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初めての買い物

「ほう、このガキが噂の…」


俺はフカフカのソファにふんぞり返って座ろうとして後ろに頭をぶつけた。


フカフカで痛くはないが、2歳児の身体用のソファなんてこんな所にわざわざ置かないか…




何度か名前を聞いていたこの男がガルか。

確かに凄いのは一目見ればわかる。

なんせ魔界でも有数の権力を持っていた蝙蝠魔人、バンパイヤである。


魔力もさる事ながら、その戦闘力の高さは魔王ギルドの上位に君臨していた。



「…ガルさん、こいつ喋れないんだ。」


俺を見ながらザックの声を聞き、そうか。と呟きまた俺をしばらく見る。




しまった。

ここでもし彼と戦闘になったら勝てないだろう。

魔力はあっても闇魔法は戦闘でどう使うのか知らないし、接近戦なんて話しにならない。

頼みの基本魔術は上級の力を持っているとはいえ、基本魔術のみで闘うなんて無理がある。



そんな事を考えながら冷や汗が背中を伝い、嫌な顔をした所で彼は口を開く。


「俺の仲間にならねぇか?」


開口一番、敵意はなさそうだが俺にその気はないのが、ここで断っていいのか一瞬考えるが、首を横に振る。


いざとなったら、転移で逃げよう。


俺がそう決意して拳を握ると、正面から鼻で笑われた。


「わかった、ならその話しはまた今度だな。今日は客として来たのか?」


俺は安堵しながらも隙を見せまいと口を引き締め気合いを入れ直す。

彼は俺と会って何がしたかったのか、そのままの意味で勧誘だったのだろうか?


考えながらも俺は首を縦に振る。


「なら、俺の顔で適当に欲しいの持ってけ。今日は奢りだ。」


借りを、作らせる気か?

俺はザックの方を向いたが、彼は目をパチクリしているだけだったので判断しづらい。


ここで借りを作るリスクと、普通に買いに行った場合の出費を考えると、ここで借りを作るのは危険であるとすぐに理解出来るが、断ってもいいものなのだろうか?



俺はゆっくり首を横に振り、右腰の袋に手を突っ込んでいつもより大きな魔石を取り出して机に置く。


「…ませたガキだ。」


彼はそう言いながら指を鳴らして、後ろに控えていた男がそっと魔石を布で包んで後ろへと戻っていった。



「借りを作りたくないのか何なのかわからねぇが、取り敢えずザック、こいつが気に入った商品はいくつでもくれてやれ!」


そう言って後ろから金貨を木箱に入れた箱を持ってきた男が、それをザックに渡す。



取り敢えず問題なく買い物が出来ると捉えても良さそうだが、油断は出来ないな。



俺はザックを見ると、うす!と頷いて俺にも頷いた。


あ、そのままの意味でいいんだ。






















俺はその後、ジェスチャーと指を使って俺の買いたい商品を何人も並ばせた。


買いたかったのは5歳以下の魔族を何人か。エルフとドワーフ、龍人天人も同じような年頃のを。



ここの奴隷市は国というだけあって種類豊富だし、魔界で魔族の奴隷は売買されなかったのもあり新鮮だ。



俺は1人1人布に包まれた赤ん坊同然の者から、俺とタメか少し上ぐらいの男女を見て回った。


見るのは、魔族は元祖魔術。天人は羽の色。龍人は牙。エルフは髪の色。ドワーフは指先である。


並べられた中から俺はじっくりと見ては、他の奴隷をじっくりと見てを繰り返し、良いと思った商品は片っ端から肩をそっと叩いてザックに視線を送って行った。





「魔族は知らないが、お前本当にガキか?見てるトコが一流のプロだ。」


ザックが驚いた表情のまま、ガルから受け取った金額を商人達に渡していった。



「これだけ買うんでしたら、こいつらはみんなガキなので馬車も用意しましょう。」


商人達はガキが売れていくのは嬉しいらしい。手間暇かけて良い奴隷に仕上がるが、そうでないケースも多々あり時間の無駄になったり精神を磨り減らすだけに終わる事が多いのは俺もよくわってる。




馬車に商品を詰めてもらい、食事となるミルクを付けて貰って奴隷市を後にする。



「なあ、そんなん買って…いや、何でもない。」



ザックは10人以上のガキを何に?と不思議そうな顔をしていたが、詮索するのを止めたようだ。


この業界の中に居ても俺は確かに異様な存在なのだろう。


それとなくずっと実家に闇魔法で視点を送っているが、レイヤはまだまだ育児で大忙し、サイレスは不在の様なのでもう少し好きにさせて貰おう。























俺はその後、買った家までザックに届けてもらい、手を振って帰した。



さて、まずは衛生だな。


水魔術と火魔術を使い、買った商品を綺麗にお湯で洗う。


その後先ほどもらったミルクを人肌に温めてから1人1人に飲ませていく。


声がうるさかったが、それは仕方ない。

ミルクも飲んだら安心したのか寝始めた。


また、俺と同年代か少し上ぐらいの子には闇魔法を使って取り出した肉を火魔術で焼いて食わせた。

腹が膨れたら寝る。

単純過ぎて大丈夫かと不安にもなるが、俺だから大丈夫だろう。




みんなが寝静まり、改めて1人1人を見ていく。


金髪の虎魔人。

紫髪の蜘蛛魔人。

赤髪の鬼魔人。

銀髪の狼魔人。

白髪の鷹魔人。

青髪の鮫魔人。

青髪の鰐魔人。

黄髪の狐魔人。

黒髪のデビル。

茶髪のドワーフ。

白髪の天使。

金髪の龍人。

緑髪のエルフ。





計13人。

年齢は1〜3歳といった所か。


流石に俺が選んだだけあって良い人材が集まった感じがするが、元々これだけの優良人材が集まっているのはここが国である事もある。


「…ん。」


俺は大きく満足気に頷き、闇魔法を広範囲に発動させた。

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