イレインで準備してみる
次の朝、目覚めてリビングに行くと
旅支度をすっかり整えたセニアと朝食を用意しているマーレが出迎えてくれた
「おはようございます」
「アレン、おはよう」
「おはよう、朝食と弁当を用意したよ、道すがら食べておくれ」
「ありがとうございます」
「いやぁ、これくらいは何てことはないさ、そんなことよりセニアをよろしく頼むよ」
「アレン、改めてよろしく。足手まといにはならないようにするわ」
朝食もそこそこに定期馬車の時間に合わせて村の入り口に行った。
マーレが持たせてくれた弁当は、アイテムストアに入れることが出来なかった。
アイテムではないらしい。
おにぎりのようなものだったので皮袋に入れておく。
腐ったりはしないだろうか。
村の入り口には村の住人も集まっており、セニアを見送りに来ているみたいだ。
「セニア、気をつけてね」
「立派な戦士になれるといいね」
「帰ってきたらまた話を聞かせておくれ」
「おい、あんちゃん!セニアを危ない目に合わせないでくれよ」
「それからトヤクソウありがとう」
様々な声をかけられているが、セニアは村の住人達に好かれているんだなぁというのが伝わってきた
「皆、ありがとう!行ってきます、母さんをよろしくね」
セニアが村人に別れを告げ、アレンとセニアは馬車に乗った。
馬車もほどなく出発をした。
馬車は乗り心地はまぁまぁだった。
平らに走ることは出来ないからどうしても座り心地は悪い。
しかしホロから駆け抜ける春風はとても気持ちがいい。
「セニア、イレインに着いたらまずは買い物がしたいね」
「この前言っていた両肩掛け鞄ね、あとは日用品かしら」
馬車での道すがら、セニアが日用品について色々教えてくれた。
記憶喪失ではなく、本当に知らないということに気付いてるようだ。
そりゃ、記憶喪失のやつが、魔王どうこう話したり、妙に魔物やダンジョンに詳しいのはおかしい。
だが敢えて詳しくは聞かれない。
気にならないのか、深く考えてないのか、
どちらか知らないが説明も面倒だし、こうした付き合い方が嬉しい。
やはり出来る子だなぁ、勘違いすることあるけど。
セニア曰く、服の洗濯などは宿に泊まるときに部屋の外に出しておけば
翌朝までにやってくれるらしい。しかも無料。というか宿代に含まれている。
また、体を洗う石鹸なども宿に備えつけみたいで特に買う必要はないようだ。
まぁ、セニアはイレインと帝都ウィリアムしか泊まったことがなく、他の大陸などではわからないそうだが。
また、食事は宿で取れる他、各地の名産が携帯食として売っているらしい。
しかし携帯食は日持ちはしないらしい。買って精々次の日の朝くらいしかもたないようだ。
期限が決まっているということは恐らくアイテムではなく、手持ちになるんだろう。
ストアにも入らない気がする。マーレの弁当もこちらと同じカテゴリーなんだろう。
それ以上だと保存食になり、こちらはかなりの保管がきくが、美味しくないし高いらしい。
ダンジョンに長時間潜る時用なんだろう。
逆に言えば、ストアに入れられる食べ物は腐らないということだ。
魔物のドロップで食材などは間違なくこっちだろう。
「実は、食べ物に関しては、私は狩りが出来るから、そんなに気にしなくてもなんとかなるかも」
とセニア。流石虎だな。
ただ、戦闘で疲れてる後に狩り、そして調理はかなり大変そうだ。
余裕ある時だけになるだろう。
まさか狩った肉を生食は流石にエグい。
食べられそうな魔物もいるけどさ。まぁ大人しく宿で食べようや。
よって、買わないといけないのは、手持ち品ではリュックサック、普段着、下着。
アイテムでは装備、傷薬などの補給、念のために保存食、夜営用のテントとなる。
ただ、装備は武器屋覗いてみてから考えよう。日用品の値段がわからん以上、残金次第だ。
出来ればアリアナを襲った盗賊と戦う準備として装備物が欲しい。
あとは魔法具とギルドかな。
魔法具は買う金はないので、とりあえず品揃えを見るだけだ。
今は後回しでもいい。
魔法具屋はゲーム中でも入る度に品揃えが変わるため、運次第だ。あ、ガチャっぽい。
ギルドも仲間探し以外は機能してるかも知れない。クエストとか。
クエストは、金稼ぐには必要だし。
そんなことを考えていながらしばらくすると、何事もなくイレインに到着した。
数時間は揺らされていたはずだが、腹の減り具合からまだ昼飯前だ。
なんだよ、イベントとか起きないのかよ、ちぇっ。
馬車代を払い、二人で降りた。
馬車代、二人で30フィル。安っ!
支払い時に気付いたがフィルもアイテム扱いらしい。
魔物がドロップするからだろう。
ストアに入るから大金でも重くないし、支払いもストアから直接出来るし、盗まれる心配も少ない。
そしてストアを使っても怪しまれない。
それなりに使う人がいるってことか。
便利すぎだろ。
イレインは中央に噴水広場があり、メイン通りが東西に伸びた細長い街だ。
アリアナに比べるとかなり大きく人も多い。
まずは宿に向かう。チェックインして一段落してから動きたい。
初めての二人っきりでのお泊まりだ。ドキがムネムネ・・・違う、胸がドキドキだ。
―――――宿―――――
メイン通り東側に宿があった。
やはりゲームと配置とかは一緒だ。
庭みたいなもんだ。道案内はセニアにしてもらうが。
「らっしゃい」
元気な親父が出迎えてくれた
「二人で部屋はあるかな?」
「二部屋かい?」
「はい」
「いや、アレン待って、一部屋でいいわ?お金だって節約しなきゃ」
「え?セニアいいの?」
「もちろんよ、なんかダメなの?」
むしろ願ったりだが、息子がほら、ね?
