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酒呑童子奇譚  作者: みたらし団子
第四章 屯所問題
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第参拾漆話 移転

話がぶっ飛びます。




日は経つのが早く、月浪と相沢がいろはに来てから早、一週間が過ぎようとしていた。

そんな中、幹部はとある一室に集まり、とある事柄について会議の最中だった。

ただでさえ手詰まりになりやすい会議の場で、先に音を上げたのは案の定というか、藤堂だった。

「もう、保留でいいっしょ。こんだけ考えて目処が立たないんだったらさ。」

「竹田の時もそうだったが、投げてぇのはわかっけどよ、そんなこと言ってたら何時まで経っても人手不足のままだろ。」

高杉がピシャリと言う。

「じゃあ、入隊試験のことだけ決めようぜ。」

「今でさえ手狭なこの屋敷で足りると思ってんのか。」

腕を組んでいる土方からも指摘され、言葉を詰まらせた。

民間の屋敷に場所を借りて屯所を構えているいろはは常日頃から人手不足に悩まされていた。

各隊、十名前後。人数にして百人程だが、如何せん巡回範囲が広い。

新撰組時代も人手不足があったが、今は長州、薩摩、土佐、会津に陰陽寮の人間が合わさって編成され直した上、ある人物が民間に作った私兵を足しても足りない程広い。ただただ、広い。範囲が。

「それにしても、もうちょっとどうにかならなかったんですかね、これ。」

井上が呆れたような自嘲するような笑みを浮かべて目の前に広げられた地図を見た。

地図には担当区域を示す線が引かれている。

「あはは…。」

会話に直接関わっていなかった相沢が地図を覗き込みひきつった笑いをもらす。

「本当、それですよね。どうなってるんですか、土方さん?」

にやにやと笑いながら沖田が茶化すように土方を細目で見て言った。

「俺に聞くな。」

一様に呆れ顔。

「……担当区域を決めたのは江戸守護職の重役はずだ。土方さんは関係ない。」

フォローを入れるように斎藤が言うが、沖田は興味なさげに適当な相槌を入れただけだった。

「兎に角、隊士を増やす、増やさないにしろ何処か他にもっと広い場所を見つけないことには話にならない。」

近藤が顔を上げて言う。

「……結局、原点回帰しただけですね。」

部屋の壁にもたれ、うつらうつらと傍観を決め込んでいた百鬼がぼそりと呟くと、全員が乾いてひきつったかのような顔になった。

土方と桂は一様に溜め息をつく。

「あははは、まだ眠そうだね百鬼。起きたってことは何か案があるの?」

にこにことしたまま沖田が膝に頬杖をついて百鬼に尋ねる。百鬼は黙って沖田を見つめ、少しすると旗を抱えたまま地図に近寄り近き、置いてあった筆をとって一つずつ印をつけていく。

突然無言で始まった書き込みに全員が押し合いつつ百鬼の手元を覗き込む。

「あぁ〜、成る程ね。」

印が5つを超えたくらいで首を捻っている者達の中、沖田が納得の声を上げた。

「何だこれ。」

「直近、悪鬼出現場所。」

「すげぇな、覚えてたのかよ。」

百鬼は筆を一旦置くと、一つの場所を指差した。

「今の屯所はここ、でも、担当区域の中心は本来はこのあたり。」

そう言って指を地図の少し中心へ移動させた。

「悪鬼の出た所を総合すると、中心は大体このあたり。だから、屯所を新しく置くならこの辺が良い。」

成る程と、感嘆の声がもれる。

「でも此処、寺じゃねぇか。坊主共絶対嫌がるぜ?」

丁度百鬼が指差した所は大寺院だった。

「まさか、追い出すなんて言わねぇよな。」

高杉が顔をあげて訝しげに百鬼を見た。だが、百鬼はそれを横目に少し目を細める。

「高杉さん、知ってます?バラ餓鬼が良いことすると、好感度はすぐ上がるんですよ。」

「は?バラガキ?」

バラガキって何だ、と聞くが百鬼は答えず話を進めた。

「最初は強引で良い。入ったら、恩を売る。売れるだけ。」

「で、印象良くした上であわよくば仕事を楽にしよう、と。いいね。百鬼らしいよ?」

「……。」

うーんと首を捻る他班の組長もいるが、数人の幹部は納得したらしい。

「案が出ないなら、駄目もとで試すのも大切です。」

と、言ったものの、百鬼には土方なら無理を通すだろう。という強制に近い確信があった。

「……そうだな、駄目もとで交渉してみるか。トシ、寺院と交渉の準備を、桂さんと俺は各藩に確認をとりに行く。」

「あぁ。」

「わかりました。」

その後はとんとん拍子で話が進み、会議はすぐに解散された。

「それにしても、近年稀に見る喋りようだったね、表情は変わって無かったけど。」

「うるせぇ、あまり堂々と話しかけるな。主らがだらだらとつまらん会話を続けていたから仕方なくだ。」

相沢、月浪を連れて部屋を出る時耳打ちしてきた沖田に百鬼は小声でそう返して何事も無いかのように去っていった。

「今度はお寺が屯所か。」

ぽつりと沖田が呟いた。

夏もほぼ終わりの夜、心地良い風が頬を撫でた。


新撰組だったら西本願寺なんですけどね。

作者はお坊さんに何も恨みは無いですよ。てか、お婆ちゃんの実家お寺ですよ。てか、仏教系の学校行ってますよ。

因みに地元ではお坊さんのこと、おっさん(「お」にアクセント)って言うけど、別にディスってないよ。

ダカラ、次ノオ話読ンデモ怒ラナイデネ(汗)

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