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とある天才が異世界でも規格外だった件  作者: dainasoa
第4章 四人は荒野をひた走る
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夜の喧騒に見舞われ・・・

キリアルは、人々が集まり色々盛んなカッシームに比べ、人も少ないし何もない。

宿屋と食堂、道具屋があるだけだ。

街というか、村、休憩所という場所だ。それは仕方がないだろう。

ここキリアルと次のクードはあくまでカッシームとケリューンを結ぶ中継地な役目しかないし、

エスパシオでケリューンに行けるなら訪れる必要すらない場所だ。

まぁ、クードまでは今回はとりあえずいかないが。


宿屋なんかよく潰れないな。

それでも無いとカッシームからケリューンまでかなり遠くなり、エスパシオが使えない旅人や商人は困ることになる。

ケリューン政権に非難が集まるだろうから、ケリューンが補助金を出していたりするのかな。


キリアルで特別やることもないし、さっさと宿に行くことにする。

夕食は馬車で皆で食べたから必要ないし。

じゃあ、馬車で寝ても変わらないと思うが・・・まぁ、それはおいておこう。

馬車とサキのお陰で安全に野営が出来ていたとは言え、布団で寝たいし。

サキ曰く、キリアルからガルハック地下洞穴までは2日くらいのようだ。

キリアルから先はまだ本番ではないとはいえ、少しずつ砂漠の装いが見えてくる。


しかし、今までの宿の中でダントツにしょぼい。

屋根はあるから雨はしのげるだろうが、壁は脆そうだし、なかなかである。

布団やシーツなどを見ると衛生面は悪くないが。

料金は4人で400フィル。安っ!

カッシームが高いのかな。

まぁ、これだけボロいし飯もでないなら妥当か。

あまりのしょぼさに馬車の方が絶対いいんじゃないか!?と思う。

正直、アレンとしては『まぁいっか、寝るには問題ないし』くらいなんだが、皆は気にならないのかな?

一応聞いてみる。対策は馬車で寝るかくらいしかないわけだが。


「私は平気、旅をしてれば仕方ないわ。何事も経験だし、楽しいじゃん」

「密偵で慣れてるよ、屋根があるだけまだいい方だよ、盗賊団に潜入してたときは洞窟で寝てたし」

「そもそも先に進めば満足に寝床が取れないこともあるでしょう。これくらいでヘコたれてはやってられません」


だそうだ。3人とも頼もしいことで。

貴族や王族でも殊更気にしないで良いみたいだ。


(それより、安全が気になる。扉の鍵や窓なんかも簡単に破れそうだし)


気にしても仕方がないので、とりあえず各々体を拭き、着替えて寝ることにする。

チラチラ3人を見ていたのは不可抗力だ。3人とも魅力的な体は暴力だ!

ちなみに、普段着を洗濯に出すのはやめておいた。

余計汚れそうだし。


--------------

・・・・。

・・・。

・・。

・。

!?


どれくらい経っただろうか。

安全を心配し、うつらうつらしか寝れなかったかもしれん。

ふと目が覚めた。


ん?

なんか物音がする!

《ミシッ、ミシッ!!》

誰かが廊下を歩く音か?


止まった、かなり近いかも。

《ガチャガチャ!》

間違いない、この部屋だ!

皆を起こさないと!


「皆・・・おき」


起きろという前に

《カチャ》

鍵開けて、扉を開けた?

やっぱりダメだったか!

襲われる!?


と思い、体をまずは起こそうとしたら、


「せーの!」

《バキッ!》

『ぐぇ!』

「せいやー!」

《ドスッ!!》

『うぁ、イッテぇ!』

「いっくよ!」

《バリッ!》


凄い音と悲鳴が。

なんか壊れたっぽいし。

そして気合いの入った掛け声が。

間違いない、あの声は元気な虎娘だ。やかましいな。


「や、や、闇を照らし道を示せ、ルミエール!」


辺りが明るくなった。ディアナが魔法で照明を付けたらしい。

ちなみに、ルミエールはフランス語で明かりである。

いや、そんなことを解説してる場合じゃない。


目を開けるとそこには、ドワーブンメイスを右手に持ち左肩に乗せ、息巻いてるセニアと、

足元で伸びている髭面の男が3人。

男達は縛られたりはしてないが、怪我なのか、セニアにびびってなのかは分からないが、動けずにいるようだ。

状況的には、盗賊らしき奴らが襲ってきたところを、セニアが一人でのしたのは明らかだった。


「ふぅ、あ、アレン、ディアナ、おはよう!」

「お、おはようございます、でも、まだ夜ですよね?セニアさん、これは一体?」

「なんか変な人が来るのわかったから、殴っておいたわ」

「え。そんなことしたんですか」


ディアナもおはようとか言ってる場合じゃないだろうが

殴っておいたって!

