披露宴
仕事帰りに携帯の電源を復活させる。病院関係の仕事をしているので勤務中は携帯の電源を切ることにしているのだ。
姉からの通信アプリを見ながら甥っ子たちの成長をほほを緩めて楽しむ
その次にメールチェックをする。
大体はチラシメールなので纏めて消去作業をしていると珍しく親戚からのメールが入っていた
受信時間を見ると早朝。
出勤時間前にメールを送らないと繋がらない事をよく把握している人間の行動だ。ちなみに昼休みにも携帯は起動するが母親や兄弟以外のメールについては就業時間後に返信しているので私によくメールをくれる友人たちも至急の用事がある場合は早朝に連絡してくれる
内容を見ると本家の跡取り息子の婚約者を披露するから参加しろと言う内容である。
母親から私の休みを聞いたらしく私が参加できる日付に設定したのだから必ず来るようにと書いてあった
ちょっと離れた場所にある本家に向かうのであれば今日はどこかに宿泊しないといけないと思いつつメールを読んでいると宿泊場所については、親戚が確保してくれたのでホテルにいけばいいだけの手はずを整えていると書いてあった
ホテルの場所をメールに添付してくれていたので場所を確認して仮眠するために家に帰る
だって夜勤明けだから眠いんだもん。24時間戦った人間に2時間ばかりの仮眠も許さないとかそんな非人道的な今年ないよね。チェックインだって15時からみたいだしと家路につく
仮眠の後、本家に向かうために電車にのって移動する。
追加のメールがあって持ってくるのが財布と着替えだけでいいとあったのでその通りにする。
旅行するなら自分用のお風呂セット(シャンプー・リンス。ボディーソープに保湿剤の事を我が家ではそういう)を持っていくのだが、親戚いわく私も開発を手伝ったお風呂セットをホテルに常備している系列会社のホテルだから要らないからとのことなので信用することにした
ホテルなどのお風呂セットっていたずらされやすいんだけど大丈夫?と今さら返信すると
前に教えてもらっていたから大丈夫。今回宿泊するホテルでは毎日チェックしているし、今日は部下に任せないで直接私がチェックしたからと返信が来たから問題ないはずである。
そういえば何年か前の新年会でこんなことをいっていた先輩がいたとホテルのボトルに入っているシャンプーに異物を混入したと言う話をしたことがあった
それを聞いた一族内でホテルを経営している人たちが宿泊客に合わせてシャンプーのボトルのサイズと中身を変えるようにしたらしいと小耳に挟んだことがある。
現在もそれを継続しているんだと思いながらも携帯を閉じて目的地までのんびり過ごす
今夜の宿泊場所の近くで電車を降りてホテルに向かう
一族が経営しているホテルのなので一流ホテルなのだが、新しくできたホテルのようで内装もシックで落ち着いている。内装は和風なんだとメールで言っていた通りちょっとした廊下の飾りが古い旅館のような雰囲気で可愛らしいと感じた
フロンとで予約しているはずなんですがと名前をいった所。予約が入っていないと言われた。あれ?とメールを確認してホテル名と住所をフロンとに確認して貰ったがあっていると言われた
予約してくれた人間が町がっかたのかな?と思って再度確認してきますとフロンと近くのソファーに座り親戚に連絡をとる
それを見ているフロンとの人間が一流ホテルにふさわしくない人間がと軽んじている視線を感じたのでこの人ダメだな。明日のお披露目会で親戚に釘を刺さなければいけないと脳内メモに書き込みしておく
一族の末端だからホテルや他の商業施設等の運営を本家から任されている親戚たちとは階級が違うのは当たり前。
階級が違う人間が利用しに来ても心地よい環境を提供できれば合格としている。泊まらなくてもラウンジや宴会や会議で使用する時に好印象だと声をかけてもらいやすいからだ。
いいサービスを提供できればリピーターや口コミでちょっとした贅沢旅行をしてくれる中流階級の人間もゲット出来るのでは?と小さな時にぼろっと言ってしまったことがある
それ以来、末端の家に接遇チェックの以来が入るようになったのは
その時も本家に召還されて一流ホテルに泊めさせられて散々な接遇をされ切れたんだっけ?と思い出しながら珍しく電話を掛けた
「どうした!!」焦っているように聞こえる親戚の声。
「どうもしないけど、指定されたホテルについて宿泊確認したら予約されていないって言われたんだけど?」伝達するとホットしたような声の後にはあ?と困惑したような声が聞こえた
久しぶり過ぎる電話に緊急事態かと焦ったらしい。ホテルについたことで安堵したようだが、予約していないと言われて困惑したようだ
「今いくから待っていろ」と言われてフロンや周りのお客さんから怪訝な視線を受けながら待つこと数十分
エレベーターから優雅な足取りで出てきた親戚。エレベーターホールから私を発見したようで嬉しそうに歩調を早めてソファーに来た
「久しぶり。大丈夫か?夜勤明けだろう」と以前の職場で夜勤を頑張り過ぎて胸が苦しくなった事をいっているのだろう。
「仮眠したから大丈夫。すこし眠いけど」とぼんやりしながら答えるとそうか。とホットしている
他の人より体力が無い方の人間だから病院関係の仕事につくといった時は心配されたようだ。現在も体重が47キロ前後なのでそれについても心配されているようだ。
親戚を見てフロンとの責任者が出てきた。社長が来てビックリ見たいな感じなのだろう。
