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とある天才が異世界でも規格外だった件  作者: dainasoa
第2章 一人よりも二人が良い
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夢でもし会えたら・・・色々聞いてみる

疲れていたせいかベッドに入るとすぐに眠りに就いてしまった。

高反発すぎる硬い板に布団だが、マーレが念入りに干していてくれたのだろう、

ふかふかで寝心地は良さそうだ。


頭の中で誰かの声がする・・・


「レン、レン、今はアレンでしたか、私の声が聞こえますか」

「う、ユミル?」


姿はみえない。残念だ。あの素晴らしい胸は是非見たかったが。


「はい」

「なぁ、さっきのは酷いだろ、一方的に話して放置じゃないか」

「すみません、怒らないでください。

あなたが起きようとしたからです。今は夢を通じあなたに語りかけています。

もっと早くに色々教えて差し上げたかったのですが、なかなかあなたの意識が途絶えなかったものですから。」

「・・・睡眠中しか話せないのか」

「そう言うわけではありませんが、そうしておいた方が懸命です」

「何故?少なくともあんたには最低限のことは聞いておきたい」

「私があなたに接触すると、魔王の復活が早まります。魔王の封印には私の命が使われており、私が行動した分だけ封印が弱くなります」


命を消費してるのか?放っておいたら死ぬのか?

あの由美に似ている風貌なら助けたいが・・・いやいや、違う違う。すぐには無理だと理解した。


「今は平気なのか」

「あなたの意識がない状態なら大丈夫です。

ただ、その状態だと、あなたは実際には眠れていないのであまり長いとあなたが疲れてしまいます。

ですが、話さないといけないのでお邪魔しました」

「そうか、じゃあ手短に頼む。今後こっちの好きなタイミングで話しかけることは出来るか?勿論俺が睡眠中に。」

「それは無理です。私も封印されているようなものですから。

魔王は封印していますが、それでも魔王に察知されたらおしまいです」


色々不便だな。ただ、事情は分かったし、魔王復活は必然だとしても少しでも時間は稼いでおきたい。


「まず、アレン、あなたがすべきことは・・・」

「ああ、そういった説明はいらないから」

「はい?」

「攻略サイトのように次に何するとかそう言うの指示されたくないし、どうでもいい。自分で考えるから」

「はぁ。そうはいっても・・・」

「心配しなくともこの世界のことにはかなり詳しいはずだ。

ゲームとしてやり込み尽くしたし、覚えてるからな。まぁ、48年前の情報だが。それに、俺が考えた方が多分上手くいく」

「ですが・・・一応何をするつもりか話してみてください」

「具体的に何と言われれば都度都度考えるし、情報も必要だが。やることは明確だ。

1つ目は俺自身が強くなること、

2つ目は移動方法を確保すること、

3つ目は仲間を集めること、

最後に聖剣クラウ・ソラスを見つけることだ。

もっと詳しく言えば、レベルアップ、魔法の習得、必殺技の習得、装備の充実、ガーディアンとの契約辺りが1つ目の中身だ。

移動手段は飛行ユニットか転移魔法だが、一筋縄ではいかんだろう」

「・・・さ、流石ですね、明確化されすぎていて何も言い様がありません。あなたの頭の良さを信じるとしましょう。」


聖剣クラウ・ソラスは魔王討伐に必須である。

アイルランド語で『光の剣』を意味するこの剣は勇者だけが持てる剣であり魔王の絶対防御壁を破れる唯一の武器だ。

これがないと魔王にはかすり傷すら与えられない。この世界では勇者レンが封印したはずだ。

だが、エンディングの中ではどこに封印されたかまでの話は無かった。


ガーディアン。守護聖霊のことであり、聖霊の種類にもよるが契約できれば力や防御があがったり、いざと言うときは召喚し戦局を変えることができる。

が、ゲーム上でも獲得は難しいのは事実だ。

だが、魔王と生身で戦うなら絶対欲しい力だ。生存率が段違いのはずだ。

さらにどうやったら出会えるかは頭に入っている。契約時の試練をクリア出来るかは別問題だが。


「ですがアレン、私から1つ追加させていただきます。あくまで指示ではなく、アドバイスですが。早々にアールブと合流してください」

「アールブ?誰だ、それは。」


古代ノルド語でエルフのことだが、そんなのいたっけ?


