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とある天才が異世界でも規格外だった件  作者: dainasoa
第4章 四人は荒野をひた走る
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何でも有りなルーアの魔力・・・

朝は早くに目が覚めた。

昨日早かったのもあるが、なんか妙に眠れないのかな。

セニアのところにでも行こうか


と思ったが、既に皆起きているらしい。


「皆、あまり寝れなかったかね?」

「そんなことはないです。あ、ルーアさん、おはようございます、早いですね」

「ははは、ババアは朝が早いんじゃ、さて、朝はあの二人が用意してくれたから、食べながら話をしようか」

「あと、私には敬語はそのままで良いが、さん付けは要らん、気持ち悪いからやめとくれ」

「はぁ、分かりました、ばあちゃん」

「ふふっ、そりゃ、いいね、あんた、気に入ったよ。呼び捨ても気にくわないしな、ま、あたしは変わらずちゃん付けで呼ぶがね」


ばあちゃん呼ばわりでいいらしい。実際に孫いてもおかしくない歳だしな。

まぁ、ルーアと呼んだら殺されそうだしな。


あの二人とはミチルとサキである。ミチルは本当になんでも出来るな。

洋食っぽいのはサキ、和食っぽいのがミチル作らしい。

ああ、味噌汁らしきものが旨いな、少し味は違うが、落ち着くな。

ミチルは戦力としても、嫁としても手元に欲しいな。

いや、軽戦士だしなぁ。

嫁はセニアが・・・すみません、何でもないです。


というか、当のミチルとテッハは既に居なかったわけだが。


「テッハとミチルちゃんは帝都にもう帰ったよ、また夏に来るそうだ、それまでは普通に仕事だとさ」


そうか、結局サクヤを迎えに行ってとかはやめて、そのまま帰ったのか。

なかなかに忙しい人達だな。


「ったく、テッハはバカ真面目だからねぇ、まぁ、ちょうど良かったからミチルちゃんにはお使いも頼んだ」

「何を頼んだので?」

「ちょっと待て、それは後だ。まず、魔力結晶を返そう」

「なんか、ありました?」

「いや、なんも。黄魔力の方はマーゴットとやらに出てきてもらって話をした、でも私とステラがエルガルドで修行してたときには会ってなかったみたいだ」

「そうなんですか、確かにあの頃のマーゴットは来たばかりで、宮殿にずっと居たような気がします」

「まったく、思い出話に華が咲くかと思ったのに残念だ」


(ルーア、とりあえず私のことは話さないつもりね、助かるな)


「無色の方は少し魔力が貯まっているだけだった、しばらくすれば、白色になるだろう」

「わかりました、でも、取り出す方法を聞き忘れました。焦らないんでいいですが」

「じゃあ、夏まで貯めて私に寄越せ、有効に使ってやる。夏過ぎにやる予定の魔法はな、魔力があればあるだけ効果が延びるんでな」

「いいですが・・・」

「アールブのおちびちゃんへの魔力供給が気になるんか?」


それにしても、説明してなくても話が通じるルーアとの会話はかなり楽だ。アールブもテッハには話をしていないし。

何故って、そりゃ面倒臭いから。


「はい」

「要らんじゃろ、同時通訳もディアナ相手には要るのか?なぁ、ディアナ?」

「いえ、私はヤパナ語わかるので」

「え?そうなの?初めて会ったときエルフ語だったから、つい」

「セニアさん、さっきからずっと私はヤパナ語で話してますが・・・初めてのときは衰弱していたのと、怒っていたのと、あなた方の素性もわからなかったから、エルフ語に・・・」