「予約がされていないと言われんだよな?」質問されてうなずく。親戚の後ろにはフロンとの人間が青い顔をしてたたずんでいる
「フロンとには、一族の女性が一人で止まりに来るからよろしくと伝えておいたのだが」
「私みたいな人間が一流ホテルを運営する一族の人間だと思わなかったのでは?末端だからここの客層と違うし」のほほんと答えると
そうか。と言って携帯を取り出して誰かに連絡を取っている
「啓太か?俺なんだが、お前のところで沙耶お願いできるか?うちのホテルだと接遇的にダメみたいんだよ」と同じホテルを経営を任されている一族の人間に連絡している
「大丈夫。ほんとか?よかった。送っていくつもりだが。ああ、迎えに来る?わかった。なら喫茶店で待っているからよろしくな」と今日のホテルの変更が決まったようだ
「大変だね。毎回」といいながら案内された喫茶店でお茶を飲みながら御迎えを待っていると
「一族全員が集まることなどそれほど多く無いから大丈夫だ。と言うか、接遇を再度教育し直さなくては」ため息をつきながらそういっている
「頑張れ」励ましながら渡された書類に目を通す
末端の人間なのだが、目を通さないといけない書類がある。と言うか、一族内で安価(とわ言っても最低5万からとかなんだが)の融資を数口参加しているからなんだが
大体はのんびりできる環境を整えたホテルとか肌に優しい化粧品とか石鹸関係なんだが。
ざっと目を通した書類から顔をあげてからコーヒーを飲む
「結構いい感じなんだね。優待とかあるみたいだね」経営が安定しているようで安心していると
「まあな。大体、遊び半分でやっているやつだからこだわりはがあるからな。それに共感した利用客のリピーターが多いみたいだぞ」と教えてくれる
そんな話をしていると嫁さんと一緒に迎えに来た啓太が声をかけてきた
「お疲れ。そしてありがとう」と荷物をもって立ち上がる
「その格好でその荷物だったら軽んじられるのは仕方がない」と私の格好を見ていっている
夏用のパーカーと短パン姿で荷物がバックひとつ。
「バックパッカーじゃないんだから。その格好どうにかしろよ。集まりの衣装は用意しているけど、私服にも気を使ってほしい」と残念な子供を見るようにいっている
「いいじゃん。特に何をするわけでもないし」といいながら違うホテルに宿泊することになった
ホテルにつけば衣装会わせとエステをさせられて体力をごっそり消費させられた。衣装あわせではあり得ないと言われつつ用意されたドレスで採寸が合うものをチョイス。
お疲れですよね。とエステで磨きあげられてしまった。確か、婚約者披露宴だから脇役の私はそれほど磨きあげられなくてもと思いつつ夕飯を食べて寝に落ちる
出された食事を口にいれて吐き気を模様したがそれを気合いでねじ伏せて飲み込み水を飲む
披露宴での食事会で出されるものは出席者の好みに合わせて出されている筈なのだが、私の皿には食べれない。正確に言えば食べたら嘔吐してしまう食材が使われたものが乗っている
確か挨拶で食事に関しては婚約者が采配したと言っていたよな。これは、私に対する挑戦状か?と思いつつ目の前の食事を見つめる
私の箸が止まっているのを不思議に思った隣の親族が声をかけてきたので正直に話して見る
「はあ?」といった顔をしてから私の皿を下げるように支給に声をかけて料理の説明をしてもらっている
説明のなかに私が食べれない食材が入っている事を確認した親戚が皿を下げるようにと違う皿を持ってくるように指示しているのを周りの親族が聞き耳をたてている
「変わりはいいです。私退出してコンビニにでもいってきます」とバックを持って立ち上がる
にっこり笑って、これ以上参加するつもりはないと言う副音声をつけて退出する私を離れた席の親族も気がついて視線を寄越す
披露宴を退出すると言うことは、その婚約者を受け入れるつもりはないといっていることになっている
多くいる一族の一人一人の趣味趣向を覚えろと言わないが、資料があるのだからそれを見ながら指示すればいいだけなのだが。しかも、食べれないものがある人など少ないのだけれども・・・・と以前食事会を任された時の資料を思い出す。薬関係で食べれないものもある人もいるし、減塩の人もいた。少ない人数で席も固定されてい。特別食の人にはコースターか箸置きを違和感がない程度に変えて目印にした記憶があるが、テーブルにはそんな感じはなかったのでなにも対策をしていなかったのだろう。
出ていく私を雛壇の人間が怪訝な顔をしてみている。
他の親族たちもざわざわと噂を始めている。今の婚約者は子供の頃からの婚約者を一方的に破棄した原因である
愛だ恋だと騒動を起こしたのを彼方側が呆れて破棄を認めてくれた
まあ、その騒動を終息させるのに大変だし、もと婚約者は私の友人だ
今でも親しくさせてもらっているし直ぐ上の兄嫁としてうちに嫁いできてくれたいい人だ
次代はダメだな。
どれだけ本人が優秀でも妻君があれだったらと思われても仕方がないし、先の婚約をわがままで破棄したのだから次は無いと言われているはずだ
そういわれているのだろう。簡単に想像できる。
食事を済ませた後に着替えて帰宅の準備を済ませてロビーに出ると入り口から焦ったように入ってくる人間。
婚約者本人ではないので付き人なのだろう。私を見つけて近寄ってくるも。来るなと言う意味を込めて微笑むと足が止まるのを確認しながら目の前を通りすぎる




