ルーアとテッハの会話を・・・
ルーアに案内され家の奥に行くと、階段があり、降りていくと部屋が沢山・・・
なんてもんじゃなかった。
家だと思っていたが、地下に広がる塔だった。塔って上に伸びてるだけじゃないわけね。
どうやって掘ったんだよというくらい深い。
いや、だから時空魔導師か空間も自由かよ。
階段で一番下とかまで、移動したらかなり膝が笑い転げるだろう。
上の方は居住部屋らしく、鍵の空いているところを好きに使えと。
風呂なんかもあるらしい。
部屋は綺麗にされていたが、ルーアが掃除をしているわけではないだろう。
そういうのはめんどくさがるタイプだろうし。
またなんか魔法とか使い魔的なのがあるんじゃなかろうか。
アレン、セニア、リルム、ディアナ、サキ、ミチルの順に並んでそれぞれ部屋に入った。
テッハとルーアはまだ上で話をしているようだった。
積もる話もあるんだろう。
ルーアにとって、アレン達を襲ったりすることにメリットはないし、
ここは間違いなく安全だろう。
久しぶりに一人だ。
ゆっくり出来るものの、やっぱり寂しい。
セニアの所に遊びに行こうかな。
まぁ、とりあえずは寝よう。
------------
マーゴットは黄魔力の結晶内から会話を聞いていた。
結晶内は時間の感覚がないし、眠る必要もない、お腹も空かない。
(アレン坊や達はそれぞれ解散したみたいね)
(全く、アレン坊やも置いていくなんて、まいったなぁ、姿を戻すわけにいかないし)
(でもさっきみたいに記憶を見られたら仕方ないか。ルーアか、厄介だなぁ)
・・・・・・
「テッハ、久しぶりじゃないか」
「ああ、20年振りくらいか、ルーアはいつまで経っても若々しくて綺麗だな」
「止めろ、中身はお前より年上の婆さんだよ、知っとるだろう、昔みたいに相手はしてやれんよ」
「いや、そんなつもりじゃないんだ、すまん。ルーアは変わらず魅力的だが・・・俺もそんな歳じゃないさ、妻もいるしな」
「知ってる。そもそもメアリーをお前に紹介したのは私だろう」
「人助けを珍しくしたと思ったら、紹介してきてびっくりしたさ」
「いや、貴族の娘だったからだな、テッハには勿体ないが、仕方あるまいて・・・」
「どうした?昔のこととか言い出すなんて珍しいな、ヤキが回ったか?」
「いや、昔のことを掘り返したいわけじゃない、お前、貴族になってから初めて私の所に来たんじゃないか?もう少し顔を見せろって言っているだけだよ、一人でずっと居るこっちの寂しさとか察しろよ、貴族にさせて失敗したわ」
「そうか、それはすまないな、しかし、俺はエスパシオを使えんしな、気軽には来れんよ」
「ったく、これだから筋肉バカは・・・んで、どうだ、王室抱え生活は?」
「そうだな、色々忙しくてやりがいはあるが、楽しくはないな、魔王が居なくなった後に腕を磨いていたころが懐かしいよ」
「そうだろうな。だから私は行きたくなかったんだ。こっちで準備もあったしな」
「そうだよな、レンを封印してからしばらくした後には王室魔術師の士官話あったんだよな?」
「魔法使いは結構妬み、嫉みなんかあって面倒だったし、行くわけがないわ」
「ま、政治とかはそう言うのあるのは仕方ないだろう、でも、こうしてアレン殿を連れてこられたんだ、帝都に入って貴族になったのは正解だったんだろうな」
「まぁな、確かに、異世界から勇者みたいな物が来るなら、間違いなく帝都に顔を出すだろうって言ったレンが正しかったわね」
「レンか、あいつはどこまで先が見えていたんだろうな、なぁ、ルーア、俺たちがやろうとしてることは正しいんだよな?」
「何言ってんだい。今さら後戻りは出来ないよ、私とステラがエルガルドで修行していたときに、女王から聞いた話は確かに思い当たる節があったし信憑性もあった」
「あれか、『××××は危険だ』ってやつか?あまり信じられないがな」
「まぁ、違っていても魔王を倒すのは変わらないよ、過程は違っても、結果は同じだ。魔王が死ぬか人類が滅亡するかのどっちかだ」
「確かに大義的にはそうだろうが・・・」
「どちらにしても私らとレンはやはり仲間だからな、見過ごせないよ」
(テッハが言ったセリフは良く聞こえなかった)
(内容は察しがついているけどね)
何せ、エルフ女王アイリスとは旧知の仲だ、エルガルドに来たのは48年前ということになっているが、
実は付き合いの長さは48年とかそんなもんじゃ済まないわけだし。
アイリスの考えくらいは想像が出来る。
気になるのは、この二人、何が目的で、何をしようとしてる?
