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酒呑童子奇譚  作者: みたらし団子
第六章 水神の巫女 
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第伍拾弐話 見回り

お久しぶりです。

何か気がつけば放置してました。

話は書いてたのに意味わかんねぇことしてますね。


サブタイトル間違えていたので直しました。

激しい雨が降っている。

まるで子供が泣いているかのような雨。

竹田菊人はそんな雨の降る曇天の空を見上げた。

「凄い雨ですね、百鬼さん。」

「……そうですね。」

場所は美術館の玄関。

激しい雨は昨晩から降り出し、未だやむ気配はない。

今日は件の展示の初日で、俺は一通りの説明と注意点を館長だとか言う奴と今回の主催だという男から聞き、配置と見回りについた。

と、言っても俺に関しては見回りとは隠れ蓑で、怪しげな展示を見るための言わば自由行動だ。

竹田が一緒にいるのは、2人1組で見回っているから仕方なくと、山育ちで世間知らずな癖に、好奇心旺盛で何をやらかすかわからないこいつを監視するためだ。

一石三鳥は欲張りすぎだが、この際気にはしない。

それに、悪いことばかりではない。

「あ、百鬼さん、あれ何ですか!」

時たまいきなり走り出す竹田に引きずられる。

慣れたくないなぁと思いつつ身を任せてついていけば、異様な気配を放つ展示品。

「何ですかね、鏡?何か、お札貼ってて鏡っぽくないですけど。……これ、何て読むんですか?」

硝子の箱に入れられている手鏡。箱の下には【雲外鏡】と書かれていた。

「【うんがいきょう】。」

「うんがいきょう?…変な名前ですね。」

身長が足りず、台に掴まるように鏡を覗き込んでいた竹田が言う。

竹田を連れていて良い事。それは、竹田の動物的感覚だ。館内で行動を共にしていて気がついた。

竹田はそれが何かはわからないが、とりあえず何かがあることはわかるらしい。

これで、その『何か』について本人がわかればいい戦力になるだろう。

行動は危なっかしいが。

「百鬼さん、次…」

「貴様ら、何してる!」

背後からべらぼうな怒声が飛んできた。

驚いて台から落ち、尻餅をついた竹田を軽く足で受け止めると、俺はゆるりと振り返る。

目の前には、小太りの男。

何処かで見た気がする…。と暫し考え、あぁ、主催者だと名乗った高杉いわく成金の男かと思い至る。

確か名前は……忘れた。

まぁ、別に気にしなくてもいいだろう。それより、こいつだ。

「一体、その鏡に何をしようとしていたんだ。」

怒り心頭、といった風な男が顔を真っ赤にして俺の胸ぐらを掴み上げてきた。

と、言っても俺の方が身長があるため、掴んでいるようにしか見えないが。

唾が飛ぶんだがなぁと思いながら、体を仰け反らせると背後で竹田が動いた気配がした。

「私の監督不行き届きです。こいつは少々、好奇心旺盛で。」

相手の目を見て言う。

感情のこもらない声だということはよくわかっているので、少し抑揚をつければ、男はそんな俺の様子に鼻を鳴らした。

「まぁ、私も大人だ。その程度で怒るようなことはしないさ。」

さっきまで語気を強めてた奴は誰だ。と思うが、俺は「はい」と無難に答えた。

「以後、気をつけます。」

心中、全くそんなこと思わず言うと、頭を軽く下げた。

ちらりと見ると、満足げな男のにやにやとした顔が目に入った。

「貴様らは私の犬だ。精々、給料分は頑張れよ。」

俺の肩を乱暴に叩いて去っていく。

脂ぎった背中がどすどすと遠ざかるのを眺めながら、俺は叩かれた肩を払った。

「ごめんなさい、百鬼さん。」

今まで俺の後ろにいた竹田が落ち込んだ様子で出てきた。

「別にいい。」

ちらりと見やって言うと、竹田はおずおずと俺の横に並んだ。

「あれって、確か水谷って人ですよね。」

あぁ、水谷って奴だったか。

「百鬼さん。僕、もう勝手に動きません。」

あの剣幕が怖かったのか竹田が俺の着物の裾を掴んだまま言う。

「竹田菊人。」

「は、はいっ」

名を呼んで竹田を見下ろした。

「好きに動いていい。俺が許す。」

竹田が動き回るのに合わせて適当に歩いていたこともあり、沈まれると困る。

俺がそう言うと、竹田は沈んでいた表情を段々と輝かせきらきらとした笑顔で「はいっ」と元気良く返事をした。

これでいい。

「次、向こう行きましょう!」

竹田は再び俺を引っ張り走り出した。






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