第肆拾壱話 勘違い
そうね、だいたいねー
特に意味はありません(笑)
今回は繋ぎの話で少し短いです。
「あれ、百鬼じゃねぇか?」
原田と永倉が巡回中、
「あ、本当だ。おーい、百鬼……って、なっ……」
見つけたのは、
「まさか……あいつ…っ」
探すのを手伝うとは言ったものの、手掛かりが何もなく、一人でこいつらの相手するということは流石に厳しいだろう(てか面倒臭い)ということで、俺は子鬼を連れ、屯所に一旦戻ることにした。
今日、相沢と月浪は陰陽寮に呼び出され不在であるし俺が被害を被るような問題は何も無い。
と、思って子鬼に連れ回されるまま探索(と言う名の観光)に付き合って屯所に戻ってきたのだが……。
子鬼(人に化けている)を連れて門をくぐると、ひそひそと隊士達が話している。ちらちらと此方を伺い、目が合うとさっと逸らす。
子鬼どもを怪しんでいるのか?と二人を見るがその姿に歪みは無い。
それどころか人の子どもらしく新しく見るものに好奇心旺盛に反応して落ち着きがない。
「……。」
無言で首を傾げ、しかし怪しげな顔をされるのみでそれ以外何も無さそうなので無視することにした。
「百鬼殿!百鬼殿!此処は何だべ!」
「何だべ!何だべ!」
「……屯所。」
キラキラと目を輝かせる子鬼二匹…じゃねぇ、二人。あまり彷徨くなと襟首を掴んでやる。
都の大通りを歩いている間ずっとこんな調子だったのだが、さっさと面倒事を終わらせたいからといってこの子鬼どもを連れて来たのは失敗だったかもしれないな、と柄にもなく少々後悔している自分がいる。
この二匹……二人はよく喋る。何かの拍子にもっと面倒な事を起こしやがるやも知れない。
俺が知らないうちに何故かもう既に屯所内が面倒な事になっているが、理由も原因も今はどうでも良い。
「何で黙ってるべ、百鬼殿。」
「さっきはもっと喋っ…」
しゃがみ、先程から煩く喋りかけてくる子鬼どもの襟首を掴んで顔を突き合わせる。
「阿呆ども。主ら、俺が林を出る前に言ったことを覚えとらんのか。」
何時もより低いと自覚のある声でそう言って睨んでやると、二匹は口元をひきつらせて激しく首を縦に振り、「覚えてます。」「覚えてるだ!」と苦い笑いを浮かべた。
それを確認すると一度溜め息をつき、無表情で立ち上がった。
と、そこで坂本の声が聞こえて振り向く。
だが、坂本の一言に一瞬固まり、俺は次の瞬間利き足に思いっきり力を溜めて踏み込んだ。
「百鬼ー、主、何時の間に、んなめんこい童子作ったがかグハッッッ」
見事なアッパーカットを決め、俺は倒れた坂本に横目で冷徹という言葉を水に溶かして一晩かけて氷にしたような表情を向け、そしてすぐに周りを見渡した。
「……誰?」
噂を広めた奴は、という意味を込めて尋ねる。
ぴしりと空気が固まっているのが解るが知ったことではない。一体何処のどいつだこんな茶番を仕組みやがったのは。
「ひゃ、百鬼殿…」
「恐ろしいべ。」
暫くの沈黙の後、冷気の中全員が一点を凝視する。
原田と永倉だ。
二人とも俺と顔を合わせないように目をそらしている。
俺は深い溜め息を一度つくとその場にいる隊士を見渡す。
「……二人だけで歩き回って浪人に絡まれていたので保護しただけです。が、何か?」
首を捻り言い切ると、俺は何故か、かたかたと震えてる二人の襟首を掴み、立ち去った。
「……無表情のまま怒られると恐ろしいことこの上ないな。」
「もうしねぇ、絶対しねぇ、あいつの噂は絶対流さねぇ……」
百鬼が立ち去ったあと、永倉と原田の一言にその場にいた隊士は全員深く頷いた。
「と、いう訳だ。」
正座してニコニコとしている子鬼の双子と仏頂面の俺の目の前にはぽかんとした表情の近藤と眉間に皺を寄せた土方、口元を少しひきつらせたの桂がいた。
「……つまり、何か?その子鬼どもの人探しに付き合えと?この糞忙しい時に?」
先日、屯所の引越しを行った今、何かと忙しいのは承知だが、陰陽寮出身の月浪と相沢の居ない今のうちに子鬼を追い出したいのだ。
「別に主らに手伝えとは言っておらん。手の空いとる奴を数人こき使わせて貰えればそれでじゅうぶんだ。」
溜め息をついた。
「よろしくお願いするだ。」
「お願いするべ。」
人の子に化けた子鬼とは言え、きらきらした目で見られては土方も桂も何も言えない様子だった。
近藤なんて情に流されやすいもんだからちょろい。
そうして、微妙な顔の土方、桂を丸め込み数人隊士を貸して貰うことになった。