アレンも気付かなかった。

そういや、女王がハイエルフなら人間の世界に・・・とか言ってたな。

当然、言語の壁なんかあるわけないか。


「まぁ、そういうわけだから、しっかり貯めてくれ、有効に使ってやるわい、まぁ、無理して貯める必要はないがな」

「代わりと言っては何だが、アレンちゃん、一つプレゼントをやろう」

「プレゼント?」


それならその身に付けてる装備をくれ。

中身が婆さんだろうが、美人のお姉さんが身に付けているものだ、それだけで価値がある。

いや、違う違う。

そういう変態的な意味じゃなく、

伝説級を除けば掛け値なしにディアナ用の最強に近い装備だし。


「あんたら、ブラミスに鍛冶を頼っているじゃろう」

「はい、多分今後もそうなります」

「レン様たちもそうだったのでは?」

「魔王討伐までは知らんが、まぁ、その後は色々世話になったわい」


レンが一人のときも間違いなく頼ってますが。

ブラミス以外の鍛冶屋もいるが、最も早く知り合えるのが彼だし、仕事も安定してる。

ブラミスの話を出すとなると、装備くれ。に関してはダメということか。

世の中そう甘くはいかないのがRPGの決まりらしい。

昔やったRPGでも、初めの国の王様から貰った装備も金もしょぼかった。

餞別じゃねぇ、寸志にもならん。

なんで貰った鍵を王の部屋から出るのに消費しなけりゃいかんのだ?

兵士の武具をひっぺがしてくれた方が万倍マシだ。

しかし、勇者たるもの、装備は苦労して自分で手に入れていくらしい。何故だ。

まぁ、知らないおっさんが着た汗だくの鎧が欲しいかと聞かれたら売っ払って新品買うけどさ。

ん?流石にそれは勇者的な倫理感としてはダメな気がするな。


「今は素材集めて、その度にエスパシオで帝都に戻って、依頼して、出来上がり待って、また取りに行ってじゃろ?」

「確かに、エスパシオが使えるディアナが居るからそうだけど、いなかったら面倒ですね」

「そうじゃ。しかも、あんたらには時間がない、アホ臭いとは思わんか?なぁ、アレンちゃん」


エスパシオでの移動にしても、時間的には無駄である。

行きました、少し待っとれ、じゃあ、今日は泊まりか、なんてことも起こるだろう、

行ってみて留守で出直すとかもあるだろうし。

良く考えたらディアナは正式にパーティーの一員なのかはまだわからないしな、エスパシオありきなのは良くないかもしれない。


「そろそろいいかな、おーい、ミチルちゃん、聞こえるかぁ?」

『あ、聞こえます、こっちはいいですよ、着きました』


ガルハック地下洞穴でルーアがやっていた話し方か?

