第6話 『踏切撮影完了〜自宅帰宅より』
どうも秩父鉄道マニアです。まあ、謎の鉄道マニアの別名として活動中。
最近は、12月中旬並みに寒くなってきていますが、風邪も引かず、暇な時に小説執筆しながら、趣味で鉄道撮影を行っている、鉄マニアです。
さて、前話は自宅を出発し、踏切で撮影をし始めたら、臨時急行に出くわし……。取り敢えず、読んでいない方は前話もお読みいただければありがたいです。そして今話は取り敢えず、踏切撮影を終了し、自宅に戻って動画とか画像を編集、取り敢えず、そんなところです。
前回、踏切での撮影で、臨時急行に出くわした拓と杉。190両もの長編成が、踏切を一瞬で高速通過したところを撮影し、その臨時急行を撮影後も寄居本線の車両を撮影し続け、気付くと、夕方に差し掛かっていた。
「お兄ちゃん、さっきの臨時急行が通過する時の爆風凄かったね」
「確かにね……。あの爆風は流石にやばかった」
拓が『やばい』と普通に言える程度が凄い。この世界の車両編成数はチート級。臨時急行、臨時特急、臨時快速などは特にチート級。しかも臨時系の最高両数は制限なしの為、各鉄道会社の臨時系の車両は爆両数になっている。
「でもさ、臨時急行って現実にもあるけど、この世界は何故に爆発的両数なのかね?」
確かに思ってみればそうだ。臨時急行なんて普通に現実にだってある。しかし、両数は各違い。だが、少々疑問が浮かぶ。それは150両編成などの爆発的両数で、『列車は動くのか?』、『停車位置にしっかり停車できるのか?』などこの様な疑問が少し浮かぶ。
「多分、この世界は臨時急行が臨時回送なんじゃないのかな?」
「そうかなぁ……。でも、僕的には臨時急行が臨時回送になってるのは、多分違うと思うけど」
「そうだよね……。まあ、適当に言ったから違うと思ったけど……。ところで、杉さ、臨時急行があるなら、臨時快速とか臨時特急なんかもあるのかね?」
秩父鉄道愛好家で鉄道マニアの拓すらも、何故、臨時系の車両だけ爆両数になるのかと言うのが分からない様である。しかし、拓は此処で『臨時急行があるなら、臨時特急、臨時快速などもあるのか』と思い付く。
「臨時特急? 分からないけど、多分あると思うよ」
実際、この世界に臨時特急も臨時快速も存在する。だが、何故か臨時特急と臨時快速には最高両数が決められている。しかし、臨時急行の現時点最高両数よりも高い300両。
「さて、結構な枚数収穫できた事だし、家に帰るか、杉」
「そうだね、今日は沢山のレア車両の収穫できたし、もう十分だよ」
大分、絶好調の日なのか、かなりの枚数を収穫できた拓と杉。そして、調子も良く、各駅停車の普通列車が踏切を通過して、撮影が終わろうとしていた。だが、此処であるものが……。
『カンカンカンカンカン……』
拓と杉は丁度良いタイミングに撮影を終了し、自宅に帰ろうとした瞬間、突然踏切が鳴りだした。杉は踏切に反応するが、拓は反応しなかった。何故なら、拓が所有する撮影機材の充電が30%を切っていた。
「あれ? また何か通るのかな」
「分からないけど、貨物の匂いがするよ」
拓は『貨物の匂いがするよ』と言ったが、拓は貨物列車独特の匂いを好んでいる為、貨物の匂いを瞬間的に感じ取れる。1km離れた場所でさえ、嗅ぎつける。ただ、嗅覚自体は悪い。
「拓がそう言うなら、絶対貨物じゃん」
「いや……。まあ、多分貨物だろうけど、まだ貨物だって決めつけるのは早い」
拓は貨物列車の匂いに敏感だと言うことは分ったが、特に自分周辺に近づく貨物に反応するため、よく当たる。稀に甲種輸送などで予想が外れる場合があるが、この日は当たり日であった。拓の予想通り、数十秒後、遠くの方から下り貨物の影が見えた。
「普通に貨物だよ、お兄ちゃん」
「今日は当たりか……しかも、この匂いはチョコバナナかな」
「え? チョコバナナたん?」
「そう、匂い的にチョコバナナなんだよね……」
拓は貨物列車の匂いを嗅ぎとれるが、更に凄いのは貨物列車の種類ごとに匂いを覚えている為、『今日はデキ103か』、『今日はデキ108だな』と種類も分ってしまう。
「じゃあ、このチョコバナナが見終わったら、帰ろう、お兄ちゃん」
「了解」
拓は踏切近くの草むらに座って貨物が踏切を通過するのを待っていた。しかし……。
「お兄ちゃん、あの貨物列車、全く動いてなくない?」
「いや、動いてるだろ……。あれ? 匂いが濃くなって来ないな」
杉は双眼鏡を使い、貨物列車をズームして詳しく見る。しかし、肉眼でも貨物列車は明らかに停車していた。どうしたのか分からない、拓と杉は貨物列車の近くまで行くことにした。
「お兄ちゃん、これ多分、緊急事態だよ。ちょっと停車した付近まで行ってみようよ」
「そうだな……。ちょっと、流石に停車するとは思わなかったし」
