進路を決め・・・
ルーアの塔からガルハック地下洞穴に戻る。
行きと違うのはテッハ達がいないこと、馬車があることくらい。
あまり時間はかからないだろう。
道すがら、ブラミスに緋色の衣の製作を頼み、他にも素材を送った。
酸液つき牙は送るか迷ったが、セニアが身に付けているビーストネイルとセットにしないと意味がないので、またにする。
後は、耐闇、耐光の物を出来ればお願いする書面をつけた。
特に耐闇は勇者候補のアレンは欲しい。きっと勇者になったら闇が弱点になるわけだし。
まぁ、これは出来ればだ。まだ闇魔法を使う敵自体居ないはずだ。
しかし、鵺のようなゲーム以外の敵が来るかも知れない。
焦らないがなんとかしたいくらいのノリだな。
やり取りは基本書面を指定してきた。意外としっかりしてるな。まぁ行くよりは面倒くさくないし、紙とペンはエルガルドで自由に使えていたし、ストアに山のように入れたから問題はない。
金は後払いで良いそうだ。ブラミスのことだ、またわけわからんほと安い値段を言い出すだろう。
ガルハック地下洞穴まではやはり戦闘にはならない。
テッハのおかげでじゃなかった、なんだ、期待したのにパチもんか。
サキとも普通に話が出来る。
「とりあえずガルハック地下洞穴南口までは行くけど、アレン、その後はどうする?」
「そうだな、とりあえずガルハック地下洞穴の西側で合流しよう。それからクードはすっ飛ばせそうなら直接ケリューンを目指せるか?」
「それなら地下洞穴から出たら進路を北北西にとるわ、大丈夫よ」
「方角はどう決めるんだ?」
「星と風を読むのよ、それは私は得意だから任せといて」
地図を見なくてもサラサラ答えるあたり、凄いな。
予習をきちんとしてるっぽい。
方角について星はわかる。北極星みたいに動かないやつがいれば成立する。
しかし、風とな。
すいやせん、姐さん、あっしは風属性ですが、読めませんぜ。
いや、御者の魔法か?
御者が方向音痴だったら路頭に迷うしな。
「え?クードは行かないでいいの?」
「私は見たいですが」
「セニア、ディアナ。クードはキリアル以上に何もないところなのよ、砂漠の中継点で、一応オアシスなんだけど・・・」
「大して立派でも綺麗でもない湖があるだけだ」
「やっぱりアレンは知っているのね。そうね、クードでは多少の回復アイテムや水を補給出来るだけなの、しかも足元も見られて凄く高いのよ」
「水浴びとかはいいのかな?」
「セニア、それだけは絶対にやめてね。したら死刑よ?ケリューン領で水を無駄にしたらまずいわ」
オアシスといえば水浴びだろ!
せっかく美人揃いなのに!
あ、水着ないじゃん。
いや、無くていいか!
それにセニアの水浴びした水なら無駄にはならないだろうが。
眼福も込めて何かご利益がありそうだ。
とは言えない。
「ちぇ。まぁいいわ。普通はキリアルからケリューンの途中で寄るだけで、私達はルーアさんのところ中継したし、必要ないってことね」
ルーアは水とかは無料で好きなだけ持っていけと言っていたな。
火の大陸ど真ん中で、どう確保してるのかは聞かないが、きっと魔力でやりたい放題なんだろう。
時空間を歪めて、亜空間とかに専用蛇口があったりしてもおかしくない。
イチイチ突っ込むのも疲れるし、腹壊したりしないなら、なんかどうでもいいや。
「そういうこと。それに、ガルハック地下洞穴の出口からクードは西にあたる。そこからケリューンは結構北になる。クードを経由する方が距離が長いんだ」
「そうなの?」
平面に三点を繋げば自然に三角形が出来る。
三角形はユークリッド幾何学上は必ず二辺の合計は残る一辺より大きいのが普通だ。
いや、正確には曲面なんだろうが、平面に近似できるのだよ、きっと。
そういえば、どっかの入社試験かなんかで三角形の一辺を求める問題がでて、
この三辺の条件を満たさないため、答えは『こんな三角形は存在しない』だったというのが話題になった。
あれは出題者側のいじわるなのかミスなのかは未だにわからない。
会社規模からして多分わざとだ。
