第8話『寄居駅〜長瀞駅へ』
「22000系凄い重低音だったなぁ〜」
「20000系とは大違いの音だったね」
20000系は超高級車両で、超豪華な普通車両として、扱われている。
しかし、超豪華な車両であるにも関わらず、寝台列車などには使用しない。
寄居鉄道は当初、秘策があった。
その秘策とは、20000系は超豪華な普通車両として運行して、
20000系の後継車両である、20010系(現22000系)を更に豪華にして、
寝台列車として運行しようと言う考えであった。
しかし、この秘策は断念された。
その理由は、普通に考えれば、誰でも分かると思う。
そう、費用オーバーである。
一様、22000系の10両編成、第1編成、第2編成、第3編成、第4編成、第5編成の合計5編成50両が20000系から20010系(現22000系)に生まれ変わったが、これ以降の95編成950両は未完了のままで終わった。
「お兄ちゃん、カメラの充電まだあるけど撮影する?」
22000系の轟音を撮影した拓は既に満足していた。
と言うか、撮影する気がなかった。
「杉の好きでいいよ」
「じゃあ、長瀞駅に行って少し撮影して、その後、親鼻橋で撮影したい。どう?」
「結構、凄い移動だな…。まあ、杉が言うならいいけど」
「じゃあ、早く行こう…。って思ったんだけど、せっかくだから、7000系に乗りたい」
「7000系?なんか特別な事でもあるん?」
「え、お兄ちゃん、知らないの?7000系は全席ブルー車でしかも、ブルー乗車券が無くてもブルー席に座れる列車のことだよ。勿論、2階建の列車はあるけど、そこもブルー席。だから毎度車内が凄いことになるらしいよ」
「もうブルー席列車じゃん」
寄居鉄道の7000系は別名“ブルー券不要普通高級車”と呼び、車両全体がブルー高級席であり、車内販売も充実している。この列車、実は普通定期券や通常乗車券でも乗れる事ができるため、駅では毎度人が混み合い凄いことになる。