いきなりそれは恐いわ。

ディアナが驚きつつドン引きするのは無理ないわ。

不審者じゃなかったらどうするんだ?

まぁ、寝室に夜忍び込もうとする奴らは100%怪しいけどさ。

セニアの鼻と夜目は本当に優秀すぎる。

セキュリティ任せておけるのか頼もしい。

セ○ムみたいだ、セしか合ってないけど。


「ちくしょう、なんで気付いた?しかもてめぇ、この暗闇で見えてるのか!?」

「え?そりゃ、普通わかるでしょ、こんな怪しげな匂いしてる人が近づいてきたらさ、それから私は夜、目が見えるのよ」


セニアさん、それ、全然普通じゃないです。

こんなに至近距離でも男達の匂いがおかしいとか臭いとかは分からない。

ディアナを見ると伏せ目がちにフルフルと首を振った。

うん、俺らが常識人だよな。


「ちくしょう、優男一人に女が3人だから楽勝だと思ったのに」

「誰だよ、馬車が豪華だから金あるとか云った奴は?」

「知るか!てめぇだって、女目当てで賛成しただろうが」


仲間割れをし始めたが、自業自得だな。

馬車も見ていたのか。

いつから狙われていたか知らんが、全て残念だな。

君らが3人のうちの誰に魅了されて襲ってやろうと思ったか知らないが、

うちのお嬢様方は強くってよ。


「あんた達、盗賊だな?相手が悪かったな、セニアありがとうな。俺も気付けてはいたんだが。あまり寝れなかったか?」

「ううん大丈夫、寸前まではちゃんと寝ていたし。ウェアタイガーはそういうの得意だから。で?どうする?」

「はぁ、まずさ、この状況でまだ寝てるのを起こそうか、こういう対応はリルムが一番正しく判断するだろうし」


この喧騒の中、リルムは一人で白川夜船にいる。

案外リルムは神経が図太いな。

翼を前に出しテントのようにして籠って寝ているようだ。

防音、保湿性もばっちりです。

密偵したりなら神経を研ぎ澄ましているかと思ったが。

まぁ、いいか。

ディアナがリルムを起こし状況を説明した。

リルムは盗賊達を確認し、ギョッと驚いてはいたが、すぐに冷静になった。


「リルム、こいつら馬車のことも知っていたんだが、大丈夫かな?」

「サキや馬車、ウマに対しては何も出来ないよ、そういう馬車だから。心配はいらないわ。襲われたとしても、サキは気付いてすらいないと思う」

「なら、良いが」

「リルム、この人達、憲兵に付きだそうよ、縛ったりしてないからいつまでもこうしておけれないし」

「そうね、セニア。でも、ここはケリューン領だからさ、ケリューン兵に渡すことになるんだ、まだ私たちケリューンに行けないしさ」

「うーん」

「とりあえず、カッシームにはケリューン所属の憲兵がいるはずだろ?あれだけ大きいところだし」

「確かに。そうかもしれないわね」

「そうですか、では、エスパシオで飛びます」

「あ、ディアナ待って。私も行くよ、憲兵とか動かすなら、説明しないといけないし、ライルエルの名前出せばすぐだろうし」

「わかりました、行きましょう」

「な、あんた、あのライルエル家の者なのか?ちくしょう、上手く行けばたんまり金取れたじゃないか・・・」

「無駄だと思います。私を人質にしたところで父は動きません。それから私も大人しく捕まりませんし」


何だかんだ貴族名は便利だな。

緑の大陸外でも影響力があるらしい。

かなり世界で知られているのか。

しかし、リルムが言ったのが本当ならラルバはすげぇ根性があるな。

娘を溺愛してるのは間違いないんだがなぁ。


そういうことで、ディアナとリルムがエスパシオでカッシームに。

アレンとセニアが3バカの見張りで残ることにした。

勿論、盗賊達には、ディアナとリルムのお着替えは見せません。見ていいのは俺だけだ。

ええい、頭が高い!控えよ!なんてな。


「いや、二人ともちょっと待って。そもそも、仮にも宿屋だからさ、こいつら廊下から来たよな。侵入するにしても受付通るよな?店主はどうしたんだ?」