拓と杉は線路の付近まで行くため、脇道を通り、出来るだけ早く到着するように草むらの近道を走って通り、10分ほどで、貨物列車の付近まで来た。
「どうしたんだろう? 事故かな」
「事故なんじゃないのかな? でも、デキ自体には損傷は見つからないけど」
「じゃあ、なんだろ……」
拓と杉は停車中の貨物列車を見て、色々と考え始めるが、やっと拓が答えを導き出す。
「あ、多分、信号機の故障だな」
「信号機? こんな場所にあるの?」
「え、秩父鉄道線もこんな場所に信号機あったと思うけど……」
拓が信号機の故障だと思ったのは、信号機を見ればすぐ分かる。それは、信号機の電気が付いていないと言う事だった。実は貨物列車が停車した際、信号機の電気は消えていたらしい。
「やばっ、あれは確実だわ」
「信号機の故障か……。秩父鉄道も最近、確か信号故障が多かったよね」
「そうだね……。でも最近は故障しないよね」
極稀に秩父鉄道は信号故障を起こす可能性がある。しかし、最近は調子が良いみたいで、故障は全く起きてはいない。だが、この世界の寄居鉄道は結構頻繁に信号故障を起こす。それも、主に貨物路線。
「あ、お兄ちゃん、遅延メールが来たよ」
「『寄居鉄道からお客様にご連絡を致します。16時45分頃、桜沢駅―小前田駅間の信号が故障したため、上り貨物路線と旅客路線は運転を見合わせております。お客様には大変ご迷惑をお掛けしています。なお、振替輸送を実施中です。下り旅客路線と貨物路線は正常運行されています』だってよ」
「やっぱり、運転見合わせか……」
寄居鉄道の寄居本線は、貨物路線が旅客路線の外側にある。線路は平均6本で、内側から旅客路線(急行型)、旅客路線(普通型)、貨物路線の順になっている。先ほどの様に上りの貨物路線の信号などが故障すると、上り旅客路線にも影響が出てしまい、結局のところ、運転見合わせになる。
「どうする? もう、家に帰る?」
「そうだね……。もう辺り暗いし、撮影はまた明日だな」
「でもさ、お兄ちゃん。自宅すぐそこなんだよね……」
貨物が停車していた場所は丁度、拓たちの自宅の目の前と言って良い程の場所だった。
「多分ね、この草むらを抜ければ家に着くはず」
「いや、この草むら行かなくても、真横の農家道でも通れば着くよね……」
「どっちも同じだよ、多分」
拓は普通の農家道から自宅に帰ろうと歩き始めたが、杉は近道と言って、草むらを歩いていた。勿論、拓の方が早く家に到着した。
「あれ、遅かったね、杉」
「やっぱり、近道でも草むらはきついや」
「さて、ただいま~」
無事に自宅に帰宅した拓と杉。拓は真っ先に家に帰宅するとパソコンの電源を付け、写真をパソコンに取り込む作業を、杉はテレビの電源を付けニュースを見だした。
「あ、お兄ちゃん、やっぱり寄居鉄道がニュースに出てるよ」
「それは、出るでしょうね……」
この世界での、寄居鉄道の有名度はあまり知らない人が多いと思うが、この世界では異世界鉄道に続き、重要な路線である。
『速報です。今日16時45分頃、寄居鉄道寄居本線の桜沢駅―小前田駅間で信号トラブルが発生し、上りの旅客路線と貨物路線が運転見合わせとの情報が入ってきました。詳しい情報が入り次第、お伝えします』
テレビのニュース番組が『速報です』と言うほど、寄居鉄道は存在が大きい。それも、テレビのニュース番組……いや、テレビが普及していない時代から創業している。また、初期の寄居鉄道は資本も無く、線路を引けなかった為、本格的に鉄道事業をするようになったのは、現実で言うと白黒テレビの時代。
「ほら、杉。データ取り込むから、カメラ貸して」
「ご勝手にどうぞ」
「あと、もう夕飯作るから、風呂でも入ってくれば?」
カメラで撮影した写真をパソコンに取り込むのは大体、兄である拓の役目である。しかし、拓、普通に家事全般をこなす。しかし、これを弟の杉が行うととんでもないことになる。
数時間後・・・。
「夕飯できたよ、杉」
「りょーかーい」
杉は大体、家ではゲームをしているか、ニュースを見ているか、兄の手伝いをしているかの3つである。特に、ニュースを見ていることが一番多い。その影響か拓が『夕飯できたよ』と言っても、杉はなかなか来ない。
「ちょっとお先に寝るわ」
「お兄ちゃん、おやすみ」
拓は1日で結構疲労が溜まる。撮影して、パソコンで写真を取り込んで、編集して、家事を行い……。それに比べて杉は全く疲労を感じていなそうに見えた。
「ん? 明日、寄居鉄道が寄居駅でとあるイベントを開催?」
拓が寝た後、杉はパソコンで寄居鉄道の関連ニュースを見ているとマニアには凄い撮影したくなるような記事を見つけてしまった……。
今話も引き続きお読みいただきありがとうございます。
何だか、思う通りに物語が進まない……。誰かコツを一言でもいいので書いてください!
勿論ですが、評価、感想もお待ちしております。
因みに次話ですが、寄居駅での撮影となりそうです。