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  作者: 桃花
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破棄後

「あんたの言い分はわかった」大勢の前で婚約を破棄するむねを伝えられた。婚約者が最近熱をあげている少女に。私が望んだ婚約じゃなく婚約者側がどうしても。そう望んで半ば強制的に結んだものなので破棄したければすれば良いと思う

「しかしながら自分の事なのに自分の口で言わずに女に言わせるなんて情けない。そもそも今回の婚約だってあんた側の不手際で結ばなくてはいけなくなった事なのにねぇ」にっこり笑ってそう言うと視線を落としている

「まあ、本家の血が薄くなりすぎて一族特有の能力者が生まれなくても私は特に問題ないし。今代で初代に血が近いのは我が家だからね。私が他家の血を迎え入れても問題ないからあんたに固執する必要性はない。私が家を継がないといけないからどこかの骨のある次男位をもらい受ければ良い話だし」

話も終わったしと場を離れようとする私の後ろでは話が違うと騒いでいる人がいる。能力と言っても特段便利ではないがあったらラッキーみたいなものだ。私のはどこにいても歴代当主が集めた書物を出し入れできるのと貸し出しの許可を出せるものである。ぶっちゃけ暇潰しの本に困らないだけだ

中3の春にそう言ってもらって良かったわ。これで実家に帰れるとニヤニヤしている私を廻りは引きなが静観してくれている。出来たクラスメイト良かったわ

それから約1年後の春に卒業を迎える。もと婚約者の元で生活していたが、破棄を申しつかった後からは同じ分家の人の家でお世話になっている

春からは実家の方の学校に通うことになるため荷物を送ったりと片付けをしながら過ごしていた。あのあと元婚約者側から謝罪を受けたが受け取らず婚約破棄を覆せないものとしたので、今まで出ていたパーティーなどの煩わしいものにでなくてよくなったが、無理やり婚約破棄を覆そうとした人間が強行手段をとろうとしたので護身術を習うようになったしいつもスカートの中に特殊警棒がスタンバっている状態になったのは良いことなのか?

それも今日までと卒業式を終えて駐車場で待っている母と姉たちの元へと急いでいると横から

「逃げて小夜子さん」と声がした。小夜子って確か橘の末姫で後継者か死んだとき用のスペアだったよな?そんな重要人を名指しで逃げてとかあり得ないし。あの人既に帰ってますけど。と思いながら歩いていると見知らぬ人に囲まれた。その人たちの更に後方では何処かの娘さんが車に押し込まれそうになっている。

あら誘拐。そして巻き込まれですかありがとうございますとポケットの中から出したのは今代当主が集めた防犯具の一つである辛子スプレー。何かあっては困ると持たされた物を取り囲んでいる人たちに噴射。怯んだ隙に逃げるためと助けを呼ぶために走る。

取り囲まれた瞬間に携帯で警備を呼んでいたのですぐに来るだろうし。そもそも私は巻き込まれだから助ける義務はなし。さくっと逃げようとした私に手を伸ばしてきた防犯スプレーの餌食にならなかった人には再度辛子スプレーをお見舞いした。

痛いのかうずくまっている人たちを見ながらやれやれと一息ついている私。後ろから警備の声。校舎敷地内でも外部関係者が出入りしやすくなっている駐車場スペースの近くだから来るのが遅いのは致し方がないのだろう。

ふと目線を転じると拐かされそうになっていた女子の近くに車はなくすぐ目の前に迫っていたので体が反応して横に飛び退け間一髪で無傷。車止めにぶつかり大破した車から犯人が警備に助け出されている。

他の犯人も辛子スプレーで唸っているところを警備に捕獲?されているため私は用がないだろうとその場を警備に任せて家族の元に

待ち合わせしていた母にぎゅっとしてからすぐ上の姉にもぎゅっとして他の姉にただいま〜と挨拶

一緒に待っていた分家の人がぎょっとしているが知りません。その人にさっきあった事を教えると周りがビックリしている。

怪我ないの?と聞かれたので、受け身取ったから肩を摩った!と言ったら脱力感しているし。分家は橘の姫を…と言ってあわてて色々と電話をかけている。情報を提供して何かあったら教えてもらう協力体制は大切ですよね♪私にはもう関係ないし。

さて、帰ろ♪帰ろ♪とレンタカーに乗り込み飛行場に。登場手続きをしたあと飛行場のお土産店を物色して遊ぶ。きゃっきゃっと遊んでいる私を見て目が点になっている分家の人。まあ、婚約者として毅然に対応しなくてはダメな所があるから何事にも動じない人みたいに装っていたし。破棄したあとも足元を掬われないように注意しなくてはいけなかったしね。前回で遊んだことなんてないし、友達もねぇ。利害一致しないと近寄らない感じだったしね

