捕らわれたから脱走してみる
カサカサカサ・・・
枝とロープが擦れる音がして目が覚めた
小声でセニアに声をかける
(セニア、起きてるか)
(うん、起きてるよ)
(昨日仕掛けた罠が動いてるっぽい)
(うん、人の気配がするね。そんなに人数多くないけど、どうする?)
(複数いるんだね、じゃあ盗賊達だよな?)
(わからないわ、ただ、私が追っていた匂いと似てる人がいる)
カサカサカサ・・・
だんだん近づいている。
外観のカムフラージュにはあまり効果がなかったか。
このまま放っておいてもテントまで押入られるだろう。
飛び出て攻めて不意討ちを食らわすか
待って守り、カウンターを決めるか
迷うとこだが、敵の正確な数や位置がわからない以上、どちらも決定打には欠ける。
そもそも敵なのかもはっきりとはしていない。
だからアレンは賭けに出ることにした。
(セニア、全部の装備を一つ前のにして、今使ってるのはストアに入れよう、武器は無しだ)
(え?)
(わざと捕まる)
(え?大丈夫かな?)
(殺されない限りは、身ぐるみ剥がされるか、さらわれるかだ)
(十分ダメじゃん)
(いや、おそらくさらわれる。セニアがいるから多分間違いない。そうしたらあっという間にアジトに到着だ)
(え?あたし?なんで?)
(それはセニアが美人で盗賊達が男だからだ)
(あぁ、なるほど・・・)
よもやすぐに殺されることはないだろうという賭けだ。
丸腰ならいきなり襲いかからないだろうし。
気付いてない振りして出ていき、捕まるだけだ。
盗賊だったら登録制の捕縛用ロープは持っていないだろう。
縛られても普通のロープなら問題ない。
よし、行こう。
「あ~ぁ、よく寝た」
「おっと!残念だったな!動くんじゃねえ!」
テントから出たらバンダナを巻いたひげ面オヤジにいきなり刃を向けられた。
はい、明らかに盗賊達です、お疲れ様。
ダリウス 33歳 ヒューマン 男
Lv15 盗賊●1
明らかに弱い。そして敵意を持っている。
まぁ、どう見ても下っぱだし、戦っても勝てるだろうなぁ。
他の連中も盗賊で低レベルだった、人数は全部で6人。
「な、なんだお前ら」
「てめえらこそ、人様の縄張りで何してんだ!?昨日からこそこそしやがって」
はて、昨日は結構堂々と派手に動いてましたが。
「おら!もう一人女がいるだろう!出てこいや!」
「きゃあ!」
「おう?女、いいカラダしてるじゃねぇか!」
「お、確かに」
「お前、俺たちと一緒にこいや!可愛がってやるぜ」
「や、やめて!」
セニアの腕をつかみ、グイグイ引っ張ってる男は
ピート 21歳 ヒューマン 男
Lv18 盗賊●2
ダリウスよりは強そうだ。
ダリウス年下にレベル負けとるやん。だせぇ。
何が「確かに」だよ、黙ってろよダリウス。
しかし、このピートという男、俺のセニアになんたることを!
許せん、後で血祭りにあげてくれるわ!
「なんだ、お前、亜人か」
「離して!」
セニアが本気を出せば、あんたらより強いよ、多分、腕もすぐに外せるだろうに、作戦に乗ってくれてる。
「亜人でもいいぜ、連れて行こうぜ」
「でもどうせ頭が可愛がって、おこぼれだよな?」
「ここでヤッちまうか?」
「いや!やめて!」
セニアの尻尾の毛が逆立って尻尾に力入れてるのがわかる。
尻尾で叩きたいんだろうが、我慢だ。
「おい。はしたないことはやめろ!まずは頭への報告が先だろう!」
「へ、へい、すいません、姐さん」
「頭次第だが、奴隷なり、人質なり使い方はある、丁重に扱え」
馬に乗った一人の盗賊が声をあげ、ピートが大人しくなった。
姐さん?女盗賊か!?
