第弍拾参話 日中
この次の話に今詰まってます。
さ、どうしたものか・・・
感想随時募集中です。
「えっと…これが、『はたご』や。これが『ごしょ』…あと、これが…あ、『さかぐら』だ!」
竹田の目付けになって3日が経った。
以外にも竹田は大人しく、突っ走ることは無く。物わかりもある程度良かった。が、しかし、知らないことが多すぎた。
今は俺と沖田に挟まれ、市中の地図を片手に指定した場所の漢字の読みを答えて覚えるということをしている。
「大分覚えられたね。」
「はい。」
3日も経てば隊の空気にも慣れたのか、初めの緊張は吹っ飛びすっかり一番隊の連中にも馴染んでいる。
ちなみに今の竹田の出で立ちは、甚平のような服装の上から隊服を着、刀は身の丈に合わない為背中に背負っている。といった感じだ。
年齢はいろは最年少の11歳で、その上服装も相俟って、常時追従している一番隊の中では弟のような扱われ、可愛がられていた。
解らないことを近場にいた隊士に質問し、教えれば何にでも驚く竹田を面白がり質問されたこと以上のことを教える。
「田中さん。此処って何ですか?」
「ん?おー、そこは春画絵師の住んでる長屋だな。」
「『しゅんがえし』?何ですかそれ。」
首を傾げる純粋な竹田。田中はそんな童子に知識を与える聖人のような優しい表情で下世話な話をしようとした。が、両端にいた同郷の友人から拳骨をくらい、昏倒する。
「菊人、お前はまだ知らなくてもいい。」
「つうか、知らない方がいい。」
二人は口々にそう言うと、少し引いている竹田を放置し、田中を引きずりながら先を歩いていった。
取り残された竹田が此方を見る。
「百鬼さん。」
「何?」
「『しゅんがえし』って何ですか?ねずみ返しの一種ですか?」
「……そんな所。」
田中の尻拭いをし、横を歩いていた竹田を見つめた。
竹田の左耳には水晶で作られた雫形の飾りが青い紐と共に揺れている。近藤が今朝竹田に渡して付けさせた物で、妖封じの試作品らしい。
竹田から獣の匂いがしないということは、妖気は抑えられているのだろうが、俺にはいまいちよくわからない。それは、竹田がもともと人間だから違和感が無いことも関係しているのだろうが、とりあえず解らないということは成功と捉えて良いだろう。
「何か、ついていますか?」
竹田が不思議そうに首を傾げたので、俺は首を振って前を向いた。
妖封じは竹田も了承済みだが、あまり話題には出さない方がいいだろう。面倒臭いから。
「あ、そういえば俺今日、夜番ですよね。百鬼さん。夜番って具体的に何をするんですか?」
俺が急に視線を逸らしたことで、話を変えてきた竹田。
そう、今日は竹田の初、夜番の日なのだ。
「市中の見回り。悪鬼退治。」
何となく聞かれることはわかっているため、簡潔に伝えると、案の定、竹田から困惑の声が聞こえた。
「妖怪退治するんですか?」
想像通りの言葉を零した竹田に、俺と竹田のやりとりを聞いていた沖田が笑い声をあげた。
「あのね。僕達が退治するのは悪鬼であって、妖怪とはちょっと違うんだよ。」
「どう違うんですか?」
よくわからないと言った様子の竹田。
「妖怪っていうのは感覚的には『そこにあるモノ』昔から僕たちの隣にあって時々いたずらをしたり、人を困らせたり、驚かしたりしてきたもの。現象に近いものだね。それに比べて悪鬼っていうのは、人に一定以上の害をなす妖怪。または、闇に食われてマガツカミになったモノをさすんだ。妖怪と悪鬼には大きな違いがあって、そうだな……盗みをした人間は斬らないけど、殺しをした人間は斬る。みたいな感じだよ。」
「『エン』……?…わ、わかったような、わからないような……」
首を傾げて唸っている竹田を横目に見る。
「……百聞は一見に如かず。」
「そうだね、見るより慣れろだ。」
くすくすと笑う沖田が竹田に今後の予定を伝えている。
歯車が音を立てて落ち、一つ下の歯車を回し始めた。
それが吉となるか凶となるか、今はまだわからない。




