引き続きケリューンの問題を共有・・・
「な!?」
アレンの指摘に声をあげたのはリルムだ。
そんな自体だとは思わなかったのだろう。
そして国王が不在であるならウィリアムとの貿易の話を進めるべきでもないだろう。
「リルム、落ち着け。話の本題はそこじゃないよ」
「あ、ごめん、なんかびっくりしちゃって。ケリューン王には会ったことあるし、聡明な方でしたから。何があったんです?」
「先ほども言ったように、飛行船で輸入中に魔物に襲われまして」
「私は乗船していなかったので、ここからはレイチェルに説明をしてもらいましょう」
だから、リルムの質問に答えてやってくれよ。
相変わらず回りくどいおっさんだな。
飛行船の話に戻すなよ。
ま、おっさんの話は飽きたから、お姉たまが話す方がいいから止めないが。
「私は国王の護衛として同行していました」
「あの時、死人が出なかったのは、王が真っ先に身を呈し皆を守ったからです。王は確かに聡明ですが、自分より国民の命を大切にしておられます」
マジか、流石すぎるな。
2代目とは言え、先代と同じ気概を持っているみたいだ。
どこかのピエールとか言う馬鹿貴族にも聞かせたい話だな。
ん?ちょっと待て。あの時って。
「まさか、王様が乗船していたんですか?貿易船に?」
「はい。」
いやいや。
輸出入に王が出てくるとかマジか。
危険だし、仕事してる乗組員には迷惑だろ。
そして何故国王の出張に騎士団長のルドルフが同行しないんだ?と言うツッコミはこの際、置いておこう。
「はい、王は別用でサルトベルグに行っていたんですが、帰りが丁度輸入船出発と重なりまして、乗船したんですよ」
なぜそんな無駄なことをするんだ?
物好きだな。
まぁ、国王として、色々現地で見て、問題を出したり、激励するのは必要なことかもしれんが。
上司としては面倒くさがられるタイプだな。
国王の旅のパーティーにはエスパシオを使える魔法使いくらい居るだろうに。
いや、エスパシオを使える状況だったから皆無事だったということか?
逆に言えば国王が一緒じゃなかったら全滅してた可能性があるのか。
乗組員にエスパシオを使える人が居なかったらまず全滅だし、
そもそもエスパシオが使えたら、乗組員なんて仕事しないよな。
そう考えるとめちゃめちゃな運を持ってるな、国民助けられてラッキーなのか、巻き込まれて不運なのかは知らんが。
「魔物どものリーダーを倒すことはできませんでしたが、乗船していた皆を逃がすことをなさったのです」
「あの時、船から従者の魔法使いがエスパシオを使い脱出したんですが、輸入船には大勢の乗船員もいまして」
「お抱えの魔法使いの魔力だけでは足りなくなったと・・・」
「はい、魔法使いが数回往復してるうちに魔力が無くなりました」
「王は乗組員の脱出を優先させ、ご自身は最後まで残られていました、もちろん私たち兵士もですが」
「最後の方は、王は自らの魔力回復しながらも、ほぼ全て魔法使いに分け与えたようです」
「ようです?」
「私と兵士は襲ってきた魔物とたたかっていましたので、王は背中越しでしたので、見てはいません」
「恐らくスペシェアを使ったんだな」
国王、すげぇ、魔法使えるんだ。
しかも自分が最後まで残るか、普通は船長の役目だが、根性座ってるな。
かなり人として優秀だな、ただのボンボンじゃない。
だが、使えるならエスパシオを使うべきだ。
いや、魔法使いを帯同しているから王自体はエスパシオ使えないのか。
それに墜落しだしてる飛行船で戦っていたレイチェルも半端ねぇな、勇猛果敢だ。
「良くご存知で。そして乗船員も含め全員無事でしたが・・・国王は魔力を使いすぎ、すぐに倒れられ、今も目を覚まさないのです」
「ご存命ではおられるのですね?」
「ええ、ただ、治療方法がどれを試してみてもあまり効果がなく、進みませんので、いつお目覚めになるかわかりません」
魔力水の類いを強制的に飲ませるとかは無駄だろう。
ディアナがバイアールに魔力を枯渇させられた時にも魔力水での回復ではなく、
女王が直接魔力を注いだはずだ。
あれは今考えればスペシェアだったのかもしれん。
恐らくある一定以上に魔力が枯渇すると、精神に影響し、回復出来ない事態に陥るんだろうな。