ま、いきなり襲って嫌われたら厄介だ、しばし我慢!
「はいはい、二人部屋な。あまりうるさくしないでくれよ?あんちゃん。ほらよ」
「どうも」
「飯はそこの食堂で食べられるぜ、つけるか?」
「お願いします」
「じゃあ、二人部屋、夕飯と朝飯二人分で240フィルだ」
ニヤニヤし、鍵を渡される。
頑張りすぎるなということか。
大きなお世話である。
240か、飯付きなら安いのか?
飯の相場がわからん。
部屋に入って一段落し買い物へ。
と思っていたが、大問題発覚!
「ちょっ!」
「え?」
部屋に入り、二人で驚いた。
ベッドが大きいのが一つ。
まさかのツインじゃなくダブル!
あの親父め!ナイスじゃないか!
「えっと、どうしようか」
「セニアがベッド使いな、俺は床でいい」
「ダメよ、私が床に・・・」
「セニアは女の子なんだから、床はダメだよ」
「ねぇ、アレン・・・一緒に寝ようか?」
「え?」
「嫌?」
「い、いや、嬉しいけど、俺も男だし、セニア大丈夫?」
「う、うん」
「・・・」
「・・・」
妙な沈黙である。
そしてセニア、少し顔が赤いぞ、伏せ目がちにそっぽを向いた。
明らかに恥ずかしがってるじゃないか、可愛いなぁ!
「その、獣臭かったらごめんね」
「いや、大丈夫、それより、こっちも」
「ん?」
「いや、セニアは可愛いし、美人じゃん」
「ふふふ、ありがと、嬉しい」
「んで、さ、その、一緒に寝るとさ・・・一応男女なわけだし、その・・・」
「・・・」
「と、とりあえず、買い物行こうか」
勿論、セニアとは今後も仲良くなるつもりだ。焦ってはいかん。
だが、いざ話すのは気が引ける。
ダブルだったのはチャンスだが、なかなかどう言ったものか。
話を切り上げ買い物へ向かうことにした。
――――――――――
雑貨屋、ゲームしていたときには機能無かったお店だ。
必要じゃないからだろう。
なるほど、生活に必要な物が色々ある。
ゆっくりショッピングしても良いが今日中に支度を済ませたい。
ショッピングデートはまた今度だ。
雑貨屋で手頃なリュックサックを2つで2200フィル、服類を上下で3セットで1800フィル、
下着類を3セットで900フィルで購入した。
セニアの服は自宅から持ってきてくれているので季節が変わるまでは買わないで済む。
次に道具屋に行き、傷薬×10、毒消し×3、MP回復用の魔力水×3、保存食×4、テント×1を買った。
保存食、一つ400フィルとか、マジ高ぇ!
宿より高いとかぼったくりかよ。テントの300フィルも宿に比べると地味に高いなぁ。
道具屋では合計2340フィルの買い物だった。
広場でマーレの弁当を食べつつ、お互いの腰の皮袋に傷薬を3個ずつ、
セニアは毒消し、アレンは魔力水を入れた。
残りはストアとリュックに。
今さらだが、リュックサック、だせぇ!仕方ないけどさ。ずっともって歩くのマジ無いかも。
少なくとも戦闘中は置いておきたい。
意外とすぐに馬車、家+移動手段のどちらか必要じゃね?
所持金は残り6000フィルちょっと。
当面はイレインで活動するから宿代を考えて1000フィルは残しておきたい。
5000フィルあれば、ある程度の装備が買えるはずだ。
あ、そう言えば、レベル上げにエリートゴブ狩りしてからステータス確認してなかった。
まぁ、武器買ってから確認しよう。
――――――――――
広場から西に抜けて武器屋に向かう。
この世界では武器屋が防具も扱っているため、はしごする必要がない。
「いらっしゃい。欲しい物があったら、持ってきておくれ。試着は向こうだ。買うものはそのまま身につけて行って大丈夫だ」
おばちゃんが店員だ。試着室もあるのか、なかなかいい感じだ。
「セニア、優先順位は武器、鎧、頭だな」
「うん、分かった」
それぞれ選ぶではなく、一緒に選ぶ。少しデート気分だ。
装備を整え、鏡をみてみる。
アレン・クルス 17歳 ヒューマン 男
Lv16 シーカー☆2
主属性 無
シミター☆1
鉢金☆3
鎖帷子☆1
革の籠手☆1
硬質ズボン☆1
青銅の膝宛☆1
セニア 17歳 ウェアタイガー ♀
Lv15 ビーストウォーリア☆1
主属性 土
メイス☆1
銀の髪飾り☆2
チャイナドレス☆1
ピンクミトン☆1
レギンス☆1
革の靴☆1
木の腕輪☆1
おう!?
二人ともレベル上がってるなぁ、流石、エリートゴブ。
しかもセニア、獣戦士?になってる。名前だけで強くなったっぽい。
戦士というか、武道家に近い気もするが。
旅に出たから村人じゃなくなったのか。
所持金も足りたし。
セニアのチャイナドレススタイル、可愛いなぁ!
お団子ヘヤにしたら可愛いだろうなぁ!
それにしてもセニア可愛いなぁ!
大事なことだから2回言ってみた。
さて、いい時間にもなったし宿に帰るか。
ダブルとツイン間違えてしまいました。
アホや。
修正しました。




