エルガルドに向かってみた
テントやら保存食などの準備を整えてサキに馬車を任せ、3人でエルファーの森に入った。
こういう場面では、合流までの時間を決めておき、
その時間まで連絡がなければ緊急事態として動くのが普通だが、
こっちの世界ではそうもいかない。
御者であるサキも時間に際限なく待つことになるのが普通のようだ。
しかしながら、所有者が死んだりした場合は、ペンダントを通じて分かるらしい。
そうなると馬車と御者は解散ってことか。
やはり構造はわからない。
エルファーの森はゲームでも在るダンジョンで、やり込みまくったアレンは大丈夫だが、初見ではかなり苦労をした記憶がある。
大変なのは敵の強さよりも、迷いの森という役目にある。
分かりにくい地形で紛らわしい上に、時空が変に繋がっていて無限ループするマップもある。
神秘的な雰囲気もする森だが、
クリアするためのアイテムと使い方が分からないと永遠に迷うはめになる。
今回は緑魔力の結晶があるから多分大丈夫ではなかろうか。
ちなみに、敵の強さとしてはゲームではもう少し後に訪れるのが普通であり、
今回は敵とのレベル差の方に注意がいるかもしれない。
とはいえ、属性的には、木属性の敵や、虫系がほとんど。
これらは総じて火に弱い。
そのため、攻撃方法はあるので、さして問題無い そこそこ大丈夫な気もする。
強いてあげるなら、水属性のリルムと毒を食らう可能性は注意が必要だ。
戦いたい敵はまずは、マタンゴ。キノコ型モンスターで、幻惑の粉を落とす。
これは武器に混乱の状態異常を付与でき、後で大型のオーガー達と戦うのに必要になる。いや、在ると楽になる。
次はコロポックル。
小さい少年の姿をした妖精のような敵で、
木属性初級攻撃魔法のリーフランサーを使うのが邪魔くさいし、ラーニングは出来ない。
しかしラーニング出来る技としてはリーフガードを使う。
これは防御力と水属性耐性を同時に上げる便利な技だ。
まだ先の話だが、今後の冒険で
第3の大陸に入る前には欲しい。第3の大陸には、山のように水属性使う敵がいるはずだからだ。
「気を付けて進もう。」
緑魔力の結晶をポケットに入れるため取り出しながら持ちながら、アレンが二人に注意を呼び掛けたと同時に敵が襲いかかってきた。
エルフ見張り兵(弓) Lv32
エルフ見張り兵(剣) Lv32×2
エルフ魔術師 Lv31
シードン鉱山から一気に敵のレベルも上がった。まぁ、本来はまだ来ないところだしね。
それでも大丈夫かな。
あれ、その前にエルフって殺していいのか?戦闘とはいえ・・・やばくないか?
(あのエルフ達はエルフの魔力で作られた人形みたいなものよ、殺しても大丈夫)
心の中でフラウが教えてくれた。ありがたい、便利機能か。
それを二人にそのまま伝えて、セニアとまずは、前衛を叩きにいく。
・・・遅ぇ!テッハに比べたら斬撃も甘いし、全く敵にならない。
それはセニアも一緒らしく、あっという間に一体ずつ叩き潰した。
そしてセニアはそのままジャンプして魔術師の方へ。
降下とともに爪で一裂き、そのままバク宙のように突き上げで一撃。セニアの全体重が乗る攻撃ですごく痛そう。
いやいや、体操選手か、どんな動きやねん。
サイレンスを唱えようとしていたリルムは仕事をする前に対象の敵が居なくなってしまった。
アレンも剣使いのエルフを倒しそのまま弓兵に。
たどり着く前に遠距離から攻撃されたが、風のお陰で軌道が分かる。
めくりまでは行かないが避けることが出来た。
そのまま弓兵に上段から剣を突き立て一撃で倒した。
テッハの斬撃を真似て腕だけで振るうのではない一撃だ。そうか、これが一閃斬か。新しい技だな。手数はないがダメージ系数は大きいようだ。
「レベルの割には弱すぎだわ、私達とそう変わらないよね?」
「うーん、セニア、多分俺たちが、テッハさんと戦っていたからそう見えるだけだよ」
「そうかしら」
「うん、レベルに現れない強さが上がってるのかしら、私にはアレンもセニアもかなり早く感じたわ、何もせずに終わってしまったわ」
レベルに関しては敵のレベルも味方のレベルもダンジョンに入る際に随時説明をするようにしているからというのもあるが、
リルムのセリフには、鵺戦からレベルは上がってないが強くなっていると言っているわけだ。
鵺戦から敵を倒してないんだからレベル据え置きは当たり前だ。
「まぁまぁ、それにしてもセニア、さっきの凄いな」
「あ、あれね、イーグルクローっていう技よ、昨日覚えたんだ」
どこらへんがイーグルかはおいといて、ますます頼もしい。
あれだけあった距離をあっという間に詰められたら遠距離を得意とする敵としてはたまったもんじゃないだろうな。
特に魔術師系は詠唱時に止まるため、格好の餌食だ。
義経の八艘飛びのようだ。となると、俺が弁慶か?それは嫌だな。
ドロップである剣、弓、金を回収したが、ブラミスか売り行きだな、大した装備ではないし、金もはした金だ。
その後も結構な数のエルフ兵と戦ったがやはりどれも雑魚だった。
先に進もう。
キラーホーネット Lv32×2
クリムゾンスパイダー Lv32
蜂も蜘蛛もデカイな。
猛毒を持つ蜘蛛をアレンが担当した方がいい。