電話みたいだが、この世界には無いだろう。


「よし、ブラミス?いるね?」

『なんじゃ、ルーアか。変な女の子が来たと思ったらお前さんの使いか、ま、久しぶりだな』

「長く話すつもりはないよ、要件だけいうからな」

「ブラミス、アレンちゃん達ともっと近くで鍛冶をやらないか」

『わしはここでよい』

「説明が悪かったな、うん、場所は変わらないよ、あんたの工房と、アレンちゃん達の馬車を繋ごうっていうんだ」

「そうすれば、お互いに会わなくても、アレンちゃん達からの材料はブラミスのところに直接行くし、ブラミスの作ったものはアレンちゃん達に返せるようになる」

『相変わらず、ルーアの言うことはわからんな、まぁ、ワシの仕事に影響しないなら構わん、好きにしろ』

「じゃ、準備するよ、詳しくはまた後で説明するが、今、ミチルちゃんが持っている魔力結晶をどこかの壁に叩きつけて割るんだ、そこがアレンちゃん達との連絡通路になる」

『わかった、じゃあ、何もないところがいいんだな』

「そうだ、その壁に物を投げればアレンちゃん達に届く。ブラミス側からは物しか入れられん、アレンちゃん達の旅は危ないからな」

「アレンちゃん達側からは人間も行き来できるからな、まぁ、整理整頓はしておいてくれ」

『わかった、まぁ、やってみるわい』


通話が切れた。

「あの・・・」

「ああ、これは、魔力結晶を使った遠距離会話魔法だ、ミチルちゃんには私の魔力を積めた魔力結晶を持っていってもらった」

「ルーアはそんなことまでできるんですね、結晶魔力自体はエルフの魔法じゃないですか」

「いや、エルフみたいに自分の体を入れるわけにはいかないからな、魔力だけだ」

「バイアールと同じやつかな?」

「セニアちゃん、近いけどあやつの奴はもっと悪どい技じゃ、一緒にするでない、魔力は便利に使うもんだからな」


なるほど、ディアナはルーアと呼び捨てでも怒られないのか。

ま、それはいいや。

この魔法だって電話みたいなもんだ。

理屈はわからんが、驚かなくてもいいくらいだ。

しかし、もう一個が気になる。


「じゃ、馬車に行こうかね」

「待ってください。持ち主は俺ですが、御者に説明を。サキはそれでいい?」

「あの、直接馬車に何をするんでしょうか?走ること、居住することに影響はありますか?」

「無いだろうな。やることはちょっとした魔力工事だ。空いている床に魔方陣を貼る、魔力で空間を繋ぐだけだ。だから直接には魔方陣が一つ書かれるだけだ」

「そこに乗せたらブラミスの所にものが移動するのでしょうか?」

「まぁ、そうだな、ただ、置いただけではダメだ、魔力は使わないが詠唱、合言葉が必要だ。もちろんあっちからの物を取り出すのも合言葉が必要だ」

「合言葉?」

「ダースで取りだし、オクールでブラミスに荷物が飛ぶ。ちなみにあっちは合言葉なしだ」


待て。なんだその合言葉は?

出すと送るじゃねぇか。

なめとんのか。いや、すみません、何でもないです。


「うーん、それなら大丈夫かな、馬車に直接、鍛冶屋さんがいるわけじゃないし、アレン達の旅が便利になるならいいかな」

「じゃあ、決まりだ、子猫ちゃん、案内しな」


台所の端に魔方陣を書いてきた。

素材を置いてオクールというと素材は消え、しばらくしてダースというとブロードソードが来た。

ブラミス、抜き身で送るなよ、危ないだろ。


「試しにやってみたな、ブラミス」

「いいじゃないか、成功だ 」

「ありがとうございます。助かります」

「ばあちゃん、これは、ワームホールですか?」

「私は断空って呼んでいる、アレンちゃんの世界ではそう言うのかい?ワームホールとはどういうものなんだ?」

「うーん、例え話ですが。紙の上に2点があったとして、普通に移動すると、直線で繋ぎますが、紙を折って紙の垂直方向に移動すると、移動距離が0になります」

「アレン、何言ってるのかさっぱり着いていけないんだけど」

「私もわからないです」

「要するに空間をねじ曲げて色々なところを繋ごうってこと。出来るかはわからないけどさ」

「ふむ、断空もそんな感じじゃ、理屈は間にある空間を断ち切るイメージじゃが・・・なんじゃ、わかるのか、アレンちゃんは凄いな。完全に私のオリジナルなんだがな」

「理論的には。相対性理論とか勉強しましたから。ただ、大量のエネルギーがいるのでは?そんな魔力消費して大丈夫です?」

「ソウタイセイリロン?なんじゃ、それは。まぁ、エネルギー的にはそうでもないな、余っている魔力と自然回復量で補うし、一度繋げるときにしか魔力は使わないから大丈夫だ。アレンちゃんのと私のは少し違うんだろうな」


「よし、ブラミス側には私が説明にいっておこう、ではこんなところだな。出立しなさいな」

「まずは、ケリューンにいけ、書簡を用意したから話は聞いてくれるだろう、ケリューン王は2代目でまだ若いが目端の効く聡明な王だ」

「わかりました」


ルーアの手紙


食事が終わり次第、出かけよう。

エスパシオで送ってくれたら楽なのに。

いや、勇者候補は自力でいきますよ、甘い話はないもんだ。


あれ、そういや、ミチルはなんで俺達と旅は出来ないって言ったんだ?

修行には付き合ってくれると言っていたが・・・

さっきの電話で質問すれば良かったかなぁ。

ま、さしあたり、いいか。

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