お一人様
私、篠崎 玲はお一人様である。
いい人がいたら結婚しようとも思わない枯れている女だ
昔は違っていたが、今では死ぬまで一人でいいと思っているし。死ぬ前には家の墓を仕舞うために姉たちを説得しなくてはとも思っている
両親は結婚してほしいが強く言えないと思っているようで、チラチラと話を持ってくるが進めようとはしない様子見をしているのだろう
それはそうだ
篠崎は血族と婚姻を結ぶのが多い一族である。両親もそれに漏れずはとこ同士であり姉たちもはとこ同士やちょっと遠い親族と結婚している
私も10代の頃は分家筆頭の次男と婚約をしていたが、彼方の勝手な理由で婚約を破棄された。
その時に私を嫌って排除しようとした他家や大義名分を与えられたからとして嫌がらせをしてきた周囲の人間たち共々分家筆頭とその親い人達を切り捨てた。
婚約破棄された時に今までと変わらずに接してくれた人や庇ってくれた人たち陰ながらでも守ってくれた人たちとは交流しているし、その時に得た情報をまたに流している。
その情報をどう使うかは本人次第だが、有意義に使ってくれているようだ。
話がそれたが
両親はいい話だと持ってきて結んだ縁が壊れてしまったのたから結婚を促すのを躊躇してしまうのだろう。
私個人では既に同世代の親族とは連絡も取り合ってないし親戚主催のパーティーなども出ていない状態
「関わることは今後ない」婚約破棄された時に放った台詞を守っている様に見えるから余計だろう
元々親兄弟と親しい人意外はどうでもいい性格だから一度切れたら関係を結ぶことはない
就職も一族とは関係ない会社に入ったし就職をしてから独り暮らしをはじめたから盆しか帰らないし長居をしないから余計そう感じるのだろう。
姉たちともグループ通信を使って交流するが直接逢うことはない日々を過ごしている。写真でしか見たことがない甥っ子・姪っ子が増えていくが会いたいとは思わない。
時々旅に出たりしたときにお土産と+αを送ることはあるがその程度だ。
しかしながら今年は厄年かと思ってしまう。会社に新人が入ったと聞いていた掲載された社内伝達には元婚約者と一族数人の名が記されていたが、違う部署なので気にも留めず仕事を頑張っていた。
給与日だったので自分にご褒美と考えてあまり利用しない食堂へ
珍しいですね。同僚に話しかけられた位にしながら食堂の隅に座り昼を食べていると相席をお願いされた
席が有り余っているのになぜ?と思い断ろうと顔をあげると見知った顔が複数有った。
手酷く一方的に婚約破棄してくれた元婚約者が定食を持ちながら他の一族のものも一緒に佇んでいる。よく顔を見せられたなこいつは。
呆れながら他の席が空いてますからそちらへどうぞ。やんわり断ったのに動こうとしない
無視して食べ始める私を一緒にいた一族のものもが声を掛け違う場所に行くことを促したのでその場をあとにしたようだが、今さら何の用があると言うのだ
その後、ちょくちょく声をかけようとしている気配があるが基本的に部署からでない私が捕まるはずもなく煩いなと思いながらも日々過ごしていた。
同僚からも絡まれているのがわかるようで元婚約者がいる部署や一族のものもがいる部署に用事がある場合は変わってくれたりしていて大変助かる。と言うか、部署的に彼氏有望株や彼氏がいる部署だったりしたので快く変わってくれた。代わりに仕事を手伝って逢瀬を楽しんだ時間ロスの肩代わりをした
業を煮やした元婚約者が退社する私の手首をつかんで引き留めようとしたが、捕まれた手首を回転させて空いての手首をつかむ。必然的に相手側は捻られたようになるからそのままたち位置を変えて後ろに行き一歩前え体をだし床に倒し起きられないように膝を背中に押し付け体重を掛けて立ち上がれないようにする
防犯教室で習った技だ
周りにいた同僚たちが驚いているが非があるのは倒れている方なのは明白なので男性陣が正気に戻り代わってくれた。
「危ないから明日事情を聞く」そう上司に言われて連行されていくのをみて何だかなーと思いながら家に帰りグループ通信を姉たちに送り情報収集。
元婚約者と一族のものもが会社にいると言うことを心配され・驚かれた。今日有ったことを伝えると激怒しながら情報を教えてくれた
元婚約者は一方的に婚約破棄して結ばれた彼女と別れたとのこと。理由は知らないがで親に呆れられて就職も親のコネが使えない状態に。
他の一族のものもは私と結婚したらと魅力的な条件を出されたので一応顔見せ・様子見をしていたはずだと言うことだが、分家の1つがなくなっても問題ないはずだ。家みたいな分家は年に数件出ているじゃないか
そう返すと
家みたいに代々女系で継承されてきた分家は珍しく先代・先々代と婿は外部なのは家だけらしく濃すぎる血を薄めるのに丁度良いと言う話だ。
両親ははとこ同士だが父方のはとこだっけ?
考えれば姉たちの嫁ぎ先は血が濃すぎて外部からという話が合ったが、そう考えると家は丁度いい薄め液だったんだなと理解したが納得しない
私は私。家とか関係ないでしょ?
例の件で私を蔑んだ人たちもいる一族とは関係を持たないと言っている
姉たちや両親は家族だから一応連絡は取り合っているものの死んだら終わりと思っているし理解している様子である
面倒なんだけど
そう返信すれば頑張ってとかえってくる
翌日朝一で昨日の事について質問されるので包み隠さず暴露する
彼がなんと言おうと私には負い目は無いから堂々と答えると分かった。と言われて解雇通告された
まあ。優秀な人材と年数だけの使えない人材だったら前者を取るのは分かりきっている。
「そうですか」通告を受け入れて帰り道にハローワークに訴えて新しい仕事を探す
30才の再就職はきついな〜と思いながらも事務系を探す
手取り13万くらいになれば生活は楽になるんだけどな。と解雇までの月日を新しい職探しと通常業務に費やす
私がいなくても困らないのが平凡スペックだな。と腹のなかで笑いながら
時々部署を伺う視線を感じるが無視。物品や連絡について聞かれたりするので申し送りノート的なものも作成しといたから良いかと退職する日も普通に仕事をして帰宅する。
新しい職場はやめる1週間前にギリギリ決まったのが幸いだ。伝達期間として1か月貰ったからギリギリなんとかなった
次も一族とは関係ない普通の会社だ。もう手を出してこないと良いなと思いながら新しい職場は一族のものもがいないと良いなとも思いながら新しい職場に向かう