猫と呼ばれて
「猫。猫」その声を掛けられて頬を撫でられながら微睡みから起こされる。目覚めてふぁー欠伸して周りを見回すと書類が見える。
「大丈夫か?」聞いてきたのは執務室の椅子で寝ていた私を抱き締めてソファーベッドに移動した婚約者の寿雄。茶髪が日差しを浴びて金髪に見える
心配そうに顔を覗き込んで来るのは積み重なった書類とあまり寝ていないせいで顔色が悪いからだろう
「もう少しだから」そう言って心配そうな顔をしている寿雄を押し退けて机に戻ろうとしている私の腕を引っ張り引き留めようとしている
「これが役目だから」そういえば諦めたような顔をして仕事の手伝いをしてくれる。文句をいいながらも正確に仕事をしてくれるから一応チェックして判を押すだけの仕事である。寿雄に任せれば間違いないと言う安心感があるので仕事のスピードもストレスも軽減される
殺伐した雰囲気の執務なのだが、彼がいるだけで少し空気が和らぐ
懐かしい夢を見たなと感じながら目を覚まし体を預けていた壁から背中を離して伸びをしたら毛布代わりにしていたマントを背負い鞄にしまい動き出す。
色々とあり後継者から下ろされ実家を出た。書類作業しかしたことがなく体を動かすのが苦手だった私でも5年たったらある程度の仕事で稼ぐことができるのだから人生はわからない。元々知識がありある程度の経験もあったからと言うのもあるが。
ダンジョンないで小物の動物を倒して捌き皮と肉に分けて下ろしたり薬草・宝石を採取したりして日銭を稼ぐ
薬草・宝石は鑑定と知識があるのでカスと言われ本来なら換金できない大きさのものでも希少な宝石なので売れるし、判別が難しい薬草も採取できるとして探索者として重宝されている。取って来る量が少ないので他の探索者に睨まれることなく仕事ができる。
人の出入りが激しい大きな所だと私を嫌って殺そうとする実家の人間も把握できないだろうと思い大きなダンジョンで生活している。それでも刺客を送られているだろうと思って3日に1回数時間くらいしか上に出ていかない。換金と必要物資を購入して教会で生きていけていることに関して感謝をのべたら再びダンジョンに潜る生活を続けている
「さて。どうしようかな」起きてから後ろにつけてくる人間がいるのはわかっていたが、攻撃をしてくるわけでもなく尾行をただしているのでどう処分しようかと考える
攻撃を仕掛けてくるのなら返り討ちにすればいいし。私を拐い言うことを聞かせようとする人間ならその背後にいる人間を洗い出して噂と言う攻撃を仕掛ければいい
実家以外の一族が助力を求めてきたら場違いだと追い返せばいいだけだし
あちらが動かないなら放置してもいいが、思惑がはっきりしないから落ち着かないと言えば落ち着かない。そのまま数日尾行されながらも小物を仕留める仕事をする。腕が悪いのかなれていない人間が多いのか知らないが尾行していた人間の数が減っているのが気になると言えば気になるが、色々と思惑があるのだろうと放置している
地上に上がると決めていた量に達したので地上へ上がることにしたが、他の人と違って来た道を戻るわけでもなく違う道を通って行く。後ろの人たちが更に人間が減っているのを感じて鍛練が足りないと思う
この程度のダンジョンを攻略できない人間など武芸を納め得る人間としてはどうなんだろうと。自分はと変な意識を持っている人間の鼻をおるためにやっているのかも知れないと思い直して査定をしてくれる場所に荷物を下ろす。
肉と皮を別にしているので料金は少しだけ高く評価もいい。した処理したものをそのまま依頼を出した肉屋や皮を扱う店に下ろせるのだからプラス査定がつくのは当たり前だと思う
査定を終わらせて風呂で身をきれいにしてから教会に祈りを捧げる。捧げ終わったあとに礼拝堂をあとにしようとしたら
「久しぶりだね。少し凛々しくなったみたいだね」声をかけてきたのは私が後継者を下ろされたときに最後まで反対してくれた分家の人たちの一人である
「お久しぶりですね」と言えば
「本当に変わっていない」ふんわり人が良さそうな顔をしているが、やり手で出来ると思った人間には根をあげないが優しくないレベルの仕事を降ると言う人である
仕事ができない人間には優しく接した振りをして突き放す人間である。実家を出る時に引き留めはしないが何かあったらと心配してくれた人間でもある
