溺愛?
「何で私だけ」と義父の腕の中に抱きしめられている姉が暴れている。私はそれを先ほど紹介された義父の後継者で婚約者の腕のなかで呆然として見ている
義父の家系では妻が連れてきた子供は夫たる者の支配下に置かれる。言い方が悪いが所有物な感じらしい
親の再婚で環境になれるのに時間がかかり自分のなかに引きこもっていた私は義父のなかでは庇護が必要な人間と認識されているらしく高卒と同時に就職していたが、この度呼び出されて婚約者を紹介された。
実際は義父が引退するので跡継ぎたる人に私の身柄保護を継承させた感じである。姉は跡継ぎたる人に取り入ろうとして失敗し尚且つ義父が姉の身柄は継承しないで自分の所有物として置く決定をした。その発言を聞いて暴れだした姉を腕のなかに拘束している状況が冒頭である
「ビックリしたのか?」優しく話しかけられて上を見上げると先ほど紹介された婚約者が心配そうにしている
義父も姉を拘束しつつ
「大声は苦手だからな。少し落ち着けるように椅子に座らせてあげなさい」とアドバイスしている。それに従い私を少し離れた場所にある椅子に誘導。自分の膝の上に座らせる
姉をお付きの人間に渡してから義父も同じ席に座り継承するものを詳しく伝達を始める両名。何故か私を離さないで話し合いに同席させられているが私がいる必要性とは?と思ってしまう
後継者たる人とは度々父に言いつけられて参加した催しもので顔見知りであるし抱きつかれた野にはビックリしたが、強い拒否感はない程度には慣れている人である。いきなり知らない人にとなれば拒否感は半端ない私に慣れさせるためにいつから計画していたのか?と思ってしまう
一時期沢山の人に会わせられたが、一人へり二人へりといった感じで最後に残ったのが彼だ。それからちょっとずつ交流をと始めた記憶があるので、かれこれ10年前からの下準備期間だったのかと思うとげんなりする。かなり年の離れた弟が現在10才であることから鑑みてこの計画は弟が生まれた時点で既に計画されていたのか?と思ったりなんかしていると話が終わったようで
義父が私を撫でながら
「後継者選抜はそうだが、君を渡すことを決定したのは5年前位だ。君の姉が媚を売り始めたのに疲れた彼がなにもしないで自由に過ごしている君が欲しいと言ってきたからな。出来れば私は手放したくないのだが、まあ餞になればと渡したんだ。それにいきなり移行しないから徐々に二人で過ごすことになれなさい」義父が言う
それから今まで家族だけだった家に婚約者が住み私の世話を両親からレクチャーされながら仕事を引き継いでいっているみたいだ。今の仕事も1年後には契約を変えて更新するように指示が出た。と言うか、本社が父が経営に口を出している会社なので変更されることが決定されているのだが
一年後両親の家から新しい家に引っ越して彼とだけの生活になったが、場所が変化しただけで私を過保護に接する人は義父から婚約者に変わっただけ
場所に慣れるための散策も買い物も常に付き添ってデートをしてくれる婚約者には感謝している
それから時が流れ彼との間に男1女2の子供を成したのだが第1子が16才になった年に旦那様は新しい愛する人が出来たようで最近では顔を合わすこともなくなった。旦那様の所有物である私は自ら離れることは出来ないが子供たちは別なのであれだったら義父に相談して身の振り方を考えてね。とは言い渡して夫婦の寝室から私の為に用意された部屋に移動する。今までは夫婦の寝室以外で寝ることは許可されなかったが、現状なら何も言われないだろうと少し寂しくなった
今まで煩わしい時も合ったが無くなってから初めて感じる大切さに気づく滑稽な自分に笑いが漏れた