「そうね・・・あなたたち、それはどういう感じ?正直に話しなさい」

「・・・けっ、誰が話すか」


セニアがドワーブンメイスをポンポンと動かしたら

一人の男が、『ヒッ!』と悲鳴を上げたが、頑張って黙秘するらしい。

よほど痛かったらしい。なんだか哀れになってきた。


「アレン、取り調べは憲兵が来てから任せればいいわ。私達には、直接関係ないし」

「わかった、じゃあ、二人とも気をつけて」

「エスパシオで往復ですから直ぐですよ」


関係ないか、一応被害者だが。いや、加害者か?せ、正当防衛だもん。


しばらく待機。セニアはいつも通り雑談していた。動揺もしないと。

そのまま10分くらいかな。

リルム、ディアナは鎧を来た二人の憲兵とともに帰って来た。

若い憲兵は、男達を尋問をし、手続きをしている。

歳上の憲兵はこちらに来て一礼し自己紹介をした。


「申し遅れました、私はケリューン所属、ハルバーです。階級は少尉になります。この度はありがとうございました」

「いえ、後始末よろしくお願いします」

「はっ、ライルエル様、お任せを。皆様、ご協力感謝いたします」

「様はいらないです。私は偉くないですし」

「ま、協力というか、襲われて仕方なくだね」

「確かにそうですな。こいつらはカッシーム辺りでも問題の一味です。旅人を狙い、なかなか尻尾を掴ませないのですが、やっと捕まえました。キリアルの宿屋店主もグルのようです」

「え?まじか」

「いや、グルというか、リーダーのようです、ですからここが盗賊のアジトになるようで」

「うわ、最悪だ、確かに客は少なくても確実に居るから狙いを定めるにはいいし、カッシームやケリューンから適度に離れてるからなぁ」

「そのようで。リーダーは既に逃げたようですが、ケリューンから指名手配すればすぐに捕まるでしょう」

「それはそれは、よろしくお願いします」


そんなところに泊まったのか、不注意だったな。

ケリューンからの援助とかじゃなかった。

気をつけよう。なんかこの冒険、やたら盗賊と関わるみたいだし。


「今後、キリアルにはケリューンから新たに身元を保証したものを派遣させ、宿屋をきちんとするように致します」

「是非そうしてくれ」


自分たちじゃなかったらどうなっていただろう?

既に被害者はかなり出ているだろう。

これはケリューンの監督責任が問われそうだ。


「ケリューンからの感謝の念としまして、これをお持ちください」


特別謁見証


「ケリューン王はかなりご多忙です。しかし誰とでも謁見なさるので、順番待ちになります。酷いときは30日以上待つこともあります。残念ながらライルエル様でも例外にはならないでしょう。しかし、それがあれば、すぐにでも会えるでしょう」

「しばらくケリューンに行かないかもしれないが」

「構いません、ケリューンにお越しの際は是非お使いください、王にも報告申し上げておきますゆえ。では我々はこれで」


そうか、これを手に入れるためのイベントだったか、なるほど。

・・・ないわ~。

そう考えるのはゲーム脳か。


結局、そのまま眠るわけにもいかず、馬車に戻ることになってしまった。

馬車に戻りサキに説明したら、驚くでもなく、淡々と、


「お嬢様に怪我がなくて良かったです」

「こら、サキ、その呼び方はしない話でしょ」


緊急時とあると素に戻るのか。


「いや、つい、ごめんなさい。じゃあ、アレンどうする?夜だけど出発?野営でしばらく休む?」

「寝ようよ、なんか気を張っていて疲れたわ、結果なにもしてないけど」

「わかった、じゃあ、みんな、お休みなさい」


今度こそ寝れそうだ。

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