「セニア、蜂を頼む、麻痺攻撃があるから、飛ばし針に注意だ」
「分かったわ」
麻痺はなったとしても死なないし、戦闘が終わればそのうち治る。
全員が麻痺してしまうと全滅してしまうが、アレンは麻痺しないはずだ。
最悪、セニアとリルムが麻痺してもアレンが一人で片付ければいい。
そうなる前に、リルムがリフレッシュで状態異常回復してくれるはずだが。
流石に飛び回るキラーホーネットはセニアでも苦労するらしい。飛ばし針も速いしな、確実に避けるのは難しいらしい。
確実に一匹ずつ仕留めていくようで、爪を振りあげ、打ち落としていく。
飛んでる相手にもこんなこと出来るなら、棍装備はお払い箱かな。
アレンの方は、火炎撃を主体に蜘蛛と戦う。
虫が焼けると匂いがきついな。
また、ちゃんと地砕斬も混ぜておく。
決してクリムゾンスパイダーに対して、土属性が有効ではないが、
苦手属性は出来るときに練習しておきたい。
実際、地砕斬の派生技はまだ使えていないわけだし。
クリムゾンスパイダーを倒した後、セニアの方を見てみると、
一匹終わっていて、さらにセニアも麻痺しているようだった。
リルムが鞭を振るいながらリフレッシュの詠唱をしている。
リルムもなかなかに器用だな。
まぁ鞭でのダメージは期待できないようだし、そもそも飛んでいる蜂に鞭は当たりにくいだろう。
そんなことを考えながら、アレンは持っている剣に風をまとわせ、風圧を連続で飛ばし、
残ったキラーホーネットを撃退した。
「ありゃ、出来るもんだな、リルム、大丈夫か?」
アレンが放ったのは、双連斬に烈風波を乗せた合技、烈風双刃だ。
属性技じゃなくても合技になるらしい。
「アレン、ありがとう、セニアが麻痺したら、こっちに来るんだもん、ビックリしたわ」
「まず、セニアを治してやってくれ」
「ああ、そうだったわね」
「ごめん、飛ばし針は避けきれなかった」
リフレッシュをかけてもらったセニアが何故か謝りだした。
いや、難しいよな。
「いや、普通はそもそも見えないような速さだし。遠距離なしで倒すのはなかなか大変だよ」
「そうかしら、今度は針を飛ばす前に倒すか、飛ばす前に避けようかな」
いやいや、そっちの方が難しいよ?
通常は状態異常はアクセサリーでカバーするものだが、
万能のマイティチェックはまだ手に入らない。
一つずつのパラライチェックやストーンチェックは、
カッシームで買える。順番は守るべきだったか?
「まぁ、あまり、状態異常は気にしないでいい、それで死ぬピンチには多分ならないし」
「そうね、でもやっぱり状態異常にならないアレンは反則っぽいね、アレンがいるから安心だけど」
「まぁ、危なくなる前に、アイテムで回復するから大丈夫だよ」
緑魔力の結晶を見ながらもっと奥にすすむ。
コロポックル、マタンゴ、リビングツリー、マッドプラント、ジャイアントバットとも戦ったが
大体は燃やしたので、雑魚だった。特筆することはない。
マタンゴからはきちんと幻惑の粉を必要数ゲットしたし、
コロポックルからはリーフガードを覚えておいた。
リーフガード使わせるためにリルムがスプラッシュを結構使ったくらいだが、問題はない。
危惧していたリーフランサーは威力が弱くてあまり影響はなかった。
森の深くまで進んだ。
緑魔力の結晶は光輝いていた。
が、しかし二人のエルフに見つかった。
『?!?!?!?????』
『???????????』
さっき迄戦った人形とは違い、明らかに一個体である。
何か言われているがエルフ語のようで全くわからない。
今にも襲いかかってきそうだ。
ここはフラウを通じて同時通訳をお願いする
『人間が何の用だ?早々に立ち去れ』
『さもなくば死ぬことになる』
『人間をエルガルドに入れていいことなどない!』
「いや、危害を加えるつもりはないんだが?」
『我々の言葉が分かるんだな?ならば立ち去れと言っているのかわかるだろう、死にたいのか?』
「うーん、困ったなぁ」
『立ち去らないなら殺す!』
多分、戦ったとしても勝てる気がする。
だが、このエルフ達は殺してはいけない気がする。それこそいざこざの種になる。
しかも不法侵入してるのはこっちだ。いや、法律があるかは知らんが。
どうしたもんか、と考えていたら、槍を構えたエルフが襲いかかってきた
が。緑魔力の結晶がより輝き、どこからか頭に響く声がする
(待て!妾の魔力が感じられないのか?)
『誰だ?』
(ほぅ!?妾が誰だかわからぬと申すか!?良かろう、姿を見せてやろう)
緑魔力の結晶が光につつまれ、
消えたかと思ったら一人の少女が立っていた。裸で。
助けた時より髪が緑色だった。
そして妾って!?
前は私って言ってなかった?なんか喋り方も偉そうだしさ。
『ま、ま、まさか、そんな』
『デ、ディアナ様ですか?』
「ふむ、分かっておるじゃないか」
『し、し、失礼いたしました!』
「この者達と妾を女王のところへ。大事な客人だ、丁重に扱うがいい」
『は、はい・・・こちらへどうぞ』
助けたエルフの少女、ディアナは恐らく偉いようだ。
女王すら様もつけない。
まぁ、ハイエルフだしね。
じゃあ、エルガルドに入りますか。