「そうですか?昔みたいに身綺麗でもないですし。少し粗っぽくなりましたよ?」そう言って目を細めて言えば
「着る服や雰囲気は少し汚くなった・粗っぽくなったとしても姿勢が変わらないだろ?やると決めたら一生懸命に。信頼には信頼を。裏切りには裏切りを。と言う所がね」
「そうですか」
「そうだよ」と嬉しそうに笑っているが、外では戦闘が繰り広げられている感じがする
「気にしなくてもいいよ。性懲りもなく君を恨んでいる馬鹿土もを始末しているだけだから。あの時、君を下ろせばうまい汁を得られると打算してあれらに協力した癖に君がいなくなって動かなくなったのは、君が悪いと喚き自分が落ちぶれたのは君のせいだと逆恨みしている馬鹿どもだから」
「そうなんですか。私より優秀な彼女だからうまくいっていると思っていましたが」純粋にそう思っている私を見て笑いながら
「基本的な知識を小さな頃から覚えて実践して身に付けた君と行きなり出てきて付け焼き刃なあれと違うだろう?一時的な対応ができても正式な場では周りにフォローする人間がいなければとっさのことに対応できない何て後継者にふさわしくないだろう」諭すようにいっている。まあ、何年も掛けて身に付けて突然に商談を持ち出されても対応できるように事前に参加者全員の名前と一族を把握するのも後継者の役目だと認識しているしほぼ顔見知りだからスムーズに対応できたと言えばそうだ。そのような場所では、両親ぐらいの年の人間が多く私のことを生暖かく見てくれていた面もあったとも言える
「それでも有能には代わりはありませんよ」
「能力云々よりも血筋って面もあるだろう?それに人の婚約者を侍らしたりいい男を見れば言い寄るような人間は」
「一族の顔としてはダメですね。私には関係ない話ですけど」憂いある顔をされても私には関係ない話だし。
「一族を離れたって得た知識で生活できる君は大したものだと思うよ。それに毎日祈りを捧げてくれているだろ?じゃないと君の回りで争い事が起こってもこういう風にはならないから」と私と自分を守る結界を見て言う
「祈りは習慣ですから」結界を見て言えば
「それが積み重なれば一族の守りの強化にもなるんだがね」
「してないんですか?」
「目に見えないものは理解できないらしくてね」
「それは、大変ですね。そこら辺の教育はあなた方の仕事で巣よね」微笑んで言えば
「そうなんですけどね。参加させようにしても逃げる・泣き叫ぶといった行動をするもので」呆れながらいっている。
「今まで見たいに誰かが面倒なことをしてくれて自分は美味しいところだけと思って後継者になったのかもしれませんが、そうは思い通りいかないのが人生ですよね」いいながらそ外が落ち着くのを待っていると争いの音が収まったので、歩き出そうとすると中に入ってきた人がいる。報告しに来た人かな?と思ってすれ違い様に腕を捕まれて抱き締められた。驚いて固まっていると
「猫」と耳元で囁き匂いを嗅いでいる。ふんふんと匂いを嗅いだ後に首筋をなめ来る
「な。汚い!」と首筋から離そうと身をよじるもびくともしない相手は舐めた場所にキスをしながら猫。猫と婚約者が私につけた愛称を呟いている。すれ違った時に顔をきちんと確認していなかったが、婚約者と雰囲気が似かよっていたので親族かな?とは思っていた。
首筋や頭。唇まで舐め・キスしてきて満足したようで、抱き締めた腕は離れないが優しく拘束されている
「お前は。もう少し我慢ができないのか」と呆れた声が教会に響くが、突っ込みを入れられた相手は気にしていない様で、逃げ出す素振りを示したら直ぐに捕まえられるようにと私の行動にだけ集中している。キスをされた時や私を呼ぶ声で婚約者と確信できたが彼は後継者との婚約者であり私個人ではないので落とされた時に私との関係性は切れたと認識していたのだが違った様子である。あれ?と言う顔をしている私を見かねたおじ様が
「そのままだと彼女が大変だろうから座れ」礼拝堂におかれていた長椅子に座るように促す。当たり前の用に私を膝の上に横座りさせながら座った彼は昔から変わらない柔らかい視線でw足しを眺めている
「さて。なぜと顔に大きく書いてある当主様に説明してあげなければいけないが。よいか?配偶者殿」その声がけにうなずいている彼を見た後に
