吐瀉物の清掃人
生と死の境い目で 言葉を嘔吐する詩人
せん妄気質の クダを巻くような 演目
憐憫も無力感も それは勝手だが
吐瀉物を拭った 誰かは 彼に共感でもしたんだろうか
僕の鳩尾にある黒い吹き溜まり
唾を吐きかけた 偉人の彫像さえ
僕は何一つ 傷つけられなかった
僕が行くのは天国か地獄
その中庸はない
天国でさえも うらぶれた天使たちが
大麻でも吸っているんだろう
地獄でさえも そう 僕の毛嫌いした
掃き溜めの連中が 酒をあおっているはずだ
死にたくない 生きていたい
生への渇望は そんなにありゃしない
ただ 僕は排泄物のような
垂れ流すだけの絶望に そっぽを向いていたいだけだ
地の底にある 本当の失意は 多分リーマン辺りが
知っているに違いない
近寄らないに 越したことはない
大体 半端に挫折した人間の
絶望の切り売りなんて見たくはない
性の樹脂が ねっとりと体に張り付き
僕の心は 目玉の奥にある
人生の神髄とやらに 気づく
僕は酩酊していないし 泥酔もしていない
快楽で 虚無で 悦楽で 虚脱で
ただただ性の残滓に浸っている
24年前に出逢ったあの子を
抱けたなら どんなに良かったかと
今 僕の周りにいるのは 街娼とポルノスターだけ
純粋さもなく 誠実さもない
それならいっそのこと
僕も言葉を嘔吐でもしてみようか
そうしたら 世界は広い
悪趣味な誰かが 拭ってくれるかもしれない
僕はただ 光が見えていた時代の
自分を大切にしているだけ
僕を 光の領域から 連れ出してくれるな
ただただ 許されるならば 叶うならば
もう一度 あの時の あの頃の あなたに会いたい
僕が 願うのは ただそれだけ