第二話 『波久礼駅出発後〜寄居駅到着』
前回、異世界の波久礼駅に召喚された二人の兄弟。その兄弟は鉄オタ&撮り鉄。兄は秩父鉄道マニアと名乗っている。で、その異世界の波久礼駅に停車中の現実での秩父鉄道そっくりの寄居鉄道と言う鉄道会社だった。その停車中の車両はなんと32両編成。現代では32両編成など見た事も無い兄弟はテンションが上がる。まあ、そんなこと。因みに寄居鉄道は架空の鉄道です。
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で、2話はやっとお隣の寄居駅に向けて出発する。その寄居駅では色々と驚くことがある予定です。
「お兄ちゃん…おはよう?」
「あれ?お兄ちゃん?」
「ん?どうかしたか?」
「前面展望してるの?」
「凄い景色だよ、星空が」
主人公が見ていたのは空全体に広がる星空を見ながら前面展望をしていた。
・前面展望とは鉄道ファンが主にする動画撮影のことで、運転席の後ろで動画を撮影すること。その他、車窓展望、後面展望などがある。
「窓からでも、十分綺麗だよ、お兄ちゃん」
「窓も良いけど、自分はやっぱり展望派かな」
「やっぱり、お兄ちゃんはそう答えると思った」
「でも、たまに車窓からも見るよ」
主人公が車窓から風景を見るのは数少ない。割合で言うと10%未満といったところ。
ガタンゴトン……ガタンゴトン……ガタンゴトン……ガタンゴトン……ガタンゴトン
「お兄ちゃん、そろそろ50分になるんだけど、寄居駅ってまだかな」
「確かに、この世界の波久礼駅から寄居駅は1時間掛かるとか運転士が言ってたけど、本当に1時間で済むのかな。着くような感じがしない」
「でも、明かりの様なものが見えてきたよ」
「そうかな、目が悪いから分からん」
弟の目で見る限り、極々小さな明かりが近づいていた。その時、急にアナウンスが鳴った。
急停車します。ご注意下さい。
「何?また踏切事故?」
「いや、違うみたい」
「只今、線路内に動物が侵入したため、急停車を行いました。安全が整い次第、発車致します」
数分後ーーー
「安全が整いましたので、発車致します。次の寄居駅の停車時刻は3時10分の予定です」
「随分、ズレたな……」
「この列車、普通なら2時05分に停車するのにね」
「大遅延やん」
やっとのこと、10分前ぐらいに駅付近アナウンスみたいなのが鳴った。しかし………。
チャララララーン……。まもなく寄居、寄居です。東川東上線、異鉄入高線、羽三鉄道線、寄居熊谷線、寄居河口湖線、寄居羽生線、寄居土浦線、東川入王線、寄居甲府線、寄居大月線、寄居会津線、寄居石巻線・・・。お降りのお客様は車内にお忘れ物の無いようにご支度下さい。降り口は右側、56番線です。
「おいおい、多くないか」
「寄居鉄道、やばい大きい会社じゃん。予想的中したし」
「何路線?」
「ネットで見ると50路線あって、その中の40路線が寄居鉄道所有」
「そもそも、寄居駅を設立したのが寄居鉄道らしいよ」
「それは…そうでしょ。現実の寄居駅だって秩父鉄道が設立したんだから」
「でもさ、56番線って………。確実にやばいやつ」
兄弟で寄居鉄道の会社の大きさを予想するが、果てしなく大きく、結局は分からなくなる。
「お兄ちゃん、ホーム見えたよ」
「ただ、ホームも大きい!!」
「それは32両編成の電車が停車するんだよ、大きくないと停車線はみ出すやつ」
「だって、1両が20mだとして、32両でしょ?20m×32……640m!?」
「640mだとしても、余分を残さないとだから、5両分ぐらい取っておけばいいんじゃないんかな?」
「そしたら、740m?」
「あ、でも、35両編成もあるから………。もしかしたら、もっと長いかもしれない」
「まあ、駅の電光掲示板を見れば分かると思う」
「ところで、本当に停車位置大丈夫かな?」
主人公は停車位置に停車してほしい。まあ、32両編成なんて重すぎて、絶対ズレる感じがしていた。
「本当に止まってる……。停車位置ピッタリに」
「お兄ちゃん、あの女の人、可愛いと思わない?」
「ところで、定期券はしっかりあるよね?」
「なら、秩父駅から三峰口駅までの値段を払ってから、少し、寄居駅を見学しよっと」
寄居駅に着いたのは良いが、人の量が多すぎる。現実の寄居駅だったらSLが来た際や祭りが開催されているときにか混まないはずであるのに。
まもなく、寄居鉄道寄居本線55番線ホームに3時20発、各駅停車、秩父行きが参ります。危ないですので、黄色い線の内側でお待ちください。この列車は4つドア、40両編成の秩父行きです。
「40両!?」
「いやいや、40両ってやばい数だよ……」
「32両編成に8両編成が繋がった両数……」
「お兄ちゃん、駅の広場みたいなのがある!」
「今行く」
「あ、あった、電光掲示板」
「は?深夜なのにまだ鉄道走るの?」
「20分発の次は貨物列車、100両」
「100両!?」
主人公はあまりの凄さに唖然。人も多いし、路線も列車の編成数、貨物の編成数。そしてな何より、この寄居駅の大きさ。何もかも現実とは違っていた。
「なんか、この驚きの駅風景を撮影したいが、する雰囲気がない」
「お兄ちゃん、よく見ると床が天然石!!」
「は?そんはことないでしょ?」
「いや………待て待て……普通にそんなことあるぞ……」
駅の広場の床が現実世界ではかなり高価である天然石が広場の真ん中にぎっしりと詰まっていた。
「これって、まさかだけど、天然ダイヤモンド?」
「普通の人工ダイヤモンドじゃないの?」
「よく見ると人工にはない天然だけにある特徴があるから天然だよ!!」
主人公が驚いていたのは、床が天然石加工され、しかも高級な天然ダイヤモンドで敷き詰められていることと、弟が凄く石好きで石に詳しかったことに驚いた。
「この世界、そんなに天然石が採掘できる場所でもあるのかね」
「現実の寄居駅はマジで田舎の駅なのに、異世界の駅はマジで都会やん」
「異世界はダンジョンみたいなのが沢山あるから、天然石採掘場でもあるんじゃないのかな?」
「流石にあったら恐ろしいよ」
「そうだね……でもあれば面白いな」
主人公は此処であることを思いつく。
「そう言えば、地形がそっくりで、町名もあるんだし、異世界でも現実で済んでいた時の自宅はあるのかな?」
「いや、流石にないと思うな」
「でも、検証してみたくない?せっかく異世界に来たんだから」
「で、行ってなかったらどうする?」
「それは……行ってから決める」
そう言って、家があるのか検証するため、家に向かう。
この第2話をお読みいただきありがとうございました。とにかく、前回と同じで、引き続き鉄道関係の会話が多いです。因みに第3話では寄居駅から桜沢駅に行き、異世界にも自宅があるのか検証!する話です。