リルム・ライルエル 19歳 フェザーフォルク ♀ Lv21 クレリック ☆3
有翼人か!でも翼が見えないな。
顔は隠していて見えないがフェザーフォルクには美人が多いと聞く。
19歳で姐さん?なんで?
ピートより強いのだろうか。
しかも盗賊じゃない、クレリックだ。
回復魔法を得意とする聖職者だ。盗賊団にいて聖職者?
なんでやねん。
クレリックは闇に堕ちた人以外、人を殺すことが出来ないはずだ。
さらにステータスが●ではなく☆だ。
・・・この人、悪人じゃない。
苗字があるのも気になる。
何かあるな、この人。
この人がこの盗賊団攻略のキーマンになりそうだ。
「よし、アジトに戻るぞ!」
「へい、姐さん!」
「ほら、てめえらも行くぞ」
リルムが叫び馬を歩かせる。
皆がそれに続く。
リルムがこの小集団のリーダーらしい。
アレンとセニアは手をロープで縛られて集団の中央を歩かされ、ついていくことになった。
川沿いに歩いていくと洞窟が見えてきた。
セニアの嗅覚は正しかったらしい。
これがアジトか。小屋を想像していたが違ったな。
エンカウントもしたが、手下達が戦っていた。
だが、明らかにエンカウント率が低いように感じた。
「あ、姐さん、お帰りなさい」
「ああ」
「見つかりましたかい?」
「この通りだ。ピート、まずは牢に入れておけ」
「へい」
「私は頭に報告してくる」
「頭は今お出かけですぜ」
「そうか、仕方ないな、しばし待つとしよう」
「おい。行くぞ。付いてこい」
「ああ」
最後にチラッとリルムに見られたがなんだろう?
リルムに怒られたからか、ピートも大人しい。
牢屋のように鉄格子がある部屋に来た。
「入れよ、大人しくしとけよ」
「私達はどうなるの?」
「さぁな、頭次第だ。女、てめぇは死ぬことはないだろうよ、一生俺たちのおもちゃだ。」
アレンとセニアが入ると、ガチャンと扉がしまり、
錠前を閉め、鍵を壁にかけてピートは行ってしまった。
「セニア、近くに見張りはいるか?」
「うーん、多分いないよ」
「なら話が出来るな」
「アジト着いたけど、これからどうする?捕まってるし」
「とりあえず脱出しよう」
「そうね、じゃあ、アレン、手を出して」
セニアがアレンのロープを噛みきった。流石虎だ。
アレンはストアからダガーナイフを出しセニアのロープを切った。
そのまま二人で装備を整え、準備完了。
残念だが、飯は食ってる暇はない。
「まずは鍵をゲットしないとだね」
鍵は見えているが流石に届かない。
「いや、鍵要らないんじゃないかな、錠前を見るとあまり質が良くない」
「え?」
「しかも僕らは武器を持っているわけだ」
錠前は南京錠そのものだ、構造を知っていれば破壊は対して手間じゃない。
ダガーナイフを取りだし、錠前の掛け金のところに刃部を入れ、
持ち手をセニアが力いっぱいメイスを叩き込む。
バキン!
鈍い音がして錠前が壊れた。
ついでにダガーナイフも折れた。
まぁ、あまり価値ない武器だからいいや。
アジトとされている洞窟を二人で歩き出した。
さて、盗賊退治開始といきますか!
「それにしても、セニア、作戦に乗ってくれてありがとう」
「うん、アレンが決めたことだから大丈夫だと思って」
「そうか、多分、さっきの奴等は下っぱだ。戦闘しても勝てるだろう」
「馬に乗った人は?リーダーっぽかったけど」
「あの人は何かある。出来れば戦いたくない相手だ」
「そうなんだ」
二人は急ぎ足で歩きながら盗賊を捕縛しに向かった。