(しばらく様子を見よう)
(私の見たり聞いたりしたことはアイリスにも通じている)
(いざとなったらなんとかなるはずだ)
「そう言えば、ステラとは会っているのか?」
「いや、ステラはお前より顔を見せないな、初めに来ただけで後は全くだよ」
「そうか、あいつも色々準備で大変だよな、進行具合はどうなんだろうか」
「とりあえずは見つけたらしい。しばらく前、そうだな、去年の秋くらいか、『準備が整った、心配はいらない』という内容の魔力手紙が来たわ、テッハには来てないのかい?」
「いやいや、来ても俺がルーンで書かれた魔力手紙を読めるわけがないだろ、実際に来てないし」
「ステラもそれを分かっていて私にしか出さなかったんだろうな、何かあったら私に聞くだろうし」
(ステラか、あれは凄いまっすぐな少女だった)
(ルーア同様の切れ者だったが、まだ規格外ではなかった)
(正しく清く、聖なる生き方をしていた)
(彼女も彼らの計画に噛んでいるなら大丈夫かな?)
「ステラも大変だよ、あいつは普通の女性の幸せを望むことすら出来ないわけだし」
「何が幸せかは、それぞれが決めるんだ、あんたが決めるなよ、まぁ、結婚して母になるのが幸せだとするならテッハの言うとおりだが。私も別にそうなりたかったわけじゃない、子供は好きじゃないし」
「とは、いえ、ステラはそもそもそういう経験すら出来ないわけだろ」
「ま、私はそこらへんは好き放題だったけどね、あれはレンより、あんたが良かった」
「おい、茶化すなよ」
「ま、その事に関しては仕方ないよ、『世界で一番清らかな場所』だからね」
「それがイマイチわからないんだが」
「テッハ、ユニコーンの捕まえ方とかわかっているよな?」
「一応はな」
「じゃあ、そういうことだ、仕方がないんだ。あたしらにはユニコーンがどうしても必要だしな」
(ユニコーンか、伝説の聖獣だね)
(ユニコーンは聖なる乙女にしか心を開かないらしい。そのため、ユニコーンに会うには純潔なる乙女が必要らしい)
(なんだ?ユニコーンを使って何かするのか?ユニコーンといえば、角かな)
(ユニコーンの角は万病に効く霊薬で死人すら生き返らせるとか。本当かどうかはわからないけど)
(この世界では既に蘇生アイテムや蘇生魔法の類いは無くなってしまっているはずなのに)
(あとは鬣くらいか、タテガミの効力はなんだっけ?若返りだったかなぁ)
「さてと。おい、聞いてるんだろ?魔力結晶の中で。そろそろ出ておいでよ」
「ん?どうした、ルーア?」
ヤバい、気付かれてる?