という話をセニア達にしてもわからないだろう。
ユークリッドって誰?の説明だけで日が暮れそうだし。
特にセニアは理数系ではなく、感情と直感で動くわけだし。
「いや、その、私が行かないとエスパシオの飛ぶ先にもならないですが、問題ないです?」
「あ、そうか、確かに。だからディアナは見たいのか」
「はい、見たいわけではないですが。エスパシオは一回行ったところにしか行けませんし」
「うーん、ルーアの塔には行けるんだよな?」
「あ、それは大丈夫です」
「なら、わざわざ迂回する必要もないし、やっぱりいいんじゃないか?エスパシオで行かないといけなくなる事態が予想できない」
「わかりました」
ゲームではクードは水補給という役割があるのは知らなかったが、
セーブポイントとして寄るのと、ゲーム中は砂漠内での方向は分かりにくいため、寄った方がケリューンに行きやすいだけで、
ケリューンに一度着けば直接エスパシオで行けるので、もう二度と寄らない。
ディアナはちょっと違うところで心配してくれているらしい。
なんかこのまま行くと、アレンとリルムが共通認識持てて、セニアは補足が必要、ディアナは違うベクトルとかになりそうだ。
それは仕方あるまい。
「まとまったかしら?」
「サキ、やっぱりケリューンに向かおう」
「わかったわ。そうね・・・地下洞穴の西側出口からケリューンまでは8日くらいかな?」
カッシームでは、10日分の水を買ったはずだ。
キリアルまでと地下洞穴までに消費した分は補給したから、8日だと短くなっているだろう。
「分かった、頼む」
「アレン、地下洞穴の西側出口まではどれくらいかかりそう?出来れば暗くなる前に出口で合流したいんだけど?」
「ああ、そうだな、ガルハックの南側から出たがほとんど西側出口に近い位置だ。慎重に進んでも3時間あれば行けるはずだ」
「わかったわ、じゃあ、砂漠移動も今日から始められるね」
「え?どういうことだ?」
「あら、アレン。砂漠で動くのは夜よ?明るいうちは水も体力も消費が激しいから、馬車の中で寝て体力温存、回復に努めてね」
「そうなのか、分かった。あ、そうか、昼だと星が見えないからもあるのか」
「うん、そういうこと。慣れてれば昼間移動でも行けるけど、私は砂漠移動がプロじゃないからさ、安全を重視したい」
「サキ、それでいい、頼むよ」
ゲームでは気にしなかったが確かにそうだよな、夜の方が移動しやすいはずだ。
夜だけで8日か、短くなってる。
あ、でも夜は砂嵐とか大丈夫なのかな。
まぁ、いいや。その時に考えよう。
地下洞穴に入るときにサキとは一度離れる。
西側出口を目指し、戦闘も重ねていくが、特筆することはない。
何事もなくほぼ予定通り、西側出口につき、サキと合流。
旨そうな匂いがする。この約3時間程で飯を作っていたらしい。
「とりあえずご飯食べたら、夜になるまで寝ようか、サキもね」
「うん、あ、それから、皆は外を移動するときには、人数分のフード付き外套と、砂靴を用意しておいたからわ。外套は装備の上から着るといいわ、砂嵐対策よ」
まじか。完璧すぎるな。サキ。
流石、元メイド。流石、チームのお母さんだ。
あれ、そういや、カッシームからの魔法請求書に外套や靴なんてあったっけ?
はて・・・支払った記憶がない。
「あ、アレン、外套と砂靴はラルバ様からよ、ウィリアムを出るときに棚にしまったのを出しといただけよ。仲間が増えても大丈夫なように7枚あるわ」
さいですか。
ありがとう、ラルバ。
ありがとう、貴族。
ありがとう、ブルジョア。
「砂靴は流石に装備の上からというわけにいかないんだな」
「でも履いておいて。履いておけば砂は入らないし、熱い砂でもへっちゃらだし、滑りにくくなるわ」
ありがとう、サキ。
ありがとう、姐さん。
ありがとう、お母さん。
それにしてもサキは話が早いな。
メイドって有能なんだな、萌え×2キュンとかやってるだけじゃないんだな。
実際のメイドはしないだろうけど。
さて、暗くなったら砂漠探索といこうか。




