隻腕の花嫁
隻腕・花嫁というイメージの夢を見た。
百歩譲ってわたしの対応が悪かったとしてもこれは酷いな
そう思いながら通された応接間に居る人物を見て思う
応接間に居るのはきれい系の元?婚約者だ。ちょっとと言うか、かなり激怒しているのか表情が無い
我が家から誰か兵役に出さないと行けなくなり妊婦の姉や老体の父・幼子の弟を出すのは無理だと思ったので私が出た。その時に生きて帰ってこれない。帰ってきても貴方に相応しい人間ではなくなっているからと破棄を申し出たが「待っている」と一言いって送り出してくれたのは感謝している
戦況が悪化し負け戦となり国境間際まで押し迫られた。国を取られるのではないか!と言うぐらいで遥かとおくにいた主要な人物が逃げたあとの殿を押し付けられた兵の中に私もいたので、できうる限りの事をした。
追撃してくるであろう敵兵には魔獣と植物魔物でトラップを仕掛けて戦力と戦意を落としたし味方には帰る。絶対に片腕になっても怪我をして酷い体になったとしても家族のもとに待っていてくれている人のもとにと鼓舞をして逃げる意思を持たせた。逃げるのを嫌がる騎士などには巻き返すためのとか、次に活かすためにとか言って無理やり後退させる。本当に使えない場合は血ヘド吐きながら転送してやった
先に逃げた人にお願いして形見の指輪と「すまん。ありがとう。もう待たなくていい」と伝言を残して囲まれた状況を覆すために数名と残ったのもあの状況では最善だった
最終的には青息吐息で片目と左肘から下を無くしたがそのお陰で引き付けられたドラゴン亜種が10匹ほど取り囲む敵軍の横腹から食い破るように暴れてくれたので命かながら逃げ出すことができたし敵軍は壊滅状態で停戦に至った
障害を負った兵士を癒し社会復帰させる施設に偽名で入ってのんびりしながら試行錯誤繰り返してやっと農家で生計を建てられるようになったのにな
そう思いながら無表情の元?婚約者の前に座る
顔には目の位置に切り傷と肘から下がない左手を見てやや表情を変えている
酷い体になったなと思っているのだろう。一人でなんとか生活できるから料理をしてくれるだけの通いを雇おうと思っているが難しいかな?と無言でいる元?婚約者を見ながら考える
「…だ?」
考え事をしていたから聞こえなかった。それを見て再度口を開く元?婚約者
「なぜ偽名で隠れた。国から逃げるためか?」
「それもあるけど。あま、過剰に心配させたくなくてさ。ある程度どうにかできるようになったら手紙なり送るつもりだった」親が心配するのは嫌だし。怪我のせいで制限される生活も嫌だったのだ
一応、生きていると伝言を送っておいたから大丈夫だろうとは思ったが
そっかで終わりそうな母だが姉たちがうざそうだったし。それに彼には片目が無い花嫁は似つかわしくない。
傷を負った事に後悔も負い目もない。最善を追求した結果だから受け入れている。昔はとは思うが今の人生は悪くないとも思っているから。
それでも彼には片目ではなくきちんとした花嫁をもらってほしいと考えた結果だが不満らしい
「帰るぞ。こんなところでは療養も出来ないだろう」その言葉に職員がぎょっとしている。
女一人だから襲われる可能性を指摘しているのだと思っているのだろうが、ただ単になれない場所で気を張っているだけなのだ。
ある程度体を動かせれるようになったから出ようとは思っていたので頷いたが、そのまま彼の家に連行されて花嫁修業と称されて軟禁されるとは思わなかったし、着いたその日にいつの間にか用意していたのかわからない婚姻届を提出されていたとは思わなかった。彼の家に着いた時の驚きと出迎えてくれた彼の家族がかなりの喜びようだったのが気になったが長距離移動と義理の両親の「おかえり」が緊張の糸を切ってしまったのでよくよく覚えていない感じで進められてしまった。それにしても周りの反対を押し切って隻腕・隻眼の花嫁なぞもらって何が面白いと仕事から帰ってきた彼に聞いてみたところ、お前だからいいのだといわれて意味が分からないが愛されているのだということは理解できた。
義理の両親も隻腕・隻眼の私を最初に見たときは驚いていたがその後に「誰を庇ったの?」と質問してきたときには驚いた。しかも、現実を受け入れるのに瞬き数回というのはすごいことだと思う。平然として見せて内心驚いているのか私だから誰かを庇ったのだろうという結論を導き出したのかは不明だが。実際かばった結果の障害なので正直に申告する。変に隠し立てると面倒なことになるのはわかりきっているからだ。
「これですか?最後に送った士官がいたでしょ?そいつが私がおとりになることを否定しやがりましてぎりぎりまで邪魔をしてきたんですよ。で、ごたごたしているときに敵に隙を見せてしまってやられましたが、そのおかげで彼を転送できたので後悔してません。反省として面倒な人間は先に薬でつぶしてから転送すること。それだけです」胸を張って言うと前後左右からため息をつかされたが私は悪くない。っていうか、敗戦濃厚というかすでに敗戦だったものを土壇場で勝利というか停戦交渉に優位な立場に持ち上げてあげた私にその態度はいかがなものかと思おうが。
そんなことを言ったって功績を認められたいがためにやったことではないので別に報奨金がほしいわけでもないし。
功績を認められてしまえば面倒なところに連行されて士官にならなければならないだろうから別段どうでもいい。その前に私が逃がした人間が元気?に過ごしているかの方が気になるのだが、そこら辺の情報はどうなっているの?と考えていると応接間に誘導されて義理の両親とともに私が殿になって逃がした人間たちのことを教えてもらった。召集されていた民兵たちは全員無事に故郷に戻ったとのこと。強制送還した人間たちは中央に戻らされて反省と今後について考える時間を持たされている。今回の挙兵を言い出した第3皇子と隣国の皇子の恋のさや当てについては第3皇子に責任を取らせることと隣国の皇子にも責任を取らせることについて停戦合意したので、平民というか奴隷に落とされたとのこと。
奴隷と言っても高貴な立場の人間なので今後、後続を増やすためだけの種馬として頑張ってもらうそうな。それと恋のさや当ての原因となった女性はその場で奴隷巫女とされて低層の者たち専用の慰めものとして売りに出されたそうだ。妥当な判断かどうかは私にはわからないけれども国を人の命を左右できる立場の人間が恋のさや当てとか言って開戦してはいけないことだけは私ににも理解できることだ。
花嫁修業として体を万全に整えることを優先に習い事?をしながら半年過ぎた。実の両親とも再会を果たし結婚式も強制的にだが開かれた。公にしないといらない媚を振る女がいるからと言っている旦那様にお願いされたのだがら致し方がない。顔がいいとめんどくさいことになるんだな。平凡顔でよかった。と思いながら家族・友人だけの小規模の結婚式を挙げさせてもらう。
結婚式後「幸せだ。今度は絶対話さないからな」と言われて少しだけ身の危険性と結婚につて間違ったかもしれないと思ったが、それを差し引いても幸せだがらいいかな?と思うことにした




