無題
旧家というほど古くなく。名家と言うほど有名な家でもないが、一流家系といわれる一族の分家として生を受けて30年
私は現在困っている
何に困っているかと言うとにこにこと笑顔で目の前に座っている男性のせいだ。そろそろ結婚をと親に心配されて知り合いに見合いをセッティングされたのは、まあ良いとして。その見合いの席にいる男性が問題である。
名家中の名家で一流企業を運営している家系の次男であり。能力が高いと言われている人である。
そんな人間が一流と言われるがそれほど有名ではない家系のしかも、分家のなかでも平凡と称される私の見合いの席に居てはいけない人間だ
部屋間違ったのかしら?と確認しようとしたら
「間違ってないから座りなさい」と退路をたたれてしまった。あれか?ぐいぐいくる女性が面倒だから地味な女をってな感じか?でもそれなら能力が高くないと面倒な事にならないか?とちょっと間抜けな顔をしながら考えていると
「変わらないね」と言われた。接点なんて
「あるんだよ。高校3年間同じクラスだったんだけどな。忘れてと言うか認識していなかったの方かな」と言葉を遮られ言われてしまった。確か女子がキャアキャアいってたなと記憶があるが彼のことだったのかと同時に高校時代の騒動を思い出した。
転入生がおこした良家同士の婚約破棄ギリギリ騒動。友達の数人が破棄しようとしている側とされそう側の分家等の関係者だと言うことだ。騒がしいのも嫌いだし周りが落ち着かないのも嫌だったので暗躍したと言うかなんと言うか。自分と同じ分家同士の付き合いはきちんとしていたので、情報を何となく流してもらったりして破棄しようとしてた人間の目を覚まさせたり破棄されそうな人間にそれとなく一時的に距離をおかせ彼ら関係以外の人脈を形成してもらって破棄されてもされなくても平気だと言う状態に誘導した。最初は私のお願いからだったが、現状に納得行かない人間たちが多数いたので各々最大限の能力を使って転校生が作った騒動を潰した。発端であるが途中からは私の手を離れていたのでちょいちょい情報を流した程度だったが、ちょい情報が決定打になったと後々分家の友人や破棄騒動で暗躍した知り合いから聞いた話だ。そして、一番の被害者は生徒会長。彼は婚約者がいない良家次男なので狙うなら優良物件なはずなのに転校生は狙わなかったと言うか狙おうとした瞬間に警戒され避けられていたので断念したようだ
暗躍中に大変そうな生徒会長のもとへ必要な人材を派遣のお願いしたり処理がしっかりできるように場を提供したことがある。確か手が本当に足りないときに私も雑用で手伝ったことがある・・・
あれ?
「やっと気がついたか」呆れながら茶を飲んでいる姿が生徒会長と重なった。つうことは・・・・
「生徒会長?え。なんで?」混乱しながらも声を出すと
「そう呼ばれるのも久しぶりで良いが、婚約者なのだから名前で読んでほしい。お前の家に婿に入るのだから名字は不可だ」にやにやしながら重要な事を言いやがった。婚約者って何よ。と言うか婿とか大丈夫なの!?
「高校卒業した時点でそちらの一族には婚約の打診はしていたのだが、うちの家格と釣り合わないのと君の両親が渋たから様子見になった。30近くで君と私がどちらも独り身だったらという話で落ち着いたんだ」そう言って一口お茶を飲みながら言葉を切った。
「君は高卒してすぐに仕事をはじめて色々あって男に目を向ける暇がなかったようだし。俺は俺でお前を思っていたから女には関心がなかったしな。ここ5年は仕事が面白くてそれどころでもなかったから」いい笑顔で話してくれる
「長く思ってくれていたのはありがたいけれども君の家的に大丈夫なの?」優秀な人材が沢山いるというか暗躍で活躍したのが大人たちの目に留まりその道のプロになったと聞いたことがある。彼の家だけではなく他の家でも同じような対応である。私は発端だったけれどもそんなに活躍しなかったからそこまで重要視されなかった。時々、一族のパーティーをセッティングするのに駆り出されるくらいである。
「由衣も知っている通り優秀な人材もいるし各家々との連携も問題ない。それに条件も揃ったから特に。婿に入るために色々下準備していたからな」とすでに外堀を埋められていると匂わせている。そういえば、よく他家の人間が身内のパーティーに参加していると一族のどこかに婿に入るから準備していると言う話を数年前から聞いていたのだが、彼のことだとは・・・
そこまでされたら断ることが現時点でできないじゃないと言うか、そこまで執着される理由がない。ちょっとした縁で一時過ごした中で話しもそれほどしたことがない
「なんでそこまで?」聞いて見ると
「由衣的には一瞬すれ違った相手と言う認識だと言うのはわかっているが、あの時にお前が提供してくれた場所と人材には感謝している。いつも提供してくれている場にはお前が過ごしていただろ?こちらの邪魔にならない場所に陣取ってのんびり勉強したり読書をしたり。その雰囲気に癒されていたのは確かだ。それが心引かれるきっかけで、お前が嬉しそうに姉妹に抱きついたり従兄弟に誉められているところを見て欲しくなったと言うのが本当のところだ。意識し始めたら常に目でおっていた」そういわれても
