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放課後。
長い間…息もできないくらい、緊張して、
彼とあたしは見つめあっていた…
真っ黒な彼の瞳が、あまりにも綺麗で、真剣で、あたしは苦しいのに…このままずっと彼を見ていたいと思った。
「困る」
彼はもう一度言った
「俺は…小原に嫌われるの困る」
呼ばれた名前と、彼の…松田声に
あたしは胸が苦しくて、不意に泣きそうになった。
「嫌い?」
嫌いなんて、知り合ってから何度も何度も言ってるのに…
「小原…」
なのに松田はいつもと違うその表情で
「小原?」
あたしをただ見ていた…
「嫌い…じゃない…」
真っ黒な髪、微かに目にかかる前髪越しに、彼が小さく笑ったのが分かった。