微睡み
面倒臭いと言うか煩わしい事が最近多い。そう思いながら誰も来ない学校の庭園。そこのベンチに座りながら青空を見上げる。
あぁ家に帰りたいな〜。自分で彼のそばに居たくて頑張って来たけど彼女が彼の側に居るから別に私がいなくても良いよね。
自分で考えながら側に居られないのが寂しくて視界がボヤける。彼の側に私が居たら迷惑だとは夢にも思わなかった。優しく微笑んでいる彼が好きで、頑張って彼に相応しい人間になろうとしている私を見守ってくれたり挫折しそうになったら励ましたり・甘やかしてくれたり彼。それが嬉しくて彼がどう思っているのなのか考えたことがなかったけど、彼に一番親い彼女が言うのだから迷惑だったんだよね
そう思いながらベンチに横になり涙が出るままにしていたらいつの間に寝ていたらしい
ただ眠る前とは違うのは誰かが抱き締めてくれているようで横たわった格好ではなく座らされている。目の前には制服のブレザーがある。
モゾモゾしていると起きたことに抱いている相手が気がついたらしく拘束が少し緩んだが、離すつもりはないらしく腰や背中に回されている腕は離れない
「起きたか。こんなところで寝ていると危ない」そう言ってくる声は思いを断ち切ろうとした彼だ
「泣いていたけど悲しい事でもあった?」そう聞いてくる彼の顔をみて固まっている私を見てどうした?と聞いている
答えない私に彼の顔が近づいて来ると呆然と見ていると生暖かいものが落ちてきて唇のなかになにかが侵入してきた。何が!と驚いている私がそれが彼の舌だと気づいたときにはくまなく口腔内を堪能された後だった
肩で力なく呼吸している私に満足げな彼が落ちないように抱き締めてくれる
「で、何でこんなところで泣きながら寝ていた?最近避けていたようだが」そう質問してくる彼に答えようとしたら
「こんなところで何をされているの!」彼女が慌てたように向かってきた。その姿にびくつく私の反応を見て何がを感じ取ったらしく忌々しいと言った雰囲気を醸し出した彼。
その雰囲気に怯えた私に大事だよ。と唇に軽くキスを落としてくれる。
いや、大丈夫ならその禍々しい物を引っ込めて欲しいのですが!心のなかで叫びながら彼に優しくかつ逃げだせれない様に拘束されてしまった
「何をされているかと聞かれたら婚約者と逢瀬を楽しんでたと言うしかないな。家のは恥ずかしがりやさんだから人前だと軽いキスさえ嫌がるからね。人が来ないような場所で可愛がっているんだ」いつも通りの爽やかな雰囲気で話しているはずなのに禍々しい雰囲気は更に増幅している
「君最近よく見かけるけど何のようかな?君みたいな華やかな人が近づくと家のが隠れてしまうから近寄らないでほしいんだ」きっぱり断りの言葉を伝える彼に
「あり得ない」と呟く声が聞こえるが姿は彼が見せないように抱き締めているから解らない
「何でですか!そんな地味な女が」と金切り声で叫び始めた
ゆっくり私を撫でたあとに答えようとした彼を制止したのは彼の友人の独りで私も慣れている人の一人だ
「語るな。長くなるから」その言葉で周りに彼と彼女以外に人がいることが感知できて驚いて彼を見上げると
唇に再び深い口づけが落ちてきた。それを受け入れさせられて再びぐったりしている私を満足げに背中を労るように撫でてくれる。
「仲直りしたのか」ホットしながら聞いてくる声が聞こえた。彼女はまだなにか言っているようだが、誰かが宥めているようだ。
「仲違いはしていない。これが何か吹き込まれた様で隠れていたようだ」そう言いながら腰に回した方の手で太股をなで始めた彼。
恥ずかしくて抵抗しようとしたらいつの間にか首筋を露出させられていた
「お預けを食らっていたんだ。少しは飲ませろ」そう言ったと思うと首筋を嘗められた後にかじられた
首筋に犬歯が刺さり吸血を始めた、嘗めた場所は特殊な唾液で麻痺しているので痛くない。啜られれ感触は未だに慣れない。彼と同族の奥さんはこの感触が堪らないと言う人も言うが。満足したのか止血のために傷口を嘗めてから口を離す。吸血行為に軽い脱力感を感じている私を見ながら微笑んでいる彼
「あー満足しているところ済まんが何が有ったか説明してほしい」と彼の友人達
「まだ居たのか」呆れながら言う彼とその反応に脱力感している友人達
「まあ大体はわかるが説明が欲しいだ」
「解っているなら話が早い。俺の身分と見目を狙ってその女が家のにちょっかい掛けてきた。へこんで寝ているのを発見して捕獲した」ざっと説明している彼
「それを見つけた彼女が騒いだ。そんなところか」やれやれとため息をつきながら彼女を見ているのだろう。彼と対面に固定されてよそ見厳禁な私にはよく解らないところがあるが大体はあっているだろう
「呆けて居るようだが知らなかったのか?あれは吸血する種族だ。妻を吸血対象者以外は興味すら持たないぞ」あきれた声を出しながら聞いている
なにか呟いているらしいが私には聞こえないが耳の良い彼は眉間に皺を寄せているようだ
「何かを勘違いしているようだが家のに近づかないでくれ。後、お前か目をつけていた他家のものも伴侶が決まっているから学園にいるのを理解した方がいい」
私を抱き締めなながら歩き出す彼が通りすがりにそう助言している
彼の部屋に連れていかれベッドに下ろされる。
「疲れただろ。ゆっくり休みなさい」寝かされて寝付くまで側に居てくれた。微睡んでいるときに「始末しないとな」と聞こえたのは気のせいだし彼女があれから見なくなったのも気のせいだと思いたい