「私の化身である妖精です。あなたをここに導いた時に生み出しました。そのため、あなたがプレーヤーだった時にはいません。

あなたにしか見えないですし、小さな妖精なので戦いは出来ないですが、きっとあなたの助けになります。

わからないことは彼女に聞いてもらえれば。

不慮の出来事であなたがこちらに来たときにあなたと同座標におくことが出来ず、行方知れずですが、そう離れていないところに居るはずです。」

「分かった。探す。近いんだろう?

ただそのアールブを生み出すエネルギーを魔王封印にあてておけばもっと封印できたのでは?」

「大して変わりません、それよりあなたが迷わず魔王を倒す確率があがる方に賭けました」


手がかりは俺にしか見えない小さい妖精ってだけだな。


「他に私からは何をお教えすれば良いですか?」

「記憶喪失ということにして、ある程度はセニアから聞けたが、そもそも概念としてセニアが把握していないところは確かめようがない。

そこら辺を教えてくれ。こっちが質問するから答えてくれればいい」

「はい。わかりました」

「まず、こっちの1年は何日で、1日は何時間だ?1分、1秒は同じ長さか?昼夜の振り分けはどれくらいずつだ?俺のいた世界の時間感覚で換算してくれ」

「1年は約400日で、1日は約25時間です。1分や1秒は同じ長さです。昼夜は場所や季節によるのでなんとも言えませんが」

「季節や時差があるのか?では世界としては球体で太陽みたいなのに照らされてるで良いか?」

「はい、大体そんな感じです。季節はあなたの世界と同じ四季です。1年の始まりは帝都ウィリアムに春告げの花が咲いたらスタートになります。因みに今年は昨日です。」

「なるほど、花が季節の目安なら1年が大体の日数でしかわからんのか。」

「はい、春告げの花が咲いてから100日後に夏宵の儀式があり、また100日毎に秋、冬です。冬は次に春告げの花が咲くまでなのできっちり100日にはなりません。

基準は帝都ウィリアムになります。帝都ウィリアムは四季がかなり安定しほぼ100日毎です。」


2年といわれていたが、実際には余分に2ヶ月くらいあるらしい。

短いとかだとシャレにならん、助かった。


「分かった。次にこの世界の言語は日本語で通じるのか?」

「最も広く使われているのは、ヤパナ語です。あなたの日本語はヤパナ語に訳されていますし、ヤパナ語はあなたには日本語に聞こえますし意味も同じです。私とは日本語で話していますが」

「話すとか聞くはできるが、読み書きは無理か」

「アールブなら両方分かるので合流してから困ったら頼ってあげてください。あとは種族によって独自言語があります。そちらは必要になったらで大丈夫かと。アールブはエルフ語でも分かります」


エルフに協力を求めるならアールブを見つけるのは必須と。

まずはやはり、アールブ探しが優先かもしれない


アレンは頷き、次の質問を始める。


「こっちの重力は何Gだ?正確な時間が測れないから計算が出来ない。体が異常に軽いし速いらしい」

「大体0.4Gくらいです」


やはり重力は軽かった。かなり速く動けるし、物も軽く感じるから戦闘とかでは有利だろう。

ゴブ達が遅かったのはこれが原因か。

ただ、体がこの重力に慣れてなまったりしては意味がない。

しっかりトレーニングはしておかないといけない。


「心配しなくてもあなたが0.4Gに慣れてしまうことはありません」

「なぜ?」

「この世界の重力が軽いだけであなたには通常1Gがかかっています。戦闘や筋力を使うときだけ0.4Gになります」

「わけわからんが」

「とにかく、あまり深く考えずにそう調整されていると考えてください」


なんて便利な。じゃあ、質量保存はどうなるんだ?


