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酒呑童子奇譚  作者: みたらし団子
第四章 屯所問題
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第参拾肆話 一夜明け




「世話役?」

朝、何時もより早く叩き起こされた俺は、布団の上で胡座をかいて土方の話を聞いていた。

「そうだ。」

「誰の。」

「相沢と月浪だ。」

「……面倒臭ェ。」

「あ゛ぁ?」

「快く引き受けさせて頂きます。」

昨晩も徹夜したのだろうか、何時もより幾分か悪い顔色で土方は俺を睨んでくる。(入る前から人相は最悪だった。)頭のてっぺんで結われた髪の落ちている前髪の部分をかきあげると鬱陶しいのと今の気分が最悪なのを合わせた舌打ちを一度打ち、障子を開けたままにして部屋を出て行く。

朝から辛気臭い顔の奴だ。




「と、言うことで今日から暫くお兄さん達のお世話役になる黒野百鬼です。よろしくね☆」

「……何ですか。」

折角早く起きたのだから久しぶりに朝餉を食おうとやってきた食堂で高杉と会った俺は、成り行きで高杉と朝餉をとることになった。

俺が朝早く(といっても後少しで朝礼会議)起き出しているのがよっぽど珍しいらしく理由をしつこく聞かれた。朝起きただけでそんな騒がれるのは何となくしゃくに障る上、取り立てて言うことも無いため素直に寝起き一番に言われた一言を告げ、冒頭に至る。

楽しげに喉で笑う高杉を横目に俺はさっさと朝餉をかたす為、立ち上がった。と、高杉も同様に立ち上がる。

「……何ですか。」

「つれねぇなぁ。俺とお前の仲だろ。」

「どんな仲ですか。」

淡々と無視して廊下を歩く。

「月浪蛍っていったっけ?あの娘。」

「相沢はどうでもいいが、あの娘は可愛いよな。」

「あら、私は相沢くん結構可愛いと思うわ。」

「「え。」」

ざわざわとしている廊下は昨晩一度見た女子の話(一部相沢への黄土色の声もある。)で持ちきりらしく、何処を歩いてもその話ばかり聞こえる。

それが騒々しくて、あまりにも鬱陶しい為、俺は高杉と並び歩きながら一足先に会議部屋に行くことにした。





「うわっ、百鬼やなか!!おおお、おま、おまん、今日は槍でも降らすが!?」

「……。」

障子が開き、入ってきた坂本が上げた本日何回目かの古典的な文句に俺はうんざりとしながら周りが笑うのを聞いていた。

「今度は坂本さんじゃったのぉ」

「皆同じ反応しよってホンマおもろいな!」

「無理もねぇわ。こいつが遅刻せずこんな早く朝礼に来て、その上一番乗りだなんて天と地がひっくり返るような出来事じゃけんの!」

俺の頭を押さえつけ、乱暴に撫でながら言われたその一言にまた周りからどっと笑いが起き、俺は頭を上下左右に振られながら気分が急降下するのを感じた。

「……納得いかない。」

「だって、百鬼いっつも遅刻して土方さんに大目玉くらってっからさ。あーぁ、でも俺の読みははずれか。自信あったのにな。」

そう言って落ち込む乙夜。隣に座っている男から酒を奢れよと言われて苦々しい顔をしている。

何に賭けていたかは何となく察しがつくが、俺を賭事にすんじゃねぇ。

「……隊規違反。」

「金じゃねぇから。」

屁理屈こいてんじゃねぇよ。と思いつつ、にぃと笑う乙夜を横目に溜め息をつくと、丁度入ってきた近藤にまた先ほどの坂本と同じ台詞を吐かれた。

本当に納得いかん。





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