寂しい独り寝にも慣れた頃に娘が訪ねてきた。何かあったのか?と思いつつ部屋に招き入れれば娘以外にもう一人入ってきた。可愛らしい感じの女性で旦那様の好みだろうと思える女性である。さて、何の用だろう?と思いながらお茶をいれてあげたが終始私の部屋をじろじろ見ているのは頂けない
私がお茶を一口飲んだあとに用件を訪ねる前に娘から「お父さんとはどうなの?」と聞かれたので、何もないことを教える。私の言葉を聞いて微妙な顔をしている娘にどうしたの?と訪ねる
「何でもないならいいんだけど。私はこの人を義母さんとは呼びたくないのよ」心底嫌そうな顔をしている娘に
「そう言われてもね。私は旦那様の所有物だから所有者の決定に従わないといけないのはわかるわよね」確認を娘に取るとわかっていると頷く。もう独りは驚いた顔をしているが無視して話を続ける
「旦那様が私を要らないと判断して誰かに渡しそこの人を妻として迎えるのには拒否は出来ないけど、貴女方子供は一個人として権利が有るから旦那様と縁を切るなり私を貰い受けるなりする事が出来るのよ。だから、この人を義母さんと呼びたくなかったら距離を置くなり出来るでしょ?」そう言えば何かを納得したらしく
「わかった」と連れも一緒に退室していく。退室する際に何やら言いたそうな顔をしていた娘の連れだったが、もうすぐ何かアクションを起こすのだろう
いつも通りにバイトに行き帰宅すると玄関に旦那様の靴が合った。珍しく帰ってきたのだろう
話があれば声が掛かるだろうと部屋に戻りコートを脱いでホット一息を付いているとドアがノックされた
ドアを開けると不満そうな顔をした旦那様が立っていて来いと言い居間に連行される。
居間には子供たちと旦那様の恋人?で以前娘に連れられてきた女性がいた。旦那様の後について入っていった私に全員が視線を向けてくる
「何の集まり?」そう問いながらイリグチ近くに立ち止まる私に手を掴み自分の膝の上に座らせる旦那様の行動にビックリしていると苦しくないが離さないと言った風に抱き締めてくる
「父さん」と長子に咎められる旦那様が話始める
「今回、皆がこれを廃してあれを向かいいれると思っているようだが私はそのつもりはないと声高らかに言わせてもらう。そもそもこれより良い女が居る筈がないだろ」と呆れながらに話ながら抱き締める力は変わらずに居る
「だったらなぜ?」と子供たちが聞いてくるのに答えて説明してくれた事はなんと言うか残念な感じであった
「どんな理由かと思ったらなんだよ」と長男が疲れたような風に椅子に背を預ける。他の子も同様に疲れた感じを滲ませている
一人だけいきり立っているのは恋人?だと思われた勘違いさん
「な。私は迫ってなんか。奥さんの噂を聞いて大変そうだと思って」
「言い寄ってきたみたいだ。良い暮らしが出来るとか思ったんだろ?しかしながら、妻を構うのが私の楽しみだし。妻を囲うのは私の趣味だから他人にとやかく言われる理由はない」私にキスをしながら答える旦那様になぜ放置?と聞いてみたら
「放置などしていないぞ。こいつのせいでお前を構えなくイライラしていたんだ。毎年今時期は参加させたくない催し事とが多いだろ。面倒だからなそいつを連れていって適当な奴に押し付けていたんだがな。寝静まっているお前しか見れなくて触れなくて我慢の限界だった」と目の奥が欲望に揺らめいている旦那様をみてヤバイなと嫌な汗が出た
「と言うわけで、こいつは俺のものじゃないから好きにして良い」と言うと一族人が入ってきて抵抗する女性を連行していく
「妻帯者に刷りよってくる女が一番が嫌いだ。さて、理解できたな。今から父さんたちは忙しいから邪魔するな」子供たちに言いつけて夫婦の寝室に連行され愛されていることを体で理解させられたが、大切が戻ってきたから少し大変だったが我慢する事とした