「この世界の物理法則はどうなっている?俺たちの世界と変わるのか?」

「具体的にはどういうものですか?」

「まずは質量保存の法則は?荷物が増えてくると重いだろうし、複数の武器とかを持ち歩くのも大変だ」

「うーん、質量保存はします。が荷物に関しては、なんとかなると思います」

「と、いうと?」

「荷物はアイテムストアを使えるようにします。アイテムストアに入れたアイテムは質量保存の法則を無視できます」

「どうすればいい?」

「ストアと念じてみてください、空中にアイテムを入れられます。実はゲームではプレーヤーは初めから使えるようになっているんです」

「だからどんな重いものでも何個でも持てるのか」

「はい、これは最初から使えるようにしておかなかった私のミスですね」

「いや、いい」

「ただしストアは戦闘中などは使いにくいです。あくまで手持ちの荷物と別に保管されているので、出し入れはスキだらけになります」

「わかった。万有引力や慣性は?」

「元の世界と変わらないですよ」


良かった、とりあえずは殆ど変わらないようだ。


「魔法の習得仕方はどうすればいい?

さっき、ゴブ達を倒してレベルもあがったが、勇者がLv3で覚えるヒールをまだ使えるようになってない。そもそも勇者のジョブにまだつけないからなのか?俺に魔力がないから無理なのか」

「魔法はそのうちとしか。勇者がLv3で覚えるというか、その人の特徴によるものが多いのです。

確かに今、アレンさんは魔法が使えないようですが、きっかけがあれば開眼するはずです」

「分かった、色々試してみる」

「あと、知ってると思いますが、Lvとジョブは関係ありません。またジョブも自分の意志で気軽に変えられるものではなく、イベントや任命、一部はアイテムなどで転職します。勇者になれていないのはまだあなたが勇者足ることが出来ないからです。」


なるほど、Lvとジョブ習熟度が関係ないのは分かっていたが、

ゲームのような始めから勇者の役が与えられていないからか。

2年で勇者になるってそう言うことか。転職できる神殿などはないのはゲームと一緒のようだ。


「次な、さっき、ゴブリーダーの火炎撃を見た時になんか変な感覚があって、その後、火炎撃を真似出来たんだが、あれはなんだ?」

「ラーニングです。敵が放つ技など、仕組みやダメージ数、どういう技かを把握していると稀に技を盗むことが出来ます」

「あれがラーニングかぁ、わからんかったわ。ラーニングはゲームでは物真似士にしかできないんじゃ?それに稀にって。火炎撃2回目で覚えたが?」

「いや、物真似士じゃなくてもラーニングは出来ます。が、技の特性を見抜くのが難しく、物真似士以外だと確率がかなり下がるだけです」

「俺、物真似士になるのか?」

「なりません。アレンさんはあらゆる技の詳細を既に知っていて、理解しているのでラーニング出来る可能性が高いんでしょうね」


なるほど、スキルでも強くなれるのか。

ゲームでは物真似士は敵からラーニングしまくれば最強だが、オリジナル技がないため、育てるのに苦労した記憶がある。

しかし、俺ならラーニングできる技と出来ない技の区別はつくし、色々有利なのは間違いない。


「次に、この世界で死んだらどうなる?」

「終わりです」

「は?」

「文字通りゲームオーバーです、ゲームの中だけに。とまぁ、冗談はさておき、あなたに取ってはゲームの中ですが、ここは現実です。

従って、死ねば終わりです。生き返ることはありません。それはあなたもですし、あなたの仲間になる人も、町人達、魔物達もです。」

「蘇生魔法や蘇生アイテムも教会もないんだな」

「ありません。ステータス異常を回復するアイテムはありますが。ついでにいうとセーブやリセットも勿論できません」

「だろうな、納得だ」

「その代わりではないですが、あなたは一部のステータス異常になりません。」

「え?」

「体組織がこちらの人と違うため、毒、呪い、麻痺、衰弱、石化、ゾンビ化などのステータス異常にかかりません。ただし、火傷と睡眠にはなります。また毒の沼地などでは普通にダメージ受けますが」

