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クロムeye

あれから半年が経った。



あの日から俺はこの世界で、知識に溺れて自堕落な自分を捨てる決意をして毎日魔力総量を上げる修行を行った。



そして、ハイハイが出来る様になってからは至る所に出撃していった。


階段を降り、台所に行ったり外に出ようとしてレイヤにスタート地点まで戻されたり、夜になれば夫婦の情事を見守りに行ったりと、自分の身体を鍛える為に動き回った。



もちろん情事の邪魔はしないし、俺に妹か弟が出来るのを暖かな目で最後まで見届ける間は修行もストップとなる。










「クロムは本当に俺に似てスケベだな!」


たまにこうして見守っている事が気付かれてスタート地点に戻される事がある。



そうそう、こっちでの俺の名は【クロム】


何の因果か、魔界でお世話になった魔王様の名前でもある。


彼はよく俺に女を渡してくれ、そのお礼に知識をあげた。


女に対して紳士な俺は、胸を揉んで引っ叩かれて逃げ出されても、追いかけたり叱ったりせずにまた彼に女をよこす様に頼みに行ったりしたっけ。



そういえば、サイレスは自衛団に所属している。


俺のいるここは【ロールズ】という街で、人口約2万人の商業街であるようだ。

海辺に近く、魔族、人間、天族、龍族がごった返しになって生活している不思議な所である。



闇魔法による除きスキル、【クロムeye】を使い今では街全体が見渡せる様になった。


ロールズでは魔族も人間も全部、個人として扱い、差別はないようだ。


もちろん奴隷制度はこの街にもあるようで便利な手法は力で得る事が出来るのだろう。


他にも興味を惹かれる事が沢山あった。


魔王直属の親衛隊を育てる魔王ギルドはないが、ただのギルドと呼ばれる場所はあった。

そこでは何でも屋の様な意味合いや、魔物討伐なんかもあったりする。


また、商業街だからか活気があり食事はどこを見ても新鮮だ。魔界にいた頃は魔素を吸って魔力回復に効果的な食事が多かったが、その分活きが良くなかった。


他にも、道場と呼ばれる所では剣術を学んでいる者がいたり、魔術施設と呼ばれる所は魔術を扱っているようで興味深い。



そしてなにより興味深いのは、この街の中では1番大きいちょっとした屋敷に住んでいるのが人間である事。



奴隷になっていない時点で薄々思ったし、人数費もそうだし、人間如きが街を収めているとなればもう確定だろう。






このイーリルは、【人界】である。



















「クロムったら、将来が心配になるわ…」



考え事をしながら舌をチロチロしていると、俺を抱いているレイヤから声が聞こえた。


おっと、ミルクタイムに考え事など勿体無い!

出来るだけ味わっておかねば…



「俺も今夜は吸い付きたいな。」


なに下品な事を言ってるサイレスめ。お前が舐めたと思うと萎えるだろう。

レイヤはほっこりした顔で笑っている。

満更でもないのか、そりゃそうか。




でも人間を好きになるって、どんな感じなんだろう。


以前魔王様が龍人や天使を性奴隷にしていたが、あれと似た様なものだろうか?

いや、感情までは動かないだろう。不思議だ。












ここは俺のテリトリー、庶民風にいうならベビーベッドで俺は、新たな修行をしていた。



闇魔法は完璧だ、あとは魔力総量なら基本魔術を使える様になりながら増やしていけばいい。




俺は右手に水、左手に土の玉を作り出し、天井に向かって放つ。


これは初級魔術であるウォーターボール、アースボールである。


今の魔力総量なら起きてる間ずっと連射する事も可能だが、それより混合魔術に力を入れている。




元より魔法陣は山ほどあり、推奨も頭の中にインプットされているので数をこなし、今では無推奨で発動出来る。



ウォーターボールとアースボールが空中で混ざり合い、泥団子の様な中で乱回転を起こしている物体。

それが天井に当たる前に異空間へと入ってそのまま街の外に闇魔法で混合魔術を放っている。


家の中でやれて闇魔法は確かに魔王様が使っているレベルで反則的なんだと改めて気付く。




更に、部屋の外や街の中、街の外にまで闇魔法を使って同時に視野に入れる。


やはり人間は胸の発育が貧相だな。


ぼんやりと修行しながら海辺で水着の女を撫で回す様に見守る。これも修行の一環である。



もっと魔力が増えたら、街の周りといわず広範囲で見れる様になるだろう。


チートのような力をグングン伸ばす俺だが、ここで過信してはダメだ。

以前のように人生どこで失敗しても後悔した時にはすでに遅い。



「ウウウウウウ!!!!」



修行も終わり魔力をある程度使ったので、声を張り上げる。


はーい、と一階から声が聞こえて彼女は料理を中断して駆け上がってくる。


俺はその後、本能のままに身体を動かし、満足したら眠気に誘われて眠りについた。






























「ンアアアアアアア!!!」




転生から1年と少しが経ち、今、俺の立場は危うくなっている。


家中に響き渡る赤ん坊の声、俺のものではない。


「マルタ、どうしたんでちゅかー?」


サイレスが抱きかかえても泣き止まない彼を、レイヤが抱きかかえるとすぐに泣き止み胸を鷲掴みにする。


そう、弟の誕生である。


「ウダアアアアアア!!!」


俺は声を張り上げて今日も主張する。


「クロムはもうお兄ちゃんなんだから、後でね?」


俺の毎日の楽しみであるおっぱ…ミルクタイムが奪われているのだ。


「てゆうか、クロムはもう離乳食でいいんじゃないのか?」


サイレスの悪魔の囁きに、俺はなお声を張り上げるが可愛いマルタには勝てない。むう、これは何とかせねば。



俺は弟にミルクタイムを奪われてから、ある修行を始めた。



基本魔術は火・土・水・風の4種類を上級まで上げ、治療魔術は王宮になっている。もともと身体構造などについても詳しい俺は、治療魔術がどんどん身体に馴染んでいき、今では腕や足なら切り落とされても即座に生やす事が出来る。


もはや1歳児にしては異様であるが、ここ人界のイーリルではどの位が基準かわからない以上用心に越した事はない。



俺は右手に異空間を作り出し、クロムeyeを使って街のある場所に視点を集中させる。


右手の異空間に口を突っ込む。そして…





「ひゃっ!!」



街中を歩く女性が悲鳴を上げる。

彼女の服の内側に闇魔法を発生させ、直にミルクタイムのように吸い付く。



「どしたの?」


隣を歩く男性が声をかけるが、必死に胸を押さえながら首をブンブン振る彼女は蝶の亜種、蝶魔人で俺のどストライクである。

もちろん鶴魔人のレイヤもだが、母親だと思うと少し抵抗もあろう。



離乳食なんて絶対食わん!!


俺は確固たる決意を胸に、今日も胸を貪るのであった。

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