マスター
マスター視点
なんかねちっこい
マスター。
幼いときに魔力で死にかけて契約した召喚獣が呼んだように感じて振り向くが居ない。
そのはずだ。家のアレ専用に作った篭に寝かせて来たのだから。
「どうしたの?」行きなり周りを見回している私に声を掛けてきた栗色の可愛い彼女に聞かれた
アレは何故か彼女だけにはなつかず嫌がったので置いてきたのだ。なにか有ったのか?と絆を繋いで様子を見ようとしたら絆が切れていた。
あり得ない事ではないが、それは契約を破棄した場合に限られる。アレとはアレか私が死なない限り切れない絆を契約した筈なのに
「すまんがアレとの契約が切られている。あり得ない事だから探してくる」立ち上がる私に彼女が
「アレ。アレって誠也くんはいつも契約獣ばかりだよ。今日は私と一緒に居てくれる筈なのに。あんな契約獣なんか気にしないで私と契約しようよ。あんな出来損ないより役に立つよ♪」
「アレを出来損ないと言うな。死にかけけている私に手を差し伸べたのはアレだけだ。それに質が伴っていない魔力など貰っても意味がない」
少しの魅力を感じたからお試しをしてみたがやはり駄目だったか。と思いつつアレが寝ているはずの篭を見に帰ると空の籠しかなく移動の術が施行された気配が有ったがどこまで行ったかわらない。
普通なら追跡できる術なのだがアレか使うと何故か追跡不可能の高位移動術になる。
皆に出来損ないと言われるが実際高位の術を無意識に使う契約獣だ。
しかも、使いなれるとノーモーションでやってしまうくらい有能なのだ。人の形態に成れてそのまま何年も過ごすことも可能な有能なのだが、知らない人間が多い。
魔力を吸収する率が高いのもそのせいだ。魔力が多すぎて暴走癖が治らない私に傷つかないで側に居てくれるアレは癒しだ。
高い魔力を注ぎ込みながら撫でていても気持ち良さそうに目を細めるアレの存在が大切だった
アレが余分な魔力を吸収してくれるから制御が出来ているから他の召喚獣から声が掛かるようになったが、アレ以上の召喚獣なんか居ないだろう。
いつもいるはずの場所に居ないアレ。焦りが制御が緩くなりそうのを律しながらアレを探した。
棲んでみたいと言っていた迷路だと言われている図書館にも日溜まりが気持ちいと微睡んでいた窓際にも懐かしいと呟いた草原にも居ない。
「どこいった」焦りながら呟く私に制御の指導をしてくれている教師が青い顔をしながら
「制御が切れている」と声を掛けてきた。そんなはずがない。制御は出来ていると体に纏う魔力を改めて感じてみるとアレが吸収しているはずの魔力が吸収去れていない事実に愕然する。
アレが死んだ?
何でだ?
昨日まで元気に。いや、お試しが嫌なのか少し寂しそうに丸まっていたが、死にそうな感じではなかったのに
ふと。最後はと言っていた1度しか行ったことがない海が見下ろせる場所を思いだし転送した
それに驚いている指導員など気にしないで
海が見下ろせる高台にある大樹の根本には召喚獣が死んだあとに残す玉が残っていた。
拾うとアレの気配が微かにした。
あぁ。アレは死んだのか。玉を握りしめながら涙が出てきた。
アレが死んだら私はどうすれば良いのだ。魔力にしても家族と言えるのはアレだけなのだから。呆然としながらその場に座り込んでしまった。
いつの間にか月が昇っていた。
月か。
そう言えばアレが月の魔力と契約者の魔力を注ぎ込めば死んだ召喚獣が生き返ると言う伝説を読んでいたな。
どんな気持ちなんだろう。そう呟いていたな。
握りしめていた玉になったアレに自分の魔力を注ぎ込みながら月光を浴びせる。毎日持っていられるようにネックレスに工夫して首に下げて毎日月光を浴びせる。
行きなりそんな行動をする私を馬鹿にする人間も離れていく人間もいたが、前に戻るだけだと思うと寂しくもない
何かあれば首に下げているアレの玉に話しかけたりキスしたりして過ごす。
一向に元のアレに戻ることは無いが、アレの玉が消えてなくなりない限り続けていけば伝説の様にアレが戻ってくるかも知れないしな。