ダンマリしておこう・・・
「マーゴットとやら!出てきな、無視するなら魔力結晶ごと粉々にするよ」
!!それは、流石に困る。
普通なら破壊とかは出来ないだろうが、このデタラメな魔女ならやりかねない。
自身の体の頑丈さは大丈夫だろうが、結晶を破壊することくらいはやりそうだ。
仕方なく、黄魔力の結晶は変身をとき、マーゴットの姿になった。
「待った!わかったから待って!」
「お!凄いな、どっから出てきた?」
「魔力結晶だ、エルフがよく使うだろう?」
「そうなのか?」
「テッハ、相変わらずね、お前とアレンちゃんが初めて会った時も、ディアナも緑魔力の結晶になって荷物に入っていただろ、気付かなかったのか」
「そんなこと言ったってよ」
「ま、魔力の流れを読めない戦士じゃ仕方ないか」
夫婦漫才をやるなら後にしてほしい。
「は、初めまして」
「初めましてじゃないだろう、レンが魔王を倒した後、私とステラはしばらくエルガルドにいたんだから」
「確かに私がエルガルドに来たのは48年前で魔王を討伐された直後ですが、しばらくは女王とディアナ様以外には会ってませんから」
とは言え、さっきも言ったが女王と知り合ったのはそれより遥か昔だ。
そんなことまでは流石のルーアでもわからないだろう。
「そんな屁理屈を聞きたいんじゃない、そうじゃなくても初めましてじゃないだろ!マーゴット?なんだその名前は?」
「ルーア、どうしたんだよ、名前くらいでそんな怒ってさ」
「違うよ、テッハ、よく考えろ、こんなエルフが存在するか?」
エルフっぽく、形は真似たつもりだけどなぁ。
何故わかるんだ。
「イマイチわからないが」
「ったく、あんたは、相変わらずだね・・・で?」
「?」
「お前はここで、アレンちゃんの荷物の中で何をしているわけ?」
「えっと、何のことでしょう?」
「とぼけるんじゃないよ、私はごまかせないよ」
「ルーア、さっきから何を言ってるんだ?俺にはさっぱりだ」
「テッハ、あんたは本当に脳筋バカだね、普通の人達が気付かないのは仕方ないけど、仮にも勇者パーティーの一員だったなら違和感くらい持ちなさいよ」
「なんだよ、違和感って?」
「はぁ、まったく・・・この娘はマリアよ」
「?マ、マ、マリア・・・マ、マ、あっ!マリア!?マジか、全然気付かなかった、というかどうなってるんだ?」
「なーんだ、バレちゃってたか、流石ね、ルーア」
「全く、舐められたもんだね、マリア、どうやって姿を変えてるかは知らないが、魔力の流れがエルフのそれじゃないよ、私が気付かないとでも思ったのかい?」
「うーん、上手く誤魔化せていたと思ってきたんだけどなぁ」
「ま、実際、エルフでも分からないだろうね、ディアナは気づいているかもしれんが。んで?何をしてるんだい?」
「まぁ、アレン坊やにはエルフじゃないって気付かれはしたけど、正体までは分かってないわね」
「へぇ、あの子、流石だねぇ。」
「なんか、ステータスが見えるみたい。それは置いといて。私が今やってるのは、様子見と力貯めかな、本来の役割を果たすには時間が要るし、あのアレン坊やを観察しておきたいし」
「そんなところか、まぁ、私たちの邪魔はしないでおくれ」
「あなた達3人は何をしようとしているの?」
「お前、女王と繋がっているだろう、言わんさ、誰が味方かわからんからな、ま、魔王を倒すとしか言えないしな」
「利害は一致してるじゃない、協力したらどう?」
「アレン坊やが勇者に足るならな
。でも、私達の目的がマリア達と一緒なのかはわからない。とにかく邪魔をしないで大人しくしていろ」
「ま、ルーア、貴女に命令される筋合いはないけど、揉めるつもりはないわ。わかったわ、どちらにしろ、まだ動けないし。じゃあ、もう寝るね、おやすみ」
マーゴットは黄魔力の結晶に姿を変えた
「ちっ!食えないやつだな」
「どうする?アレン殿に話すか」
「いや、話すとしてもまだだな、どちらにしろアレンちゃんならいつか気付くかもしれんし」
「アレン殿は頭がいいからか?」
「ああ、話をしてわかる。あれはかなりの切れ者だ」
「まぁ、いいや、テッハ、今日はあんたも泊まっていくだろ」
「あ、ああ」
「明日、アレンちゃん達に今後の話を少ししたら一端解散だな」
こうして夜は更けていった。




