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『明け』の明星(神代篇)  作者: どうしてリンコは赤いの?
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”絶対的一分間”

〈”絶対的一分間”〉

【司会】

「さあ今年も残すところあとわずかとなりました。私達神代に生きる主人公にとってこれを観なきゃ年は越せません」

【司会】

「もはや義務なのです。嫌でも創り続けなければならない」

【司会】

「今回も断言致します」

【司会】

「可能だった現実が皆さんに希望を持たせ、やがて新たな明けを迎えることを」

【司会】

「『明け』の明星コンクール……開幕ですッ!」


【カズ】

「(ああそうだ。”才能”と”やりたいこと”はすぐ喧嘩をおっぱじめる)」

【カズ】

「(周囲は妬むようにそれを褒めちぎるだろうが、やりたいことが才能と一緒になるなんてのは贅沢過ぎる。お前もわかってるはずだな)」

【カズ】

「(才能の有無は自分じゃ決められない)」

【カズ】

「(つまりどんな才能を押し付けられたって拒否権を持ってる)」

【カズ】

「(……ん?ああそうか。自分がそれを、性と言い張るなら遠回りするしかねぇわな)」

【カズ】

「(白黒はっきりつけさせねぇと)」

【カズ】

「(………)」

【カズ】

「(やっとこさお出ましかい)」

【カズ】

「(最も近い絶対的な答えを秘める主人公のご登場ってか)」

【カズ】

「(くっくっくっ。これだから、これだから神代はおもしれぇ)」

【カズ】

「(現実にしちまえば生きる楽しさを失っちまうってのに)」

【カズ】

「(自分は絶対的な答えが明確で無ければ生きられない。というか、生きようとしない)」

【カズ】

「(そういう主人公なんだよ。どこまで堕ちても、な)」

【カズ】

「(つまんねぇやつだろ~?)」

【カズ】

「(でもな、とある現実が自分を絶体絶命の状況に追いやったからこうなったわけじゃねぇんだ)」

【カズ】

「(お前なら悟れるだろ~?)」

【カズ】

「(誰だってナメられたままじゃいられない)」

【カズ】

「(生かされる側でありたいならさ、何よりもまず創る側の思惑を暴かないと本当の明けは迎えられないんだなぁって……)」

【カズ】

「(………)」

【カズ】

「(……わーったよ。御託はこの辺でやめといてやる)」

【カズ】

「(まさかの二回目♪)」

【カズ】

「(お前の残した”絶対的一分間”を、みすみす墓場へ持って行くのは惜しいって言ってんだ)」

【カズ】

「(やっぱやめるとな……)」

【カズ】

「(委ねるのは妥協できないけど)」

【カズ】

「(ああ何でもない)」

【カズ】

「(……お前もそう思うよな?でもこの場合はしてもいいみたいなんでな)」

【カズ】

「(さあ。時として自分でも解らなくなる)」

【カズ】

「(それはともかく、お前が望んでるんだから自分は別の形で後押しするだけ)」

【カズ】

「(もう孤独になれないお前を)」

【カズ】

「(……同じだよ。一種の症候群ってやつだろうな)」

【カズ】

「(なぁ、最後にもう一つだけ……いいか?)」

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