普通はそこまで使う前に魔法が発動しなくなるだろうが、
無理やり魔力自体を引っこ抜かれたり、分け与えたりするとそうなるまで引き出せるわけだ。
それでも自発的なスペシェアでそこまでになるには相当の覚悟がいるだろう。
あれ?ディアナに女王がしたのがスペシェアなら、ケリューン王にもスペシェアで回復させられないのか?方法あるじゃん。
国王は復活させたい、そうしないとサルトベルグに渡るのが面倒くさい。
多分、ルドルフでは飛行船の使用許可が出せるとは思えないし。
「ディアナ、ケリューン王にスペシェア使ったら回復すると思うか?」
「うーん?恐らくダメでしょう」
「試しにやってみてくれないか?」
「それ自体は構いませんが、効果はないと思います、魔力の無駄ですね」
「というと?」
「魔力枯渇状態は、通常の回復は効かないのです。魔力が-状態だと、どれだけ回復しても0に戻せないからです」
「例えるならザルに水を入れているようなものです。一度ザルからボウルに戻すには別の方法が必要です」
わかりやすい。上手い例えを使うな。料理なんか絶対しなそうだが。
「スペシェアでもか?ディアナはそれで復活してるだろ?」
「あ、いえ、女王が私にやったのはスペシェアではなく、魂自体を切り分けて穴埋めしていまして、エルフにしかできない、エルフにしか効果のない治療なんですよ」
「それに既にスペシェアは試されてるのではないでしょうか、一般的な魔力の回復方法ですし」
レイチェルを見ると、不安そうに頷いた。スペシェア案は駄目か。
「魔力枯渇状態は、種族によって回復させる方法が異なりまして、正しい方法でないと効果がないんですよ」
「そうなんですか、全く知りませんでした、ですが!それなら方法がないわけじゃないんですね!」
レイチェルがびっくりしていたが、俺も知らんかった。
アレンに教鞭たれることが出来るディアナは頭がいいなぁ。
繰り返すと、魔力枯渇状態は所謂、-なのか。
そもそもゲーム中に残りMPが-になることはないし、
0でも魔力水や宿泊で普通に回復する。
「失礼ですが、ケリューン王はヒューマンですか?ヒューマンだと、まず魔力が枯渇する前に気絶するはずですが・・・」
なんだと?
ケリューン王が人間じゃないだと?
そんな設定があったのか。
レイチェルに変わりルドルフが答えた。
お姉たまタイム終わりか。
おっさんはいいよ、黙ってろよ、とは言えない。
「いや、王はヒューマンではなく、ハーフリングのはずです、先代もですが」
「ハーフリング・・・何とのハーフですか?」
「正しくはわかりませんが、先代王は元々はヒューマンで、炎の精霊『イフリート』の加護を受けたそうです。ケリューン建国時にヒューマンからハーフリングになられたそうですよ。現国王もその力を引き継いでいるはずです」
「それなら、精霊と人間のハーフリングですかね」
エルフの説明で、神混じりの話があったが、それとの違いがまるでわからん。
精霊とのハーフリングだから魔法使いじゃなくても魔力が使えるわけか。
まぁ、魔力が使える人間は珍しくはないし。
エルフとハーフリングの違いを気にしてもしょうがないか。
そういうもんなんだろう。
「ディアナ、ハーフリングの治療方法はわかるか?」
「いいえ、ハーフリングですと、わかりませんね。先代国王に聞くのはどうでしょうか」
「それは無理です、既に崩御されております。崩御されるときに、現国王に力を引き継いだと聞いております。ハーフリングでも寿命はヒューマンと変わらないようですが」
「じゃあ、炎の精霊とやらに、話を聞きに行くしかないってか」
「!正気ですか?炎の精霊『イフリート』はかなり気難しく、下手に怒らせると焼き殺されますよ?」
「じゃあ、力づくで行こう!力を認めてもらえば良さそうじゃない?」
あ、セニア、起きていたんだ。全く喋らんと思ったら、戦闘の話となると元気だな。
流石戦闘民俗。
「待てって、セニア。そうだとしてもしっかり準備はいるだろう」
イフリートか、やっかいだな。
焼き殺さるかもか。どうするかな。
黙らせるアイテムとかあるのかな?
先代国王はどうやって加護を手にいれたんだ?
だが、まずは、話を終わらせようか。