高校にないったら遊ぶんだ!と心に決めている

実家に戻って半年。夏休みをだらだら過ごしている。バイトをしたくても親が許可してくれないしかといって幼馴染みたちと遊ぶ気になれない。友達は出来たが付かず離れずな感じで親友っう感じではないのかな?たまに学校で遊ぶくらいで休みに遊びにいかないから

だらだら勉強を終えたあとに物干しスペースで外を見ているとワン太が騒ぎ出す客が来たのかしら?と物干しスペースから玄関から伸びる坂道を見上げると坂道入り口に橘の末姫と友達であろう人の姿が見える。何のようだ?と玄関に向けて歩いてくるを視界にいれて考えるがわからない。

用がないなら来ないだろうからな〜と思いつつ物干しスペースからスリッパを履いて噛みつかんばかりに吠えているワン太に一声掛けて止めさせる。ありがとうと大丈夫を込めて撫でると吠えなくなったワン太。

ゆっくり玄関まで来たので何の用ですか?そう問うと話があると言われてしまうため家に招き入れる。私的には暑い日差しに人をさわすわけにはいかないという配慮だがあちらの人的にはそんなに熱くないかもしれないと思ったのは麦茶を出した後だ

「で?わざわざこんなところに来るほどのお話とは?」そう尋ねると少し困ったような顔をしてから話してくれたのは私がいなくなってしまってからの本家のボンボンの目に余る行為だという。もともと人を使うことに対して上手だとは思っていなかったが私のフォローが無くなってきてそれが顕著になってきたのでどうにかして欲しいとのことだが

「それを言うのは私ではなくて本家の方に要請してください。血統的に見ただけの婚約で私の意思を反映していないものでしたが、自分のいる場の雰囲気ぐらいはよい方がいいと頑張った結果があれでしたから何とも言えませんよね。そもそもあれについていく分家などいないでしょうし。今代は政治的手腕と周りを上手に動かせることが出来るので私たち分家も時々起こすあれ?に遭遇してもいつもの事だし。と笑って対応できていましたが次代があの人だったら見切りをつけると言っている人も多いですし。私と婚姻することで本家の血統を少しは濃くして一族特有の連帯を生まれながらに感じて欲しいという願いもあったのですけどね。ダメだったから見切りをつけられずにいた人間も見切りをつけるいい機会になったと話をされていますし。私が学園に戻ったところで何かが変わるということはないですよ」

「そうか」と残念そうにしているがなんで橘の末姫がそんなことを聞きに来たのか理解できない。

「なぜでしょうか?橘家があれを擁護しているとは聞いていませんし。私に接触してあれについて色々気を回してくれることについて理解が出来ません。友人というべき関係でもなかったでしょうし」尋ねると切なさそうな顔をしたうえで

「君と彼の関係を見るのが好きだったのだよ。ダメダメな感じの彼につかづ離れず何かを守るようにしている君とが婚約しているのは政略的なものだというのも理解できるのだけれどもね。君がいなくなって彼の振る舞いには眉をひそめる人間が多くなってきて学園の中の立場もあまりよろしくないし、破棄の原因となった女性も他の生徒から避けられ始めているしね」

「そんなことを言われても私は関係ない話です。彼らが今の状況になったのは彼らの選択した結果だと受け取ってもらわなくてはならないと思います。人のパートナーを寝取ったようなことをした女性と仲良くしたらどういわれるかというのを考えて距離を置いている人もいるでしょうし。彼の行動を直視して問題ありと考える人も増えていったことについては私はどうすることもできません。今の状況をどうにかしたいと思っているのならばそれを改善するのは本人の態度と周りの大人の躾けだと思いますよ?高くないお金を払って行儀作法を教え込んでいるので基本的にはできるのだと思いますがそれをどう応用するのかは本人次第だし。人が嫌がることをしたら人が離れていくということを今までの人生の中で学べなかったのは彼にも原因があるのだと思います。まだ学生ですから矯正はできるはずなのでそこら辺は親に頑張ってもらわないと」そういうとそうだな。我々がどうにか出来うる問題ではないなとつぶやいている

「話は変わりますが皆さんはバスでここまで来たんですよね?次のバスの時間は大丈夫ですか」そう尋ねて時計に視線を誘導する。田舎なのでバスの本数が少ない地域なので一本逃すと大変なことになる

「ここら辺はバスの本数が少ないので国道に出る奴を逃がすと徒歩で1時間ほど歩かないといけないことになりますが」そう説明すると慌てて帰って行った。私と話をするだけに飛行機・電車・バスを乗り継いで膨大な時間とお金を使った割にはいい結果が得られなかったのだがそれでいいのだろうか?と思うが、いろいろ考えて動くことに意味があるのだろうと考えなおした。末姫と言ってもまだ学生だからいろいろ間違えることはあるだろう。それでも他の子供たちよりは間違えが少ないのだから優秀と言われるゆえんなんだろうなと思いつつ出した食器を下げて洗う。



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