、ましてや、リルムさんはあのライルエルの人間でしょう、失礼にあたりますし」
「あまり気にしないでいいですよ、家から旅立ってるわけですし」
「まぁまぁ、そこら辺は任せますよ、でも僕らが敬語崩れても怒らないでくださいね」
「わかりました、大丈夫です」
「えっと、話を戻しませんか、セニアさんが言ってるのは戦い方ですよね?」
「そ、ディアナはわかってるね」
「それでしたら、私は皆さんをしばし観察し、皆さんに合わせた動きをします、お気になさらず」
「そうだな、俺たち4人はいつものようにやろう、その上でレイチェルは自分で戦い方を考えて動く。でいいかな」
「うん、それがいいかもね」
「基本的に物理攻撃主体ですが、自分の身は自分で守れますので」
レイチェルはNPCだ。
つまり、一時的な仲間だし、指示もできない。
ただ、修練場での腕前を見ると戦力にはなるだろう。
一応、アレン達もそれぞれの戦い方は簡単に説明する。
軽戦士でもアレンとセニアは大分違う戦い方をするし、レイチェルは中間かな。
次に、いつものようにイラガジェン火山の魔物についての説明をする。
レイチェルから『なぜ知っているんだ?』という最もな疑問が来そうだが、
いちいち構ってられない。
イラガジェン火山の敵は、フレイムマン、火喰い鳥、フレアリザード、ヘルハウンド、メタンクラウド、ボムボムボン、の6種類。
どれも火属性を持ち、物理攻撃で火傷の状態異常を引き起こす。
火傷の発生確率は低いが、全部の敵から受けるとなると、相当な回数火傷に悩まされるだろう。
下手な鉄砲も数打てば当たるわけだ。
ちなみに火傷は全状態異常の中で唯一、対策アクセサリーがない。
全部の状態異常対策アクセサリーであるマイティチェックなら対策出来るが、火傷だけに特化したアクセサリーはないのだ。
だからゲーム中でも、イラガジェン火山での火傷には結構苦労し、中盤のダンジョンとしては難易度が急に上がる鬼門だったりする。
さて、まずはフレイムマン。火が人型を形成しているが、核となる物質はなくスピリットだ。
ファイアブレスも吐き、全体攻撃もしてくる。
ファイアシュートと言う技を使ってきてラーニング出来るが、
既にアレンはラーニング後の火炎弾を使えるため、必要はない。
燃えてしまっているからか、アイテムを全くドロップしないのが珍しい。
次に、火喰い鳥。現実世界ではオーストラリアに生息する絶滅危惧種で、別に火を喰うわけではないし、燃えてもいない。
しかし、こっちの火喰い鳥はまさに、火の鳥で火が鳥の形をしている。
こちらも燃えている中心核はない鳥型のスピリットだ。
急加速して嘴で突っ込んでくるバーニングバードは威力もスピードも高いから要注意。
しかもラーニングが可能だ。
ただし、これは元々燃えているから、炎を纏っているように見えるだけで、無属性だ。
ラーニングすると名前はアクセルスパイクになるが、
技の使い勝手等は、変わらないので是非とも盗みたい技だ。
こいつもアイテムドロップがない。
フレアリザード、ヘルハウンド、は燃えてるデカいトカゲと頭が二つある犬だ。
戦闘としては
両方ともラーニングスキルは無いし、変わった攻撃もしてこないので、
高い攻撃力を誇ると言うくらいで、あまり特筆することはない。
ヘルハウンドは様々な素材を落とすから戦ってもいいが。
メタンクラウドはガス状モンスターで、ガスクラウドの上位種だ。
通常攻撃が通らないので、魔法チームに任せることにする。
火属性攻撃をすると誘爆するが、あまり威力は高くないので、燃やしてしまうのもありと言えばあり。
ラーニングスキルはなし、ドロップはガス玉を落とす。これは戦闘で使える攻撃アイテムだ。
ガス玉を投げ、火を放つと、火属性攻撃の威力を上げるアイテムだ。使いどころはある、集めてもいいかな。
注意するのは、ボムボムボンだ。
ボムボムボンはふわふわ浮いてる爆弾みたいな丸っこい魔物だ。
可愛い見た目と反して結構ヤバイやつだ。
ラーニングスキルもあるが、それは自爆。
自爆は対象とした単体の相手に大ダメージ与える代わりに100%自分は死ぬ。決死の一撃だ。
蘇生方法のないこの世界では、真似するわけにいかない。
