表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 桃花
62/413

図書雑用員

騒動を起こす兄と行動力が有りすぎる双子の妹たちの間に挟まれて影が薄かった私は、学生時代にバイトしていた図書館の推薦で神殿の図書館に就職した。

神殿の図書館はいろんな人に開かれた部分と禁書等がおかれた場所に別れる。私が所属しているのは禁書等がある方だ。技術とかそういうものを評価された訳ではなくただ単に図書館に存在する精霊と相性が良いからなのだが、そういう人間は少ないらしいので図書館関係者からは喉から手が出るほどほしい人材らしい。

図書の方だが神殿に所属しているので、神殿所有の集合住宅に住めるので大変助かるし休みもきちんとあるから少々賃金が少ないことを考慮しても条件が良いと言える。

職場に就業時間2時間前に入って昨日返却された本を自分の担当の場所を廻り回収するしチェックする。延滞している人が大体いるのでその人たちに返却を促す書類を出してもらうためにリストアップして上司の机へ。返却してきた本も上司の机の横においてある返却する本を置く場所においておく。私みたいな雑用は返却してきた本を回収して上司に提出。延滞している人間のリストアップと写本である。

奥の方に所属している雑用は法王が認めた重要書類を写本したり古くなった貸出ししている本を修理・写本する作業をしている。写本や修理をした本を図書館の精霊に確認して貰って許可されたものを上司に提出する仕事だ。 

「おはよ」と就業1時間前に出社した上司が返却された本を確認作業しながらのんびりお茶を飲んでいる。私も精霊から許可された写本や修理済みの本を上司に提出して今日の分を確認する

緊急性があるものの私の分はすべて終わっていたので、急いで無いがページ数が多いものを書類箱から出してカートへのせる。筆記用具と写本用の紙も共にのせて準備をする。隣の机を見ると書類が積み上げられて混沌としている。夜遅くまで残業するなら早朝に来て定時に来たくすれば良いのにと以前にアドバイスしたら私には私のやり方があるから口出すな的なことを言われたのでそれ以来口を出していないが、精霊は一般的に夜は動かないから夜の残務はどうなんだろうと思う。まあ、他人事だし。

上司が確認した本を戻してくるようにと指示されたので返却カートに本を押して図書館内へ足を踏み入れる。ついでに予約されている本を出していく作業も同時進行で行う。

そんなことをしていると図書館の会館時間になった。と言っても奥に来る人がいないので特に気にせずに返却カートを押して司書室へ戻る。

予約本を予約本専用のカートに置いて先ほど用意したセットをもって作業室へ引きこもろうとすると上司から緊急だから同僚が残している分をやってほしいと言われる

「別に良いですけど、彼女がなんと言うか」そういうと頭を抱えている上司だが

「期限が迫っているから」と混沌としている同僚の机から指定された本を渡してきた。同僚が書き終えている場所もあるだろうが少ないし書き手が違うと読みづらいと言われることもあるので最初からの作業だと少しため息をついてしまう

渡された本も一緒にカートに入れて作業場に引っ込む。引っ込む時に騒がしい抗議の声が聞こえてくるが、遅刻じゃねえの?と思う。

さて、仕事をするかと写本を始める。チマチマと誤字脱字が無いかチェックしながらの作業なので時間がかかるが、作業所の中では時間の流れが違う設定になっているので普通に作業しているより捗る。そして集中を切らさないようにと香を焚いているので余計に作業が捗るのだろう

チリチリと音がするので写本を止めると昼の時間だ。大体3割程度終えている。切りが良いところまで書いて精霊にチェックしてもらうために専用の箱に午前中の分を入れてから昼食のために退出する。

いたずらされないように施錠をしてから司書室に移動してお弁当を取りに行くと混沌とした机で作業をしている同僚。これで作業効率が上がるのか?と思うが人それぞれだからと昼休憩に入る許可を上司にとる

「ああ。いってきて良いぞ」そう言って許可を出した上司に頭を下げてから神殿の職員食堂に行く。弁当を食べる者や食事を注文するものがいるが、大体は弁当の人が多い

余り人がいないスペースでもさもさと外を見ながら食事をとっていると勝手に相席してくるのは神殿騎士をしている知り合いだ。

「久しぶり。痩せたんじゃない?」心配されてしまった。

「夏に負けた」そう呟く私に

「体力ないからな君は」とあきれているようだが、騎士と一般市民と体力を比べないでほしいところだ。

「本を持ち歩く筋力はあっても夏を乗りきる体力はないんだよ」とキリリとした表情でいってみたら笑われた

「で?どうなの最近は?」そう聞かれたので別にと答えると頭を抱えている。同僚が働かないと以前、愚痴ったことがあったのでその事についての指摘だろうが、仕事をしない同僚は変わりないしそれについてフォローすることを上司から許可されていないのでそのままにしている

「そろそろ南の回収箱が大変な事になっているのけれども大丈夫かとは思っているが、他の場所を担当しているから手が回らないし。期間が迫っている写本もあるからなー」と言うと

「どうにもならないか。同じコネなのに大変だな」呟きながら食事を食べている知り合い。彼女のお弁当は旦那さん製作で美味しそうなものばかりだ

「推薦であってコネではないのよ私は」そういうとそうだったけ?と聞き返された。

そういう風に少々楽しいご飯を食べた後に仕事に戻ってさらに作業を進める。午前中にチェックして貰っていたものも合格していたようで書類入れに入れてから写本を再開。ピヨっとなったので顔をあげると終業30分前だったので切りがよいところまで書いて作業をやめる

今日出来た分を上司に提出。物品を片付けて居れば終業時間となるので帰宅する。上司も快く帰宅を許可してくれたので恨みがましい視線を向けてくる同僚を気にせずさっさと来たくする事にした

数ヵ月後のある日。お昼休みに食堂に入ろうとしたら

「貴様が」と怒鳴られたがどちら様でしょうか?キョトンとしている私に言いたい放題言っているが

「そもそも遅刻する方が悪いですし仕事が捗らないのは自分のせいでしょ?アドバイスしても断られたので放置したのが悪いと言いますが、どうすればよかったのでしょうか?」と聞いてみた。最近、出社してこない同僚の関係者みたいなのでそう聞くと顔を赤くして腕を振り上げて来た。

あ。殴られる?と思って固まっていると知り合いの騎士たちが暴力を振るおうとした男性を捕縛してくれた

「大丈夫のようだ」との声で体にいれた力を緩めると笑われたが、暴力的な事に慣れてないのだから仕方がないだろうと言うとまあな。と言っている

「関係者以外立ち入り禁止区域で何をされているのでしょか?詳しくお話を聞いても?」と良いながら残り番の騎士たちが引きずっていった

「それにしても面倒な事になったな。お前知っているか?噂じゃ悪女だぞ」けらけら笑っている知り合い

「どの噂か知りませんが、遅刻が当たり前。仕事中に連絡ツール使ってサボるは期限が迫った書類を放置しているとか社会人としてどうなの?って話ですよ。どうにもならなくて私が引き継ぐとそれが気に入らないと上司に噛みつくとかよくわかんないです」私が言うとさらに笑っている

「そういう人間も居るってことさ」そう言ってご飯を食べた後に司書室まで送ってくれた男前の知り合い。

上司に先ほどの事を報告して作業室に再び籠り仕事をする


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