「それ、凄まじいチートじゃないか!」


石化や麻痺で全滅はゲームでは多々あることだ。それがないのはかなりデカイ。

自分が回復アイテム持てば仲間も含めかなり安全だ。


「それだけ死なれると困るのです、怖くなりましたか?」

「いや、やり直しきかない方が真剣にやらざるを得ないし、かと言ってステータス異常は厄介だし。その方が本気でやれる、好都合だ」

「あなた、変わってますね、勇者はそうでなくてはいけませんが」


だからか、今日、結構ブルーフラワーの攻撃受けたのに一回も毒にならなかった。


「俺のように異世界から来たやつはいるのか」

「いいえ、あなたが最初で最後です。今まであのエンディングに立った者は数人いましたが、全員こちらに来るところで拒否しました。こちらに来るかの選択は一度しか選べません。そしてあなたの次の人を待っている時間も余裕もありません。」


「俺は向こうに帰れるのか」

「あなた次第と言ったでしょう。その方法はあなた自身が紡ぐ物語ですよ」


ちぇっ、やり直しは出来ないくせに、行動がストーリーを決めるところはゲームに忠実かよ。

まぁ、いい、深く考えるだけ無駄だ、選択肢は魔王を倒せるよう強くなること以外はないわけだし。


「魔王はゲームのラスボスでいいんだな?」

「それは答えられません」

「なぜ?」

「・・・」

「じゃあ質問を変える。本当に2年後に復活するんだな?とは言え魔王復活は世界で認識されているように思えない」

「勿論、超極秘です、一部にしか知られていません」

「一部とは?」

「話せません。魔王に直接通じることはご自分で探した方が、48年前との差を認識する上で良いでしょう」


もっともだ。魔王の噂してたら魔王に変な魔力とか宿って強くなるとかあったら怖いし。言霊ってやつ?


「最後にもっと生臭い話をしていいか?この世界で俺が遺伝子をこちらに残すことは可能か?」

「・・・頭良くても男性ですね、とは言え、それ私に聞きます?神とは言え女性ですよ!」

「いや、すまん、でも必要になるかもしれない。」


頭が良くてもねぇ・・・だって男の子だもん♪

夢から醒めればセニアがいる。

スレンダーなのに胸はでかいし、そもそもかなり美人だ。

そりゃ、どうなるかはわかりませんよ、お姉さん。

ただ、目的はそうではないことは把握している。


「まぁいいです。先ほども言ったように、あなたはこちらの世界と体組織が違います。

そのため、子供を作ることは不可能です。また、子孫を残すと勇者として、力の一部を相続する、

つまり力を失うことになりますのでそれはだめです。

ちなみに、それがレンが子孫を残していない理由です。これ以上聞いたら怒りますよ」

「わ、分かった」


よし、ひとまずは安心だ。何が?

ハーレムもOKってわけだな!いや、とりあえずはってだけ。何もしません。


「そろそろ時間です、きちんと寝て体力回復するようにお願いしますよ、ではおやすみなさい」


意識が遠のき、ユミルの声が薄れていった


48年前との差か、気になる単語が出てきたな

知っている事柄が常識とは思わないことだな。


それになぜ2年後なんだ?聞きたいことはまだまだあったが仕方ないだろう


そんなことを考えながら今度こそ睡眠に入っていった。

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[一言] 胡散臭いんだよな〜女神が裏ボス的
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