「まず。貴女が出ていった後に彼女を擁護した人間が色々と直すべき所だといった所に鉈を降り下ろしたんですけども。最初はよかったが、先程も申した通り長く続くルール・マナーがなっていない彼女が推し進めるのだから齟齬や不満が出始めて今は昔よりも一族内の結束は悪くなっていますし、他の一族との関係も悪化しています。齟齬や不満が出始めたときに一族全員が集まり後継者とはと話し合いをしたっ所やっぱり貴女が一番だと言う話になりましてね。彼女を擁護した人間以外は様子見と反対が多かったのは事実。擁護が煩く貴女が傍観していたからやらせて見ようか。と言う感じでいたんですよ。だから正式には貴方は後継者のままなんですよ。あのとき貴方に負担をかけすぎていたので少し休みを取ってもらえたらと言う配慮だったのですが、まさか姿を消すとは思ってもいませんでした。
まだ、正式な後継者だとわかった彼らが失敗を挽回して自分達が思い描いた未来の為にと貴方を始末しようとしていましたが、あなたの方が武芸も技術も上なのだから返り討ちになるのは当たり前。そろそろ印籠を渡してもいい頃合いだと言うことでお迎えに来た次第です」にっこり笑っているおじ様にため息しか出ない
「と言うことは。私は5年間の休養をもらってのんびりしていると周りに思われていたの?しかも、側近候補の試験中だから周りに迷惑掛けてごめんなさい的な?」
「そうですよ。身内と認識されている外の一族にもそう説明していたのですが、あまりにもあれなので関係があまりよくない状態です。早く貴女を出せと言われる始末ですよ最近は。それに内外からの要求で数か月前から貴女が当主と書類上なっています。遊びから帰っていないからと言うことでお披露目会はお行ってませんがね」
「戻ったら身綺麗にして整えるものを整えたらお披露目だな。ついでに俺との結婚も一緒だ」と嬉しそうな声を出しながら頬を撫でてくる寿雄
「我慢したんだ。あれが思い違いをして俺の婚約者だといい始めたりして煩かったが、殺さなかったんだぞ」誉めろといった感じで言う。
「君は」と言えば射るような目を見つめてくるので
「寿雄は後継者の婚約者と言う立場で、あの状況ではあの人が後継者になったのだと思うのは致し方がないことだと思うけど?周りもそういう対応を一時期していたんでしょ?」とおじ様に聞いてみると頷いている
「だったら」
「それでも普通はきちんとした手順を踏むだろう?」
「そういう普通がわからない環境でそだった人だものしょうがないでしょ?まあ、殺さなかっただけ成長したと思うけど」
「あの人もある意味被害者でしょ。今までの環境とはまるっきり違う場所につれられてきて有能だと持ち上げられて有頂天になったのはいいが、そのあと思い通りにいかないで避難されるとか。引き取られた場所も悪かったと言えるだろうし」と言えば
「次期当主を出すから家を継がせるものを外から引き取ってくることはあるが、選択を間違ったのだろうな」
「外で作った最愛の人との子供とか選択間違いすぎでしょ。側に置きたいなら最初っから離れとか一族の風習が根付いている場所とかで育てて教育しないと後々問題になるでしょ」
「お前が後継者になる器だと思ってもいなかったとも言えるがな」
「私も指定されるとは思ってもいませんでしたよ。だって、候補でもなかったのですから」
「まあな。候補と選抜できるくらい出はないが、動向を注意してくれと言われた私も最初は驚いたが。観察すればするほど後継者としての資質は認められる。あとは使える人間を側に置けば上手くいくと判断したからそうなったんだがな」と昔話をしながら今後の話をしたあと本家の別宅に行く
色々と整えないといけないことと問題の後始末をしながらも重役や側近に抜擢された人間たちと顔合わせと話し合いを重ねて2ヶ月。
彼らの処遇も決めて正式な場に出始めて戻ってきたことをアピールするためにパーティーなどに出始める。そうなれば外の人間ももとの体制に戻ったとわかるらしく関係も改善しはじめて落ち着き始めた頃に正式な世代交代を発表しお披露目会として結婚式をあげることとなった
「これでやっとだな」と嬉しそうな寿雄を見て
「これからだよ」と微笑み返す。周りはそんな私たちを祝福してくれる人ばかりでいい式となった