「困った顔をしなくてもいい。今はゆっくりおれと言う人間を知って欲しい」そう言ってお見合いと言うか顔合わせの後に抱き締められた。いきなり抱き締められて驚いたが嫌な感じはしない。
それから休みが合えばお出掛けしたり仕事帰りにデート?したりしながら色んな話をへて同棲することになった。家を継ぐといっても実家は県外なので通勤するにはちょっとと言うこで通勤しやすい場所にアパートを借りて生活している私。なにかあれば実家に戻りそこから通勤しているので問題ない。父が完全に引退したら実家に戻らねばならないが、直ぐと言う話ではない。同棲するときに大丈夫かと聞かれたときにそう言って説明しておいた
「で?いつ席を入れる?」そう私を抱き締めながら聞いてくる。居間でのんびりテレビを見ていた時に聞いてきた。正式に婚約者として両家に挨拶して半年たちそろそろ交際して一年たつ。本家にも伝達済みなのでどちらの家もそろそろといった雰囲気が流れている
「うーん。そろそろと言う雰囲気があるのは確か。そうなると忙しくなるから大祭が終わってから準備しないといけないんだよね」そう言うと
「大祭って来週のだよな」うちの家系は神道系である大元は。本家は普通に一流企業を経営しているので海外とも取引しているが、時期のお祭りはしている。一族内から適任者を出して執り行っているので本家に負担がないようになっている。神社も持っているのでそれを管理するために神官や巫女も排出している。今年は婚約者がいるから巫女として選出されなかったが、今年は指導と言うか相談役をしているので地味に忙しい
「そ。婚約の儀をしたように。婚姻の儀をした後に籍を入れないとダメなんだよね。式とか披露宴とかは別に」あー面倒だといいながら抱き締められていると
「それってどのくらいの準備が必要?」
「大祭が終わって直ぐにって感じで話を持っていったら結構直ぐだね。1週間くらいで出来るよ。ほら、大祭に参加するために色々しているでしょ。なにも準備していない状況だと2ヶ月くらいかかるのよね。みんな考える事は一緒だから集団でだと思うけど」といいながら同じように婚約している人間たちも一緒だと教えながら神官をしている人にメールを送る。そろそろ籍を入れるって話が出てるんですけどと
「集団・・・・あのときと一緒なのか」と渋い顔をしている。まあ、婚約の儀でちょっと分家に喧嘩を売られていたからそういう顔になるのはわかるが
「集団なのは同じだけどあいつは参加しないよ。婚約の儀で喧嘩を売るような人間と誰が婚姻結ぶ?あのあと直ぐに破棄されていたよ。あきれていたけどね両家の人間が」笑いながら言うとギュット抱き締めてきてなら良いと同意してくれる。ちなみに神官からの返信は彼の方
に日時と注意事項をつらつらと書かれた長文が。私よりは彼の方が説明しないといけないのはわかるが、最近返信が彼にいくのは納得いかない。不貞腐れていると笑いながらごまかしている。まあ、一族的に妻に旦那以外の人間が話しかけるのはよくないとされているから理解出来るのだが、納得できないのですよ
大祭も特に問題なく終わり婚姻の儀を集団で終えてホット一息つく。用意された部屋でのんびりしていると衣装のままで旦那となった彼が入ってきた。
「綺麗だ」と良いながら抱き締めながらホットしているのがわかる。婚姻の儀が終わるまで緊張しどうしだった様だし、婚姻の儀後にある男性だけの特別講座があったので、やっと安心したのだろう。特別講座といってもこの部屋についての説明と婚姻の儀が終わった1週間についての説明があったのだろう
簡単に言ったら子作り期間である。1週間何者にも邪魔されずイチャイチャしても良い期間。仕事もと言うが仕事を回される事は余りないのでそんな心配がない。彼も婚約の儀を終えて今までいた職場をうちの一族経営する所に移動している。私はもとより一族経営の会社に実力で就職しているので問題ない。
うちの会社では結婚すると1週間の特別休暇をもらえるし子供を預けれる場が充実しているので子育て世代には人気な会社である
イチャイチャ期間が過ごしている間に一族の手で既に紙は出されているし会社の方の手続きも終わっている。そのまま会社に行けばおめでとうと言う言葉が降ってくる
「でも、名前は変わらないんですね」と言われた。
「ええ。婿取りしましたので」にっこりと笑っておく。職場では私が本当に結婚するのか。偽造なんじゃねと言う噂が出ている。まあ、旦那が仕事が出来る人間だから狙っている人間もいたのだろう(関係会社なので、交流がある)私の対応を見て青筋をたてていた上司がホットしている。そこまで子供じゃないし、アホな事をいっている仕事をしない人間に関わるよりもたまっているだろう仕事を消化した方が有益である
新婚で仕事をしながら過ごすこと5ヶ月。もとより不純だから気がつかなかったが、子供を身ごもっている事が判明した。夫よりも両家の両親が一番喜んでいるのが驚いたがなんにせよ子供ができて喜ばれるのは嬉しい