だからそんな技は危なっかしくてラーニング出来ないし、
ボムボムボンと戦うだけでダメージがでかい。
バンバン関係なく爆発しやがるのは勘弁して欲しい。
爆発する前にタコ殴りにするしかないわけだが、戦闘自体を避けたい相手だなぁ。
ドロップもないわけだし。
と言う内容を皆と話す。
さしあたり、仲間内にもレイチェルにも、最低限の指示だけをしておく。
火喰い鳥はラーニングするからアレンに任せてほしい、
ボムボムボンは一匹ずつ全員で真っ先に倒すくらい。
ラーニング自体はレイチェルも見ているからそれは納得してくれた。
魔物については不思議がっていたが、
疑問は、本質的に関係ないと分かるやいなや圧し殺したようだ。
うん、真面目な仕事に生きる軍人らしいが、正直助かる。
説明するのは面倒くさいし、仲間にならない人に言っても仕方ないし。
さて、イラガジェン火山に到着した。
「馬車はどうする?」
「アレン、流石に入れないと思うわ、うーん違うな、入れなくはないけど、何かあったら後が大変だからやめておいた方がいい、かな」
「いい答えだな、サキ。わかった、じゃあ、後は頼む」
自分の力を過信しない、やれることをやる、サキは合理的だな。
なまじ無理してやれますより余程好感度が高いし、信頼できる。
中に入ると、うわぁ・・・暑いではないな、もはや、熱いだな。
「イフリート様は奥深くの溶岩ドームにいらっしゃいます」
「ああ、わかりました。レイチェルは来たことがあるんで?」
知ってますとは答えないのがポイントだ。
「はい、ありますよ、国王が即位された式典は、ここでやりますから。ただ、そこまで奥にまでは行ってないですが」
「奥か、戦闘や散策を兼ねると1日じゃ無理ですよね?」
「そうですね、式典をやる広場までも注意を払いながらだと半日くらいはかかるので、1日では難しいかと」
「どっかで野営か、干からびそうだな・・・」
「いえ、途中に水源のある比較的暑くない休憩できる場所がありますので、そこまで気を付けて行きましょう」
確かにゲーム上では休憩できるポイントがあったはずだ。
セーブ回復ポイントだが、セーブシステムが使えないのが残念だわ。
そこにある水はおそらく熱いとか、有害物質とかの観点から
飲めないだろうが、休憩くらいはできるだろう。
まずはそこを目指す。
水が足りなくなるのだけが心配だ。
サキと合流しようにも、サキを呼ぶことは出来ても
サキ側に行けないとか、パーティーを分断すると合流出来ないとかが、煩わしいな。
「水の補給が一番ネックだな・・・アイテムじゃないから手持ちをせざるを得ないしな・・・」
「なぁ、ディアナ、エスパシオはどこまで自由が効くんだ?」
「えっと、それはエスパシオが使える場所を聞いています?ダンジョンでは使用出来ないです、一度エスケーパーで脱出してから出ないと」
「うーん、どちらかと言うと、エスパシオの着地点はダンジョンの中でもいいのか?を知りたいな」
「それは場所に寄りますね、条件としては、術者が行ったことがある場所で、かつ魔物がいないところなら多分行けるはずですが・・・たまに例外はありますが」
「レイチェル、さっきの休憩場は魔物出ますかね?」
「いえ、出ないかと思います」
「じゃあ、最悪、水が足りなくなったら、エスケーパーで火山から出て、休憩できる場所までエスパシオで飛ぶが可能なら補給出来るか、ディアナに頼ってばかりで悪いが」
「アレンさん、エスパシオとエスケーパーを使うのは構いませんが、それが出来る場所かどうかは現時点では私には判断しかねます」
「だよな、じゃあ、とりあえず、一個目の休憩できる場所で試そうか。そこがエスパシオの到着点に出来なければ、やり直しだが、もっと準備が必要なのがわかるし、エスパシオで行ければちょっと進んで、出て、戻ってが可能だしな」
全員了解したようで、さしあたりの指針が決まった。
ちくしょう、ゲームであれば食事や飲料水なんか気にしないのに、
実際に生きてるとなるとそうはいかないな。
水とか、消費アイテムにしてくれねぇかな、割りとマジで。
今後あるだろう広大なダンジョンかつ、馬車が入れないところとかは真剣に食事などを対策が必要だな。
ま、とりあえず行こうか。




