思い違い
何でだ。
高卒から10年働いた職場を人間関係に限界を感じて退職。運良くすぐに新しい会社に再就職できて喜んでいたが、本当に何で?と聞きたくなる
再就職するに当たって実家や知人関係の職場は色々問題が起きるだろうと避けてきたのに。新しい職場は、ガッチリ実家関係の会社であった。詳しく言えば、実家や知人関係の下請け会社で経営者は私が知らない人間だが人事は知人のおじさまであり株主の大半は知人やその親族と言う会社であることが就職して1ヶ月たって気がついた
何となく知り合いに似た人や雰囲気がする。とは思いながらも仕事をしていたのだが・・・・
かといって貯蓄も余りないし、今から新しい職場を探してもいい条件のところは無いだろう。と思うと辞めるに辞めれない。何のために実家と距離を置いて生活しているんだと残念に思いながらも兄嫁がちょっかいを出してこなければいいかと諦めに近い感じで頑張ることにした
総合課の契約社員として書類うちや雑用が主な仕事内容である。最初は面倒なことに巻き込まれ無いか警戒していたが、そんなこともなく普通に仕事ができて安心していた矢先に食堂で女性社員に声をかけられた
「稲田さんとどういう関係?」と私が知っている稲田さんと彼女らが聞いている稲田さんとは同一人物であろうか?と思ったので確認しようと口を開こうとしたら
「喋んなくてもいいから」と制止の声をかけられた。声の方向を向けば稲田さん所の末っ子である。彼ができたら声をかけてきた女性社員がキャーキャーいっているところを見ると問いかけてきた稲田さんとは末の事のようだ
「久しぶりだな末。昔も今も変わらずって言う感じだな」ほほを緩ませてそういった後にキャーキャーいっている女子社員に厳しい視線を向けている
「姐になんのようだ?」と聞いている。まあ、姉と言うのは間違いないが、正式には家族のように親しい知人の娘だ。
「え。お姉さん?名字が違うから」そういっている女性社員に外向きの笑顔で
「近江姓は母方の方の名字なんだよ」そう言えば親が離婚したとかそういう風に解釈するだろう。まあ、血が繋がっているとは言っていないし、兄弟だと明確にいっている訳ではない。上手い対応の仕方だ
「話があるんだけど」そういうとキャーキャー言っていた女性たちも雰囲気を読んで離れていった。
「それ。今時期ずっとつけてくれているんだ」嬉しそうに髪ゴムについている飾りを見ていっている。稲田のおじさまにもらった髪ゴムで今時期限定でつけている。その年で飾りを変えているが、それらもすべて稲田のおじさまからのお祝いでもらったものを着けている
「そう。その時々によって違うのを着けているけどね」そういうとにやっと笑ってから
「末姐が出た原因のあの人。いなくなったよ。無論、あの人を追って一太郎さんも家を出っていったし。他の人たちも既に他家に入ったから家を継げる資格があるのは、末姐だけ」
「はあ?何でそんなことになっているの?兄さんの嫁として認められたじゃないの」あきれながら言うと
「市太郎さんの嫁としては認めたけれども。家の嫁としては認められなかったんだよね。あの人。それに、出ていっても守りをちゃんとつけてくれている末姐がいたから今の今まで空席でもやってこれたんだけど。そろそろ太郎が我慢できなくなってきたみたいだから。一度戻ってきて」
「太郎ちゃんか。太郎ちゃんとは遊びたいけど。それ以外の面倒ごとには巻き込まれたくないんだけど」顔をしかめると
「親父たちもそこら辺はちゃんとわかっていると思うよ。まずは太郎が満足してくれたらいいし」といっているので次の休みにでもお邪魔すると答えると
「じゃ。その旨親父が今日来るから言っておく」と席を立っていった
午後からの仕事も順調に行っている時に上司から
「お茶だしして」そうお願いされた。お客様にお茶だしするのも仕事の一部なので特に気にせずに指定された場所にお茶だししに行くと稲田のおじさまが企画部の方々と話をされていた
「お茶です」といって茶を出して退出しようとすると、稲田のおじさまが呼び止めてくる
「末ちゃん元気そうだね。富太郎に聞いたよ。次の休みに来てくれるんだってね。楽しみに待っているから」そう声をかけられた。このタイミングでいってくる必要性があるのだろうか?とは思ったが。
「ありがとうございます」そう言って退出した。企画課の人が甘い顔をした稲田のおじさまに驚いていたが、仕事には厳しい人だから仕方がない反応だろう。
宣言通りに休みの日に稲田一族が納める土地に降り立った。稲田さんは地主でありここら辺を治める豪族の末裔である。ここら辺の祭事は稲田さんの家系から出ている人が取り仕切っているので現在でも発言力が強い家柄である
「こんにちは」と大きな門についているインターホンを鳴らして声をかけると玄関から大人一人くらい大きい狐が出てくる。稲田の守り神である太郎君である
「太郎君。おひさ」そう門越しに声をかける私に門に寄りかかり立位でさあ触れと言うようにしている太郎君
「太郎さま。それだと末さんをお招きできませんから避けてください」あきれたように太郎君に声をかけて門を開けてくれて招き入れてくれるおじさま。
なかに入るとさあ撫でれと言わんばかりに擦り寄ってくる太郎君を撫でながら今でおばさまに挨拶をすると
「元気そうでよかったわ。家を後にするときに誰かつけようか。と思ったんですよ」と今更ながらに心配させていたことを実感してごめんなさいとありがとうを伝える
「毎年。夜宮に来てくださっていたのはわかっていましたが」と祭りにあそびに来ていたのはバレていたようだ。そのあと色々話をして帰宅するときに
「今年は夜宮だけではなく本宮も楽しんでくださいね」と言って見送られてしまった




